タイトルのセンスが絶妙に独特ですね。
夕方が落下するって?普通思いつかないですよねえ。
それだけで名作の予感。
風変わりな華子にみんなが振り回されます。
平気で人の男と寝るし、寝取った男の彼女の部屋に住みつくし、
人の航空券勝手に持ち出して海外逃亡するしで、たち悪いことこの上ない。
なのに、主人公の梨果は、そんな華子と一緒の生活に馴染んでいきます。
元彼の健吾も、華子のことを思い過ぎて仕事まで辞めちゃうし。
どんどん周りが病んで行って、最後はついに……
う~ん、最初から最後までなんだか救いがない小説でした。
そういう意味では「落下する夕方」としか名づけようのない小説といえますね。

2012年3月5日

読書状況 読み終わった [2012年3月5日]
カテゴリ 2012
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前々から気になってた本。ブックオフで見つけました。
「漢方」をモチーフにした30代毒女の自伝的エピソードという風で、
ページ数も少なく軽快に読み流せるライトな作り。
でも「これ、私のこと?」と思い当たる方にとっては深刻なテーマかもしれませんね。
男できなくて仕事もマンネリ化してきて、体までガタがきちゃって。
もと脚本家の方らしくて、ストーリーの組み立てやキャラの配置が上手です。
お手本のような憧れキャラや真打ちキャラ、友達キャラが散りばめられていて手堅い。
漢方や陰陽五行説の雑学なんかも身についたりしてお得感もあります。
そういえば冒頭の救急車のエピソードはほぼ似たような体験をしたことがあって共感し、自分もヤバイ人間だと反省しました。
救急車に乗った途端に具合良くなると焦るよね。

2012年2月26日

読書状況 読み終わった [2012年2月26日]
カテゴリ 2012
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道尾秀介さんのデビュー作として興味深く読みました。
文庫化にあたって大幅にカットしたらしいけど、かなり分厚いです。
でも一日で読み切った。それくらい引き込む力があります。

「――レエ……オグロアラダ……ロゴ……」

冒頭から意味不明の不気味な言葉をフックにして強引に道尾ワールドに拉致られます。
なんだそういう意味だったのね、と気づくころにはもう新たな謎が提示されていてどうにもこうにも止まらない。
解説にもあったけどストーリー展開の手法は京極夏彦さんのシリーズをオマージュ、
って書いてあるけど、ほとんどパクリに近い?
「憑依現象」とか、前提条件となる考え方を興味深~く展開して世界観を共有させておきながら、
それが見事な伏線となってラストへ結びつけていくところが上手です。
文体の独自性や世界観から言うと京極さんの方が何枚も上手だし、
ホラー的要素も、怖いんだけど『リング』までの鬼気迫るほどの不気味さにはかなわない。
民俗学的な知識の披露もちょっと解説調になったりするし、
後半の急展開のシーンでは一人でやたら焦りまくる真備氏に置いてけぼりをくらった気がして少し興醒めしてしまいます。
でも、一つところにとどまらず次々と新しい領域で小説を書いていけるところが道尾さんの強みなんでしょうね。

語り手が作者の名前と同じなのも、なんとなく好きです。

2012年2月25日

読書状況 読み終わった [2012年2月25日]
カテゴリ 2012
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道尾秀介さんのデビュー作として興味深く読みました。
文庫化にあたって大幅にカットしたらしいけど、かなり分厚いです。
でも一日で読み切った。それくらい引き込む力があります。

「――レエ……オグロアラダ……ロゴ……」

冒頭から意味不明の不気味な言葉をフックにして強引に道尾ワールドに拉致られます。
なんだそういう意味だったのね、と気づくころにはもう新たな謎が提示されていてどうにもこうにも止まらない。
解説にもあったけどストーリー展開の手法は京極夏彦さんのシリーズをオマージュ、
って書いてあるけど、ほとんどパクリに近い?
「憑依現象」とか、前提条件となる考え方を興味深~く展開して世界観を共有させておきながら、
それが見事な伏線となってラストへ結びつけていくところが上手です。
文体の独自性や世界観から言うと京極さんの方が何枚も上手だし、
ホラー的要素も、怖いんだけど『リング』までの鬼気迫るほどの不気味さにはかなわない。
民俗学的な知識の披露もちょっと解説調になったりするし、
後半の急展開のシーンでは一人でやたら焦りまくる真備氏に置いてけぼりをくらった気がして少し興醒めしてしまいます。
でも、一つところにとどまらず次々と新しい領域で小説を書いていけるところが道尾さんの強みなんでしょうね。

