ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本) [Kindle]

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  • 集英社
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感想・レビュー・書評

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  • 第一楽章からエピローグまで約300ページ。
    この中に、大好きと驚きとハラハラと感動がぎゅっと詰まっていて、
    読み終わった後も、『ラブカ良かったなぁ…。面白かったなぁ。』と思わず呟いてしまう。
    もう少し続きを、その先を読んでみたいと心から思う作品。

    あらすじに、
    『孤独な青年•橘は、上司からの命令で音楽教室に潜入調査へ。チェロの講師•浅葉の生徒となるが、彼の演奏に魅了され…。』と書かれてある。

    この音楽著作権とスパイの不思議なストーリーはどうやって出来上がったんだろう?と無性に知りたくなり、作者のインタビュー記事を読んでみると、過去実際に音楽著作権の会社に勤める社員が潜入調査をし裁判で証言した事件があり、それが題材になっているとの事。

    ほぇぇぇー、そんな事件があったんだぁと驚きながら、インタビューを読み進めると、他にもほぇぇぇーがあった。

    作者は音楽や、著作権の事を全く知らなかったので下調べに時間をかけた事。

    『全日本音楽著作権連盟の資料室は陽の届かない地下にある。』の最初の一文は"羊たちの沈黙"のオマージュである事など。

    沢山のほぇぇぇーや作者の気持ちを知り、ますます作品への愛情が増していく。

    ストーリーも面白かったけれど、チェロの響きを表現する言葉も、主人公が2年の歳月をかけて音楽とトラウマと向き合っていく姿も、チェロの先生や仲間のキャラクターも本当に魅力的だった。

    感動した場面や言葉を書き残そうかなぁと思ったけれど、涙活で語り合いたいので、今は感動した場面に付箋をつけて、あおちゃん、いっちゃん、ちーちゃんのレビューを楽しみに待っています(^^)

    しばらく読書が出来なかったですが、読書の時間を作ってくれた涙活に山盛りの感謝♡
    選書に悩んだ時にお世話になった、くるたんさんに特大の感謝をこめて(^^)

    • 松子さん
      あおちゃん、ちーちゃん、いっちゃん、
      お疲れ様です(^^)
      コメントありがとうございます♡
      本を開いたら止まらなくなっちゃって、あっという間...
      あおちゃん、ちーちゃん、いっちゃん、
      お疲れ様です(^^)
      コメントありがとうございます♡
      本を開いたら止まらなくなっちゃって、あっという間でした。
      くるたんさんの、『読み終えるのがもったいなかったなぁ〜』の言葉に大きく共感!
      そして読み終わった後は、ラブカの世界から離れたくないなぁ、もう少し読んでいたいなぁと感じました。
      ぜんぜん、急いでないので、皆さんのペースでゆっくりじっくりで、どうぞお願いします(^^)/
      2023/05/08
    • 地球っこさん
      松子ちゃん

      チェロ仲間のみんながとても魅力的だったね。
      それにしても橘くん、かすみちゃんの気持ちに気づいてー。彼、ちょっと鈍感だよね 笑
      ...
      松子ちゃん

      チェロ仲間のみんながとても魅力的だったね。
      それにしても橘くん、かすみちゃんの気持ちに気づいてー。彼、ちょっと鈍感だよね 笑
      最後、なんで三船さんに連絡先聞いたのか、そこだけ彼の思考が「?」でした 笑
      2023/05/14
    • 松子さん
      ちーちゃん、読み終わるのはやいっ!
      ふふ、三船さんになぜ番号を聞こうとしたか、ちょっと考えて、ちーちゃんのレビューにお返事したよ。
      正解はわ...
      ちーちゃん、読み終わるのはやいっ!
      ふふ、三船さんになぜ番号を聞こうとしたか、ちょっと考えて、ちーちゃんのレビューにお返事したよ。
      正解はわからないけれど、なんでだろ?って考えるのも、また楽しっ♪
      2023/05/14
  • 『ラブカは静かに弓を持つ』―チェロが紡ぐ、希望と癒しの物語

    『ラブカは静かに弓を持つ』は、安壇美緒氏による深い感動と心の癒しを与えてくれる作品です。2023年本屋大賞第2位、そして複数の賞にノミネートされたこの小説は、スパイと音楽、というこれまでにない斬新なテーマで織り成されます。少年時代にチェロ教室の帰り道で遭遇した事件から、深海の悪夢に苛まれ続ける主人公・橘の物語は、読む者の心に強烈な印象を残します。

    橘が音楽教室に潜入し、チェロ講師・浅葉と出会ったことから始まる彼の変化は、音楽が人の心に与える影響の大きさを感じさせます。著作権法の侵害を調査するという任務を超えて、師との出会い、仲間たちとの絆が橘の凍りついた心を溶かし始めます。物語を通じて、読者は音楽の持つ不思議な力、そして人生の再生に向けた希望を垣間見ることができるでしょう。

    この小説の特筆すべき点は、主人公が抱える多層的な悩みと、それを克服しようとする過程にあります。スパイという仕事に囚われ、過去のトラウマに苛まれ、未来に対する不安を感じながらも、橘はチェロという音楽を通じて少しずつ自らと向き合い、前に進む勇気を見つけていきます。

