栗山ノート

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334951177

感想・レビュー・書評

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  • 【驕り高ぶらず謙虚に】
    栗山監督の言葉一つ一つからは、そんな生き方を感じることができます。何事にも慢心せずに、常に上を目指して生き続ける。先人たちの知恵や言葉に頼りながらも、今自分はどうするべきか?という対話を続ける。その先人たちからの学びと対話について触れることができる一冊です。

    特に印象に残ったフレーズとして、
    「大切な人の笑顔とありがとうという感謝の言葉は、金銭欲を支配欲を自己顕示欲を、物欲などを一瞬にして消し去るほどの魅力がある。」
    自分自身の監督としての評価よりも、誰か(ファンや選手の自己実現)のためにという思いが伝わってきます。

  • 小学校1年から野球を始めた栗山さん
    その頃から野球ノートなるものを書き、初めは練習メニューや上手くできたプレー、ミスしたプレーなどを記録されていたのが、やがてチームが勝つためにどうすればいいのかという視点で書かれるようになったとのこと

    そして監督になられてからは、野球を野球の常識だけで読み解くべきではないと古今東西の古典を中心に読書を進め、その中に監督として、仲間として、人間としての在り方のヒントを探されている

    この本には『四書五経』などの古典や著名な経営者の
    著書から栗山さんが抜き出された言葉でいっぱいだ
    その広範囲の読書に舌を巻くと同時に、何と自分に厳しく謙虚で真摯で、利他主義の方なのだろうとその人間性に感動してしまった

    WBCの優勝で、ついこの間まで連日のようにテレビのワイドショーからインタビューを受けられていたあの笑顔と柔らかな物腰、決して驕らず全て選手、コーチ、スタッフ、ファンのおかげと語られていたその考え方が、2019年に発行されたこの本の随所に表れている

    文中の一節
    私は、なぜノートを書くのか。
    『論語』に「性は相近し、習えば相遠し」との教えがあります。人の性質は生まれたときにはあまり差はないけれど、その後の習慣や教育によって次第に差が大きくなるという意味です。その日の試合や人とのふれあいから何を感じ、どんな行動をとったのか。それは私たちの道しるべとなる先人たちの言葉に沿うものなのか。反省を積み重ねることで、自分を成長させていきたい

    この一節からでも栗山さんの人となりが窺われる
    常に自分の目標を定め、それに向かってひたすら努力し、読書家の大谷翔平選手ととてもよく似ているなと思った

  • 栗山英樹さんは日本ハム監督になって今年で8年目。
    大変活躍されていますが、選手時代の実績はあまり華やかなものでなく、コーチ経験もないまま監督になりました。

    学び続けなければならないと思った栗山さんは古今東西の古典を中心に読書を進めていきます。

    〈その日起こった出来事をどのように受け止めるのかを考えると、古今東西の先人や偉人が残した言葉が浮かび上がってくるのです。もはや野球ノートというよりも、人生ノートと言ったほうがいいかもしれません。〉

    本当に監督というのは、いろいろな人の気持ちを考え、思いやりをもって気配りしているんだなあと思いました。
    60の言葉からひとつだけ紹介します。

    「尺蠖(せきかく)の屈するは、以(もっ)て信(の)びんことを求むるなり」
    ファイターズが本拠地とする札幌ドームは、2020年の東京五輪でサッカー競技の会場になっているそうです。
    知らなかった!
    だからこのたびマラソン札幌案がでてきちゃったんですね。
    そのためファイターズは6月から2か月間「死のロード」に出るのです。

    〈栗の樹ファームで過ごしていると、様々な動物や昆虫に出会います。尺取虫(尺蠖)もそのひとつで、身体をギュッと屈めてから伸びる。
    20年シーズンに私たちが体験する長期遠征は、尺取虫が屈んでいるときに置き換えられるでしょう。〉

    この梅雨の季節や夏の移動は気持ちが滅入ってしまいがち。
    しかし一方では、成長する好機ととらえることもできるそうです。

    〈私自身も経験したことがないスケジュールですから、どのような困難が待ち受けているのか想像できません。けれど、難局に立たされたら尺取虫のように身体を屈め、グッと足を踏み込んで、「この苦しみを必ず喜びに変えるぞ」との思いで戦っていきます。
    何よりも、サッカー・ワールドカップ、ラグビー・ワールドカップと並んで、世界の三代スポーツイベントと言われる五輪に、間接的とはいえ関わることができるのです。日本選手団を精いっぱい応援しながら、ファイターズも勝利に向かって邁進していきます〉

    ガンバレ、ファイターズ。

  • 昨年WBC後に手に取り一気読み。
    今回再読しました。
    栗山監督が歩まれてきた道のりが、古典の金言と重なり学びの多い本ですね。
    リーダー、将たるものの考え方や行動を学ぶに素晴らしい一冊です。

