イスラム2.0: SNSが変えた1400年の宗教観 (河出新書)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309631141

感想・レビュー・書評

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  • 日本では、イスラムは寛容、平和の宗教という言説が流布するが、実際に起きた数々の事件や見聞した事項、イスラムの原典に沿って、それを真っ向から切り捨てていく。/昔は、コーラン、ハディースをはじめとする原典は、一部の聖職者しかアクセスできず、民衆は彼らの説教から触れるだけだったが、インターネットとSNSの発達により、人々が容易に原典にアクセスできるようになり、それを字義通り解釈すると、外から見ると、原理主義的な動きになるのは、自然な流れであり、その流れはこれからも加速していくだろう、と。/原典を字義通りに解釈したイスラムは、近代的価値観、民主主義的価値観とは、究極には相容れない様が、これでもかと描かれる。/いやおうなしに多文化共生社会に立たされる我々は、無理に理解しようとせず、尊重すれども、踏み込みすぎない姿勢で向き合うしかない、と感じた。

  • 「未来について大きな絶望と小さな希望」を感じるこのごろ、これは「大きな絶望」の本かな。

  • 「イスラム教の論理」からさらにパワーアップしている印象があり、力作。うすうすは気づいていたけれど全く相容れない考え方をする人が存在しているのだということは事実であり、それを受け入れないわけにはいかない。我々も「イスラム理解2・0」に脳内OSをバージョンアップするべきだろう。それを認めたうえでお互いがうまくやれる妥協点を探す必要があるのだろうがこれだけ広がってしまった考え方の違いにもはや接点はないのかもしれない。最後のほうで筆者の案を知ることができてよかった。

  • イスラムテロというものがどうも解らなかったが、漸く理解できた。

  • 【書誌情報+内容紹介】
    『イスラム2.0――SNSが変えた1400年の宗教観』
    著者:飯山 陽
    シリーズ:河出新書 -013
    新書 ● 272ページ
    ISBN:978-4-309-63114-1 ● Cコード:0214
    発売日:2019.11.26(予定)
    予価968円(本体880円

    ンターネットの発達がイスラム教徒を覚醒させた──誰もがコーランやハディースの知識に触れることで原点回帰が起きたのだ。気鋭の研究者による、最新「イスラム教の真実の姿」。

    日本人の知らないイスラム最前線!! 
    ウェブ上にアップされた『コーラン』や「ハディース」。一部の宗教エリートたちのものであった知識や解釈が、翻訳・検索機能により誰でも容易に直接アクセスできる時代となった。このことにより、「啓示」は宗教エリートの手をはなれ、一般信徒の原理主義化が加速する。神の啓示に服従し、イスラム教徒はイスラム法によって統治される秩序の確立を目指し、彼らが正義だと信じるジハードを実行することが「正しいイスラム教徒」であることに気付き、それを希求するようになったのだ。

    日本人の常識、西洋的価値観は捨てよ!
    ヨーロッパでは「同化しない」イスラム教徒たちが、「移住」と「多産」により各国で議席を獲得しはじめるなど、民主的なイスラム化をすすめる「静かなるジハード」が進行し問題となっている。また、イスラム教徒が集住することで生まれたノー・ゴー・ゾーン(警察管理外地域)の増加、学校のイスラム化など、これまでの西洋的価値観では対応しきれなくなり、その失敗が白日のもとに晒されている。一方で、イスラム諸国も「イスラム教の宗教言説」を改革しなければ、テロの問題を解決できないことを認め、正面から向いはじめている。移民問題をはじめ、ターニングポイントに立たされている日本は、西洋の二の舞とならずに、どのように対処していけばよいのか──

    「思い込み」「自分の価値観」を廃し、ただ「事実」に基づいてイスラム教を読み解く!!
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309631141/

    【目次】
    第一章 イスラム2.0時代の到来
    原理主義者が増加中/性奴隷は正しい/テロ首謀者は日本人のオザキ/容易に日本国籍が取得できる/「天国への道」はSNSが導く 他

    第二章 ヨーロッパのイスラム化とリベラル・ジハード
    移民政策で大失敗/ひとりで外出する女性は「売春婦」/定住すれども同化せず/〝ポリコレ〞がテロの温床に/移住や生殖は「静かなるジハード」/移民が議席を獲得し始める 他

    第三章 インドネシアにみるイスラム教への「覚醒」
    多宗教共生国もテロ多発国へ/子供巻き込み型家族テロ/元JKT48がヒジュラ・セレブ/ヒジュラ・ブームで反K-POP 他

    第四章 イスラム・ポピュリズム
    政教一致は「善」/反LGBTが活発化/ジョージ・クルーニーの早合点/「棄教=死刑」は世界で八カ国/ムスリム同胞団は成功モデル 他

    第五章 イスラム教の「宗教改革」
    イスラム教改革が批判の的/啓示に従う者を非難できるのか/ジハード主義者を破門できない/コプト教徒への迫害/「アラブの春」後にイスラム化/クリスマスは合法!? 他

    第六章 もしも世界がイスラム教に征服されたら
    カリフ制とは何か/現世と来世のダブスタに悩む/「メディナ憲章」は預言者との盟約/「ズィンマ契約」は安全保障/キリスト教徒とズィンマ契約/理不尽な〝不平等契約〞 他

    第七章 イスラム教徒と共生するために
    日本人は八〇年間で半減/四原則を心がけて付き合う/違法行為に「例外」を認めない/合コンやキャバクラは厳禁/『悪魔の詩』『服従』の悲劇 他

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著者プロフィール

飯山陽(いいやま・あかり)
1976年生まれ。東京都出身。イスラム思想研究者。アラビア語通訳。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『イスラム2.0』(河出新書)、『イスラム教再考』(扶桑社新書)、『イスラームの論理と倫理』(共著、晶文社)がある。

「2021年 『エジプトの空の下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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