    著名人からの絶賛の言葉も、この作品が持つ特別な魅力を物語っています。『ラブカは静かに弓を持つ』は、音楽という普遍的なテーマを通して、人間の心の深層に触れ、読む者に深い感動と癒しを与える珠玉の作品です。人生には不思議な力が働くことがあり、その一つが音楽であることを、この物語は教えてくれます。

  • 優しく温かい物語だった。

    著作権を巡って音楽教室に潜入したスパイが、そこで交流する者たちによって自身のトラウマと向き合う話。
    出会った人たちに惹かれていき心を解されて行く中で、自分が身分を隠して潜入していることに罪悪感を抱いていく。
    優しい人たちに囲まれて自分のトラウマを克服していく中で、自分が本来所属する団体を裏切ってでも優しい人たちを守りたくなる心情…めっちゃ良かったです。

    起承転結がハッキリしていて非常にわかりやすい構成でした。
    作者が伝えたいことがそのまま伝わる文体です。
    読みやすく心地よい物語です。
    ラストも爽やかで読後感良好。
    気持ちの良い本を読みたい人にお勧めです。

  • 題名に惹かれて聴いてみたが、私の苦手な音楽もので、『失敗したか…』と思いましたが、スラスラ読める名作。
    音楽著作権管理団体からスパイとして街の音楽教室に潜入する若手社員が主人公。
    設定はこの時点であり得ないところだが、魅力あふれる登場人物とのやり取り、最悪の展開へと進むストーリー、そこからどう挽回するのかといった王道的なお話で文句なしで面白い。

  • とても良かった!と言うひと言につきる。
    主人公橘の心の葛藤や、仕事とはいいつつチェロにハマっていき、気持ちも変化していく様は、読んでいてとてもいいものだった。
    橘とチェロ講師の浅葉の、今後の関係性を知りたくなった。

  • 好みがわかれる作品だと思う。
    読みやすいけど…個人的にスパイスを求めすぎたか。

  • 職場の人間関係の煩わしさ、不眠、忌まわしい記憶。再びチェロを弾くことになった経緯…。交流会のメンバーが良い人達でした。橘くん達が、ヴィヴァーチェで演奏するのを聴きたい。

  • JASRACとヤマハの音楽教室での版権利用にかかる訴訟をテーマにした一作。
    まさかのスパイもの。

    主人公の橘は音楽の版権を管理する全著連に勤務する。
    少年時代にチェロに打ち込んだ彼は、上司の命令でミカサ社の運営する音楽教室での音楽利用に対する著作権徴収に向けた証拠集めのためにレッスンに通うことになる。潜入調査の名目で入りながらも、軽やかに演奏する浅羽先生とのレッスンの中で、音楽に情熱を覚え、ともにチェロを楽しむ仲間と出会い、コンサートにも参加する。
    そして少しずつ裁判の準備が進み、証拠が集まる中、浅羽はコンクールへの出場を決意する。そして橘は自らのスパイとしての姿を再度問い直す。

    スパイもののスリルと葛藤もありながら、トラウマを抱えた青年が音楽の力と緩やかな人間関係で瓦解していく姿が描かれる。テーマ選びが秀逸です。著作権利用や自らの立場について、橘が滔々と語るシーンは心臓がキュっとなります。比較的予想できる展開でしたが、キャラクターが魅力的で一気に読んでしまいました。

  • ⭐︎4.5
    読後感の悪くない、決して爽やかとも言えないが、素敵な作品でありました。チェロという楽器は私の読んできたものかたりでも、重要な役割を果たしている楽器といえるかもしれない。賢治のセロ弾きのゴーシュも、五木寛之氏の戒厳令の夜もそして今作も、チェロという楽器の音色がものかたりを奏でていると言っても過言ではない。
    今作と、戒厳令の夜にはカザルスが印象的に扱われているが、ものかたりから音楽を聴くようになったのも、チェロが初めてかもしれない。
    このものかたりの主人公は、一見貧弱そうに見えて、実は芯の強い人だった。自分だったら、二度目の教室通いはないと思うし、正直この主人公はいつ自死するのだろうと、思いながら読み進めていた。
    でも彼は死ななかった。強い。人である。
    まぁ、もっと酷い目に遭っても死なない人もいれば、そんなことで死を選ぶのかと思う人もいるのだから、なにが人を生かしているのか、なかなか難しい問題である。
    結局彼の身の上に起こったことは、ほとんどなにも解決を見ぬまま物語りは終わっていくが、暗い終わり方でもなく、また明るくもない。彼の心の傷が癒えるにはあと何年かかるのだろうかと思うし、人間関係が元通りに戻ることもないだろう。
    生き切ることは、なかなかに難しく、悩ましい。
    私のように、未読の書物を頼りに生きているものもあるくらいだ。書物がなければ、生きていけない。

  • スパイ✖️音楽モノ。
    いつバレてしまうのかとハラハラしながら、
    主人公を見守る気持ちになりました。
    読みながらバッハの無伴奏チェロ組曲などの
    低く豊かな音が頭の中で流れ、
    読後感も爽やか。
    大人になって、こんなに素晴らしい師弟関係や
    仲間ができるなんて羨ましい。

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