語り手が作者の名前と同じなのも、なんとなく好きです。

2012年2月25日

読書状況 読み終わった [2012年2月25日]
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カズオ・イシグロさん初読みです。
怪作でした。
一行目から引き込まれました。
個人的にかなり興奮する物語でした。
海外ドラマで言えば『LOST』を初めて見たときのような
ゲームで言えば『バイオハザード』を初めてプレイしたときのような、
そんなワクワクする期待感に煽られます。

一つずつ順を追って語られていくエピソードは
ノスタルジックなオブラードに包まれているのに、
なんだかよくわからないけど不穏な雰囲気が付きまとって
キャシー・Hのもったいぶった語り口に
続きがきになってどんどん読み進めてしまいました。

美しい世界の中から徐々にグロテスクな真実が
浮かび上がってくるという構成で、取り扱うテーマは重いです。
テーマ自体に秘密があるので詳しく内容を語れないのがもどかしいですが、
でもそのテーマだけで終わるようなベタな物語じゃなくて、
さらに想像力と考察を推し進めて、
ありそうでなさそうなオリジナリティ溢れる世界観を創り上げ
さらに人物にリアルな魂を吹き込んだ素晴らしい作品に仕上がってます。
映画もぜひ観てみたい。

2012年2月18日

読書状況 読み終わった [2012年2月18日]

わざわざ語りおろしだって白状するなんて正直で好感が持てます。
山口百恵の出会いとか結婚後の暮らしとか興味深く読ませてもらいました。
百恵さんの「蒼い時」を読んでたから、かなりしっかりした人なのかと思ってたけど、
案外フラフラして生きてきた人なんですね。
山口百恵との結婚がきっかけで大人としての責任を自覚したのか。
その後の暮らしも決して楽じゃなかったみたいだし、
国民的歌手を絶頂期に引退させたことは相当のプレッシャーだったと思うよ。
パチンコにはまっても信じて文句も言わなかった百恵さんにも頭が下がる。

2012年2月10日

読書状況 読み終わった [2012年2月10日]
カテゴリ 2012
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さくっと読めた。
今度はコミュニケーションのスキルは「質問」によって向上できるという考えのもと、
文脈に適した本質的かつ具体的な質問をするための判断軸やその具体例が紹介されています。
対話にしても議論にしても、確かに質問をする人がその場をコントロールできるという観点からすると、
質問の仕方、内容によってコミュニケーションの質が左右されるのです。
普段自分の質問がなんとなく意味のない質問が多い気がしていたけど、
一度統計をとって分析してみたくなるよ。
抽象的で本質的でない質問ばかりしてませんように。

物事を縦横の座標軸で整理するとわかりやすいですね。
こういう整理法を身に付けたいな~と余計なことに感心してしまいます。
あと、コンセプトメイクというか、今回の「質問力」もそうだけど、
「段取り力」とか、物事の核心を独自の言葉で定義できる力も素晴らしいと思います。
個人的にはエピローグの「カラマーゾフの兄弟」からの引用が響いた。
やはりドストエフスキーは圧巻ですな。

2012年2月6日

読書状況 読み終わった [2012年2月6日]
カテゴリ 2012
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頭がいい、とはどういうことなのかを独自の視点から解説してくれる良書でした。
「頭がいいとは、文脈力である」という著者なりの定義の根拠を
説得力あるロジックで分かりやすく説明してくれています。