  • 古典や著名な方の言葉と経験をリンクさせ、とても読みやすい内容でした。論語とそろばんをもう一度読もう。

  •  日本ハムファイターズを日本一に、WBCで日本を世界一に導いた偉大な栗山監督であるが、選手としてのキャリアは7年と短く、引退後はスポーツキャスターや大学教授という、プロ野球から離れたところに長くいたというのは意外だった。大選手に対しての劣等感は強かったそうだが、その分謙虚に、また選手に寄り添えることができたのだろう。
     「栗山ノート」の名のとおり、試合後は必ず気付き・反省をノートにしたため、振り返ることを習慣化していた。この野球ノートは、小学校1年生で野球を始めたときからずっと続けてきたというところが並大抵ではない。
     また、読書家の彼は、古今東西の古典を多読・精読し、ここからチーム経営・組織マネジメントの極意を得ていたという。
     本書の各章の私が得た学びは以下のとおり。
    1.泰然と
     スランプに陥ってもひたすら練習に励む
    2.逆境に
     迷わず、憂えず、懼れず
    3.ためらわず
     うまくやろうとおもうな。恥をかけ。
    4.信じ抜く
     見返りを求めない。
    5.ともに
     感動は推進力だ。
     

  • 社会人に入って100冊目!!
    自分の意識と繋がるところもあり共感したが、それ以上に栗山さんの何からも誰からも謙虚に学ぼうとする姿勢に心を動かされた。いつまでも学び続ける向上心は自身も今まで以上に大事にしていきたいし、改めて生き方を考えることができた。
    (100冊目というのも何かのご縁?)
    最も印象的なのは批判とどう向き合うかという話。
    人生においての考え方のヒントをもらえた気がする。

  • 古典の教えや経営者の言葉を自身の野球ノートに書き込んでいる栗山監督。それらの言葉たちを栗山さんの解釈、プロ野球チームの監督としての行動や考え方と一緒に紹介していく本。

    ---------------------------------------

    真面目過ぎるのでは、と思わずにはいられなかった。
    考え方が謙虚すぎて、「いやいや、栗山監督は立派な実績を残してるじゃないですか」とツッコまれるのを待っているのかな、という感じさえした。

    若い選手に返信する際も、相手に使ってほしい言い回しを選んで使うため、「了解しました」と言う栗山監督。上から目線の言葉は使わないとのこと。徹底している。

    飛行機のトラブルや天候の都合でスケジュール調整がうまくいかないときも、成長する好機と捉える栗山監督。
    学生時代、栗山先生のソフトボールの講義を受講していたことがあったが、雨が降れば授業は中止。雨がやんでいてもグラウンドがぬかるんでいてもやはり中止。日程の半分くらいは休講だった記憶がある。泥で汚れるのが嫌なんだとばかり思っていた。あれは栗山先生の考えがあってのことだったんだな。

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    2016年の日本シリーズ第6戦で話題になった「見せ大谷」について言及してくれて嬉しかった。相手を惑わせるためにやったのではなく、自分のやるべきことをやった、とのこと。
    (同点の8回表、2アウト満塁。バッターが中田翔の場面、ネクストバッターズサークルに大谷翔平を立たせて、広島のピッチャーにプレッシャーをかけた)
    当時、テレビ中継を観ていて、「栗山さんすごいな~」と思ったのをよく覚えている。

    勝てば選手のおかげ、負けたら監督のせい、という姿勢の栗山監督。真面目で立派過ぎる。自分とは雲泥の差があるからもはや参考にできない。

  • WBCでご活躍された栗山英樹氏の著書
    栗山さんが語りかけてくれるようで、とても読みやすく心に届きました。
    古典や偉人の言葉を借りて、ご本人の経験と重ね合わせることで、自分にも落とし込みしやすいつくりでした。

    私も、まだ手にしたことのない多くの先人の知恵を拝借するために、これから古典なども読んでいきたいと思いました。

    【学び】
    自分のまわりの人たちを笑顔で幸せにするために、自分の鍛錬を怠らない。ということ。

  • WBCの日本の監督!優勝を機に本を読んでみました。文章はとても熱心で熱い人柄が溢れでた内容でした。確かに現役時代すごい成績を残したわけでもなく、体格的にも恵まれた感じではなかったけど、晩成型なのですかね。勉強や努力は惜しまない、決して他人のせいにはしない、どこか苦しい選択をしているようにも見えますが、ちゃんと報われてるんだな、と思えました。
    たくさん出てくる論語は気になりますね。

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著者プロフィール

1961年4月26日、東京都小平市生まれ。小平二中時代はバレーボールに熱中。その後、創価高校時代にかけ、野球でエースかつ主砲として活躍。東京学芸大学進学後、教職を目指して教員免許を取得。学芸大卒業後、入団テストを経てヤクルトスワローズに入団。1984年には1軍に昇格し、1989年に外野手としてゴールデングラブ賞を受賞。しかし、1990年のシーズンを最後に、怪我や病気のために引退を決意。引退後は野球解説者やスポーツジャーナリストとして活動する一方、白鴎大学の教授も務めた。2011年11月には北海道日本ハムファイターズの監督に就任し、監督1年目でパ・リーグ優勝。2016年には2度目のリーグ優勝と日本一を達成、正力松太郎賞を受賞した。2021年4月10日には球団監督歴代最多となる632勝を達成したが、2021年シーズンで日本ハムの監督を退任した。2021年12月からは野球日本代表監督に就任し、2023年には14年ぶりに日本をWBC優勝に導いた。

「2023年 『栗山英樹29歳 夢を追いかけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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