イスラム2.0: SNSが変えた1400年の宗教観 (河出新書)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309631141

感想・レビュー・書評

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  • anazon 2019-12-82021/09/7了

  • イスラムにの教義等の説明側の著書の方がわかりやすかろう。
    ネットの発展により、これまでイスラム学者を通してしか触れることのできなかった、生の「神の言葉」に誰でも触れることができるようになって、本来の非寛容を実践しようとする世界。

    イスラムの目的は、イスラム教の元世界を征服すること。

    さらに征服された世界を描き、多様化という綺麗事のもと、イスラムと触れずにいられない世界で、余計なトラブルを起こさない方法も書いている。
    判るのだが、結局、イスラムの拡大を防ぐことが、現実の世界では不可能ということかと嘆息する。

  • イスラム教再興が面白かった為、前作のこちらも読了

    イスラム教再興に比べてイスラム教に詳しくない人でも読みやすい内容となっていた。ある程度知識がある人には物足りなさを感じる。

  • ●イスラムは平和の宗教と言う通説。これは日本の専門家たちが抱く気持ちの表明であり、客観的な論拠に基づいているわけでもなく、本質を答えているわけでもありません。
    ●イスラム教はコーラン等の啓示を絶対視し、啓示の解釈によって構築された規範体系を有する極めて論理的な宗教です。この宗教の根幹をなす啓示に立脚した学問・規範体系がイスラム法です。イスラム世界の知識人は啓示を学んだ後で必ずイスラム法を学び、それに基づいてイスラム教について論じます。
    ●彼らの正義の基準は神であり、神の下した啓示です。私たちとは違うのです。テロをしないのが「正しいイスラム教徒」だと言うのは、あくまでも私たちの都合に合わせた解釈に過ぎません。
    ● 注目すべきなのが、イスラム国やアルカイダに代表されるグローバルなジハード・ネットワークが広がりと、インターネットの普及に伴う一般のイスラム教徒の原理主義化です。
    ●インターネットの普及によって、イスラム教徒は啓示に直接アクセスできるようになり、徐々に「共生の知恵」が神の目から見ると過ちかもしれないと言う可能性に気づき始めました。コーランには「不信仰者を友としてはならない」と明示されています。
    ●バングラディッシュのテロの首謀者は、日本国籍を持つバングラデシュ出身のオザキ。日本で帰化改宗し、テロを計画。
    ●法の唯一の源は神であるという前提に立ち、イスラム法の規範の源「コーラン」か、ムハンマドの言行録である「ハディース」に示されたスンナ(慣行)、あるいは法学者たちの声である「イジュマー」に基づいていなければならない、と言う原則を8世紀頃に確立させました。
    ●イスラム2.0時代は、法学者よりGoogle先生。ネットでは、法学者が、不正な世俗権力者の犬であり、彼らにとってジハードは不都合な概念だからなど。

  • イスラム教関連のニュースをみても、どこか遠い国で行われており関係のないことだと無意識に軽視していたが、この本を読んでみて事の大きさ、深刻さを認識することができた。
    イスラム教徒、ジハード主義者はその方たちの考えを否定しても、それが簡単に受け入れられたり話が通じる相手ではないことが書かれている。
    インターネットの普及により法学者による情報独占から解き放たれ、コーランを自ら学び実践する、それらをSNSなどを通して拡散していく近代をイスラム2.0時代と呼び解説されている。
    このまま増え続けていくであろう猛威とどのように共生していくか考えさせられる。意見は偏ったところもありそうなので、色々な意見を通して考えてみたい内容である。

  • ネットの普及によりコーランの原典(テクスト)に直接あたることが容易になり、聖職者不信に陥り(原理主義)政治体制を疑う(カリフ制復活)ようになった結果、世界中至るところで聖戦が繰り広げられるイスラム2.0時代が到来した、と煽りまくって恐慌を広めようとするかの著者。例えばキリスト教にも似たような経緯があって現在の状況に到っているという歴史を踏まえるならば、今の西欧化社会を忌避するイスラム思想が遠からず世界を破滅させるという最悪な予見とはまるで異なる予想も成り立つのだが…

  • 本当のこと言っちゃいましたね

  • 啓示に立ち返れば、イスラム教をめぐる問題の根幹にあるのは、「イスラム教の価値」と私たちが普遍的だと信じている「近代の価値」の差異であることは明らかです。p8

    本書で論じるのは、インターネットの普及によって一般のイスラム教徒が啓示に容易にアクセスできるようになった「イスラム2.0」時代のイスラム教です。
     啓示の解釈をイスラム法学者という知識人が独占していた「イスラム1.0」時代から、「イスラム2.0」時代への急速な移行は世界に大きな影響を及ぼしています。イスラム教徒は次第に、啓示に立脚した、より原理主義的なイスラム教を希求するようになってきています。p9-10


    上記を基本主張とし、世界各地でのさまざまな事例を紹介しています。やはりイスラム教の考え方というものはある程度承知していた方が、今後の肥やしになると思われます。

  • イスラム教の本当の恐ろしさを知ることができた。
    ヨーロッパや米国でイスラム教徒を警戒する声が高まっている本当の理由。
    コーラン原理主義がイスラム教の本性だとすると、人権尊重や平和を基本理念とする日本国憲法とも相容れないのではないか。
    移民を受け入れる風潮は強まっているが、日本国憲法の理念に賛同して日本に来ているわけではない人も多いのだということを警戒しなければならないだろう。

  • 思い出した!「悪魔の詩」日本語翻訳者殺害事件!

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著者プロフィール

飯山陽(いいやま・あかり)
1976年生まれ。東京都出身。イスラム思想研究者。アラビア語通訳。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『イスラム2.0』(河出新書)、『イスラム教再考』(扶桑社新書)、『イスラームの論理と倫理』(共著、晶文社)がある。

「2021年 『エジプトの空の下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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