[小説]あの日のオルガン (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649119

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】2月公開の映画「あの日のオルガン」の小説版。知られざる歴史の一ページ「疎開保育園」の物語。太平洋戦争末期の東京・品川の戸越保育所では、空襲におびえる日々が続いていた。保育士たちは、自分たちで園児を疎開させることを決断する。

感想・レビュー・書評

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  • 映画の脚本を小説化したものなので、ん?と思うところはありますが、、、。
    映画は主演、戸田恵梨香です。

    東京大空襲からの「保育園疎開」を保育士たちが自主的に行なった実話。
    疎開のための親の説得から始まります。親の葛藤や赤紙、疎開先、食べ物の確保など困難は山積みです。

    若い保育士と、4歳の保育園児50名。戦争が終わるまでのストーリーです。
    泣きながら読みました。

  • 映画がとてもよかったので、活字でも作品世界を味わいたくて購入。太平洋戦争末期、過酷な状況の中決行した保育園疎開。様々な苦難に喘ぎながらも53人の子供の命を守ることに奔走した若き保母達。
    ノベライズのよさとは「読みやすさ」だと思う。本書も、映画の場面が鮮明に思い出せるような、なめらかな文章。保母達の泣き笑い、子供達の可愛らしさが戦時下でも生き生きと描かれている。映画では何となく察するしかできなかった保母達のバックグラウンドがさりげなく描かれているのもよかった。保母としては甘ったれで不器用な、主役の光枝。おいおい…と突っ込みたくなる場面もしばしばあったが、ノベライズを読むことで、己の能力不足を自覚した上で、それでも失敗を重ねてしまう不甲斐なさがひしひしと伝わってきた。そう…あまりにも重責な、疎開保育。実現に至るまでの道のり、いざ決まってからの準備も、気が遠くなるほどの重労働なのだ。それでも、天真爛漫な光枝と子供たちとの微笑ましい場面は心が和む。
    東京大空襲以降の展開は、とにかく胸が苦しい。壮絶なシーンの連続、心が引き裂かれるような悲しさ。重く辛い状況に打ちのめされながらも、残されたものは生きていかなければいけない。そんなメッセージが胸に深く突き刺さる。
    五十嵐佳子さん、読みやすいながらも、丁寧で深い描写が印象的だった。小説としても十分に読みごたえのある作品となっている。本書と映画、是非ともセットで味わって欲しい。

  • 戦争は二度と起きてはいけない。
    疎開して親代わりをするなんて、想像を絶する。
    覚悟がすごいし、尊敬しかない。

  • 自分だったら幼い子供を一人疎開させるか‥
    すごく悩むって、まず思った。
    まだ若い保母さん達の奮闘が泣けてくる。
    子供達が親と離れて暮らすことを、どう思って過ごしたのか‥
    やるせなく切なく悲しかった。

  • 映画を観てから原作を読んだ。主任保母として疎開保育園を立ち上げた楓の年齢が今のわたしと変わらないことに驚いた。戦争は絶対にしてはいけない、誰も幸せにならないことを改めて思わされる作品だった。いつの時代にも子どもたちが健やかに幸福に過ごせるよう奮闘する大人たちがいる。わたし自身も日々仕事で子どもと関わっているからこそ、それをより強く感じた。

  • 実話をもとに、戦争がいかに「子ども」「保育」「日常」を踏み荒らすかを教えてくれる作品。
    「あの人はどうなったの?」という点がいくつか消化不良なので星は半分ほどだが、戦争ってこういうことも引き起こすんだという意識を持つには、大変貴重な作品だと思う。


    戦争は大切なものを次々に奪っていく。

    どこへ逃げたって同じ。……戦争は追いかけてくるんだから。どこまでも、どこまでも、どこまでも。
    (本文より)


  • 映画をそのまま小説にした本。
    映画の原作とは違います。
    映画では聞こえなくされていた楓の年齢の設定がわかったので、スッキリしました(笑)

  • 戦争の悲惨さを改めて感じた。
    原爆に焦点が当たるのは当然だが、多くの人の命を奪った焼夷弾。無差別攻撃。
    戦争を起こしたのは誰か、もう一度紐解く必要があると思う。
    疎開に付き添った保母さん達、本当に大変だったと思う。
    子供達のおった傷は、大人になってどう影響しただろうか。

  • <東北の本棚>疎開園児を守った保母 | 河北新報オンラインニュース
    https://www.kahoku.co.jp/special/spe1183/20190303_02.html

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    映画『あの日のオルガン』の小説版。
    知られざる歴史の一ページ、「疎開保育園」の物語。
    太平洋戦争末期の東京・品川の戸越保育所では、連日の警戒警報により、保育所と防空壕を行き来する日々が続いていた。主任保母の板倉楓と、連携する愛育隣保館の主任保母・柳井房代は、空襲から園児を守り、子どもたちの心と体を育てる本来の保育を実現するために、園児たちを疎開させることを決断する。
    ようやく見つけた疎開先は、埼玉県蓮田市にある無人寺であった。昭和20年3月、日々奮闘する保母たちのもとに、東京で大きな空襲があったとの知らせが届く。やがて、空襲は疎開保育園のある埼玉をも襲うようになる・・・・・・。
    53人の園児の命を守り抜いた保母たちの、実話をもとにした感動作!
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20665

  • 軽い気持ちで読み出したら、一気読みで泣けた。
    2019.1.30

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著者プロフィール

1956年、山形県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。女性誌を中心にライターとして広く活躍。著書に「結実の産婆みならい帖」「読売屋お吉甘味帖」「女房は式神遣い! あらやま神社妖異録」シリーズ、『妻恋稲荷 煮売屋ごよみ』などがある。

「2023年 『桜色の風 茶屋「蒲公英」の料理帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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