「頭がいい」とは「状態」のことなので、訓練次第で誰でも頭がいい状態になれる。
記憶の引き出しがきちんと整理できてて、必要なときに必要な情報を取り出して、
自分の経験に絡めて再構築できること。
他人の発言やその場の雰囲気を瞬時に嗅ぎ取って
タイムリーに的確なフィードバックを返せる人。
さらに、流ちょうに話すだけじゃなくて、ちゃんと文章に落とし込めること。
弁が立って、優れた文章を書ける人って意外と少ないですね。

どんだけテストの成績が良くても、社会に出て能力を発揮できなきゃ意味がない。
この人の講義を受けたらこのまとまりのないレビューももちょっとましになる気がする。

2012年2月3日

読書状況 読み終わった [2012年2月3日]
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山口百恵さんの自叙伝です。
現役世代ではないけどなぜか好き。
21歳のときに書いたとは思えないくらい冷静に自分や周りをとらえてます。
いや、21歳だからこそ、ここまで冴えたスタンスで書けたのかな?
ご自身のこれからの人生を完全に見通した予言書のようでもある。
文体もとても繊細で情緒的で、力強くて、時代を超えて感情移入してしまいます。

2012年2月3日

読書状況 読み終わった [2012年2月3日]
カテゴリ 2012
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ある日突然妻子と離れて暮らすことになった父の日記。
ブログが本になったものらしい。
離婚という悲劇的なテーマを取扱いつつも
ほのぼのとしたあたたかさに包まれる本です。
妻に離婚され、養育費を払いながら、
2か月に1日6時間だけという面接交渉権を通して
二人の息子との心のふれあいを育む父親の姿がけなげでほほえましい。
離婚したからこそ、より一層息子たちを愛せて、
一人で子どもを育ててくれている元妻にも感謝できる、
そういった気持ちが文面からあふれていますね。

2012年1月29日

読書状況 読み終わった [2012年1月29日]
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以前読んだ「カウンセリング・マインド」の著者でした。
人との付き合い方が学べる良書。心理学大好き!
1981年と古い本だけど、面白いし今でも十分参考になるところがあります。
ビリーフの考え方とか、こないだ読んだ「幸せ成功力を日増しに高めるEQノート」にも出てました。
結局は恐怖心を克服して自己開示することが
「つきあい」を「ふれあい」に変えていく
ポイントになってくると思われます。
心のふれあいがない、つきあいを無下に非難するのではなく、
つきあいがなければふれあいにも発展しないという前提も重要ですね。

親心、大人心、子ども心を使い分ける交流分析の手法も
意識してコミュニケーションに取り入れてみたいですね。

2012年1月28日

読書状況 読み終わった [2012年1月28日]
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齋藤孝さん初読みかも。
はじめてその人柄や文体を知りました。
歯切れ良く明快に自己主張をされる方なんですね。

話す力、確かに誰からも教わったことがないです。
小学生時代に生徒会副会長として生徒全員の前で
何かの閉会の言葉を話す機会がありました。
それまでは特に緊張することなくうまく話せてたのに、
そのときは突然プレッシャーを感じて頭が真っ白になり
30秒くらい(気が遠くなるくらい長く感じた)沈黙してしまったのです。
それ以来、人前で話すことが怖くなり、決して話すまいと誓って生きてきました。

だから自分の結婚式で挨拶をしないといけないことになったときに
初めて自分にパブリック・スピーキングの経験と
スキルがまったくないことに気が付き、
あわてて話し方教室に通ったのでした。
多くの日本人はこういう経験が少なからずあるのでは?
と自分の失敗談を織り交ぜながら共感を誘ってみるスキル。

本書を読み、改めて常識が覆ったことをいくつか。

自分としては人前で同じ話を何度も披露するのは
作為的でよろしくないと思っていたけど、
話がうまい人ほど同じネタを繰り返し使いながら
洗練させていっていることがわかります。

また、話の面白さは意味の含有率の高さでもある。
会議や打ち合わせの中でも、
できるだけ意味のある角度のある発言をするためにも、
思いついたことをすぐには話さない。
一つ、二つ、三つ、たまるまで待つ。
三つ思いついたら、タイミングを見て
その場にふさわしい内容のものを一つだけ開示する。

