禁断の魔術 ガリレオ8

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163816906

感想・レビュー・書評

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  • 湯川先生のガリレオシリーズ8作目。「禁断の魔術」

    同じく短編なのですが、7作目「虚像の道化師」とは違います。

    当然、物理学の視点から謎解きを行うのですが、トリックの難易度よりも“人”を重視したストーリ作りと感じました。

    あまり書くとネタバレするので書きませんが、「猛射つ(うつ)」は凄かったです。湯川の覚悟を感じました。

    「ガリレオ」シリーズの最新巻まで追いつきました。

    次はいつ出るのだろうか?楽しみです。

  • 7の「虚像の道化師」で、今度はもう少し長いものを読みたいと思っていたら、本作は、短編というよりも中編。しっかり描き込まれていて非常に読み応えがあった。
    湯川がどんどん人間としての厚みをましてきていて、第4章の「猛射つ」では、長編のときのような人間臭い一面を見せている。
    科学者としての苦悩が伝わってきて、心が引き絞られるようだ。
    「曲球る」や「念波る」でも、科学者としての対応は崩さないままで、相手を救う(結果的に)ような行動をとっている。決して感情に溺れることなく、しかし相手の気持もきちんとフォローできるような行動がとれるところが湯川の美点だと思う。私はこういう、感情に溺れないタイプが好きなのだ。
    帯に「湯川が殺人を?」とある。この言葉の意味を、読後しみじみとかみしめた。実に深みのある問いだ。

  • 短編集ですが、
    ラストの1作は中編くらいのボリュームです

    科学の力を使った殺人
    というものではなく
    犯人逮捕や事件解決はできているが
    それに関するちょっとした謎が解けない。

    それを科学の力で
    解き明かしていくような内容でした


    いたたまれない事件もあり
    辛い気持ちにもなりますが
    特有のスッキリ感はあります

  • 孤高で至高。ただこれだけが言いたいです。
    東野圭吾は最高。

  • 二話目が特に印象的。
    ガリレオシリーズの中でも清々しい気持ちで読了できるいい話。

  • 短編集は、その名の通り「短編」を集めたものだから、すべてが良い作品とは限らない。
    この本は、「透視す」「曲球る」「念波る」「猛射つ」の四作から成っている。
    全体として星4個なのであり、「透視す」「曲球る」「念波る」は3個で、「猛射つ」だけが星5個の評価だ。

    前作「虚像の道化師」に続いてのガリレオ湯川先生の短編集だが、初期の頃よりスケールがこじんまりした感は否めない。
    全体のストーリーよりも、単に新しいトリック発表の場、“ハウダニット”のみに重きを置いたような作品が多い。
    ゆえに推理小説(ミステリー)独特の味わいである、手に汗握るような緊張感がそれほど感じられず、物足りなさが残る。
    湯川先生と草薙刑事や内海刑事のやりとりの面白さや、湯川自身の頑固なまでの科学への思いも、さほど作品内から伝わってこない。

    ただし、このなかでも最後の作品「猛射つ」だけは別格で、ほかの作品よりページ数が多く、中篇とでも言ってよい長さのせいか、物語に奥行きがあり、“ホワイダニット”も深く掘り下げられ、(この程度の推測に基づいたあやふやな動機で殺人に至るだろうか? という疑問も多少あるが)湯川先生の少年に対する信頼や実直な行動の必然性も理解でき、最後はほろりとさせ、感動さえ覚える。
    この「猛射つ」は、数あるガリレオシリーズのなかでも、最高傑作『容疑者Xの献身』に続く名作の感がした。

    トリックに重きが置かれる作品だけに、(純粋にトリックの謎解きを楽しむ読者は別にして)ことさら登場人物の背景や心情、動機の部分を詳細に描けるだけの長さが必要で、もはや短編では難しい気がする。
    そこが丁寧に描かれていないと、読者も深く共感できず、一級品となりにくいのではなかろうか。

    この事件のあと、湯川先生はニューヨークに行き、しばらく戻らないようだ。
    しからば、その間、東野先生にはじっくりと構想を練ってもらい、次なる長篇に再び期待したい。

  • 原点回帰とも言うべきハウダニットにこだわった短編と人間味溢れる中編で構成されている。ホステスはどうやって鞄の中身を透視したか、双子の姉の窮地を知り得たのは本当にテレパシーだったのかなど、一工夫こらした短編はガリレオシリーズならでは。初期の頃の人間嫌いな主人公がいつのまにか厳しくもやさしい先生になっているのがシリーズ物の楽しみ。個人的には内助の功の美しさが印象的な短編が好みだが、最後の中編のラストに掛けての盛り上がりも捨てがたい。安心して楽しめるシリーズ。

  • 「禁断の魔術」にかかっている最後の中編は、理系ミステリーによくある科学の悪用がテーマでした。
    映像化された方では、科学の是非まで広げて描いていましたが、どちらも面白かったです。
    特に、湯川先生が犯人に決断を任せるところは、湯川先生らしいなと思いました。

  • (読んだ人が帯に書いたコメントより)
    一気に読んでしまいました…面白いです!

  • 確かに、湯川先生が突然お出掛けしてしまうのは「えっ?!」って感じですが、話の流れからして、傷心の旅かなとも言えるのかと想像出来ます。
    一つの思いに固執していると、他の事が見えなくなってしまいますが、誰かの言葉や想いで、凝り固まったものがほぐれていくのは、とても温かい気持ちになれますね。
    勇気をもって生きてゆきたいと思います。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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