そこまで考えないと聞き手に失礼というわけです。
意味も気づきもなく、型通りのスピーチは
聞いてる人の時間を奪う社会のムダである。
特に人前で話す機会が多い人ほど気を付けましょう。

2012年1月15日

読書状況 読み終わった [2012年1月15日]
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例の有名な『鏡の法則』の方が書いた心のブレーキを外す本。
非合理的ビリーフの存在は知っていて、人によってはブロックと呼んだりするけれど、
心理学に基づいたなかなか説得力のある説です。
これを信じてビリーフを書き換えることに成功した人は人生を変えることができるかもしれませんね。
でも子どものころから信じ込んできたビリーフを書き換えるということは、
もしかしたら自分らしさを失うということかも知れず、
それが良いかどうかは微妙という考えもあるし、
欠点だって実は有効活用することで成果につなげることができるのかもしれない。
マリリン・モンローだって、彼女の持つ非合理的ビリーフが
人を魅了するパフォーマンスにつながっていたのかもしれません。
それが幸せなことかどうかはわからないけど、
「愛は失われるもの」と信じ込んでいたからこそセックスシンボルになりえたのかもしれないわけです。
行動を変えようとがむしゃらになったはいいけど結局無理して三日坊主、
というのも周りに迷惑がかかるので気をつけないといけませんね。

あれ?なんだか非合理的ビリーフに凝り固まったレビューになった?
「何かクリティカルな感想を書かねばならない」とか?

2012年1月14日

読書状況 読み終わった [2012年1月14日]
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フリーランスホテリエというホテル業界やサービスに関するコンサルタントが書いた本。
対象年齢が若者なんでしょうか?
ちょっとした気づきのようなものがエッセイ風に書かれていて、
ずいぶん平易な文体でわかりやすいです。
サービスのプロというだけあって、読者への気遣いもあるんですね。

一流と呼ばれる人は、自分を評価する項目を多く、より細かく持っている、
という視点が参考になりました。

2012年1月13日

読書状況 読み終わった [2012年1月13日]
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エバーノートの基本的からマニアな使い方まで一通り解説されてて便利。
テキストはもちろん、画像、動画、音声までなんでもメモれちゃう、
エバーノートがいかに便利なツールかよくわかりました。

2012年1月12日

読書状況 読み終わった [2012年1月12日]
カテゴリ 2012
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人がいかに思い込みや雰囲気で判断してしまうのか、
人が人を正しく評価できず、見誤ってしまう理由を
心理学的観点から実証的に解説した本で大変興味深く読めました。
行動心理学のバイブルとも言われ悪徳商法などにも利用されている
「影響力の武器」をもっと読みやすくした感じで、一読の価値ありです。
「スティンザー効果」「ザイガルニック効果」など、
聞いたこともないような心理学用語が出てきて
やたら強い説得力を感じたけど、
その時点でもうこの著者の術中にはまっているのでしょうか?
やり手の臨床心理学者だけにあなどれません。
実践するしないは別として、知的好奇心を満足させる一冊。

この著者の他の本も読んでみたいです。

2012年1月11日

読書状況 読み終わった [2012年1月11日]
カテゴリ 2012
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タイトルに度肝を抜かれますね。
ベンチャー企業の社長ともあろう方が、こんなネガティブな本出していいの?
内容もネガティブであり現状肯定。これが筆者の等身大なんでしょう。
ワイキューブには一度お邪魔して、その優雅なラウンジを見せてもらったことがあるけど、
まさか社長がこんな考えの人だったなんて。
会社はリーマンショックの波にのまれて今は民事再生中。
お金があると使ってしまうとか、社員もグリーン車とか、
たしかにこういう考えしてたら会社は持たないよね。
でも、書かれてる内容には共感できるところが多かった。
ちょっと下を見て幸せを感じ、今の世の中間違ってるよなぁとうじうじ悩みながら生きる、
とっても人間らしいじゃないですか。

2012年1月8日

読書状況 読み終わった [2012年1月8日]
カテゴリ 2012
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読書を投資に見立てて新しい読書法を提案してくれています。
本を買うことをけちるな。一冊平均1500円の本を読む行為が、15万円を生み出す自己投資になる。
自分にとって必要な個所は20%もない。目的を明確に持ち、必要な個所だけを拾い読みする。
多読を旨とし、大量の本を読むことで原理原則、自分なりの判断軸を養う。
重要な個所にはラインを引き、ドッグイヤー(ページの角を折る)、書き込みする。
メモを残し、何度も読み返して実践し、本から得た知識・ノウハウを自分のものにする。
ただ、ビジネス書に限る。
著者が日ごろから実践している方法だけに、かなり参考になります。

2012年1月8日

読書状況 読み終わった [2012年1月8日]
カテゴリ 2012

日本史の基本的な流れが分かりやすい話し言葉で説明されています。
すっきりとわかるのは一通り日本史を学んだことがある人だと思うけど、
日本史を読み物として楽しめます。

2012年1月8日

読書状況 読み終わった [2012年1月8日]
カテゴリ 2012
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「愛」について様々な切り口、論点から考察された研究書。
普段ここまで「愛」について考えたことはなくて、とても興味深い内容でした。
恋と愛の違いとか、なんとなく感覚的にそうじゃないかと思っていたことや、
潜在意識の中で疑問に思ってようなことが核心を突く形で語られています。
引用がやたら多く、ちょっと非科学的な内容も含まれているけど、それもまた面白い。
手元に置いといて機会があるたびに読み返しなくなるような一冊。

2012年1月8日

読書状況 読み終わった [2012年1月8日]
カテゴリ 2012
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まさかあのインバスケットを扱った本がこんなベストセラーになるなんて!?
低迷する老舗ケーキチェーン店で働く青山みやが、
急きょ社長から基幹店の店長を任されて、店が抱える数々の難題解決に臨みます。
こうしてみるとインバスケットってそもそもドラマ性の高い状況設定なんですね。
主人公に与えられる過酷な試練、何度もくじけそうになりながらも、決してあきらめず、仲間の力を借りながら苦難を乗り越えていく、ベタな筋書きが頭に浮かびます。
まあそういうシチュエーションで、インバスエットに必要なマネジメントスキルが解説されていきます。
「もしドラ」を意識したストーリー仕立てにしたところは工夫があってそれなりに面白く読めたけど、
20もの案件処理が延々と並んでるのはちょっと単調で退屈かも。

2012年1月7日

読書状況 読み終わった [2012年1月7日]
カテゴリ 2012
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4つの短編連作ものでした。
ユーモア満載のエンタメミステリーって感じでかなり面白かった。
最近のエンタメ小説はここまでのひねりが求められるんですね。
主要キャラの行動がストーリー展開にひもづけてテンプレ化されてて、
2話、3話と読み進めるごとにさながら「水戸黄門」を観ているように先の展開が読めてきて、
それが「待ってました!」とばかりに快感になってきます。
それだけじゃなくて、四季折々の風物が、ちゃんと物語の中に暗喩として盛り込まれていて、
完成度の高い構成にうなってしまいます。
曲がりくねった川を人生に例えたシーンなんか、最高でした。
最終話ではこれまでの予定調和が微妙に崩れて、なんてところも読みごたえがあります。
くすっと笑いたいミステリーファンにおすすめ。

2011年12月22日

読書状況 読み終わった [2011年12月22日]
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拾い本。自己啓発書らしい。
夢だった作家として独立するに至った筆者の
経験則に基づく人生観が力説されています。
心臓神経症という病気を抱えながら、
会社を辞めてヒモになったり
競馬で食いつないだりしながら
ベストセラー作家になっただけあって、
ものすごい自負心が伝わってきます。

考え方も異色です。
今の弱い日本、日本男子を作ってしまったのは
自分のわがままを理屈で押し通そうとする
フェミニストたちのせいだと断言してます。

「男は自由を奪われたら疲れるのである」

わりと説得力があって、
サドの『悪徳の栄え』を思い出してしまった。

2011年12月19日

読書状況 読み終わった [2011年12月19日]
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江國さんの短編集は初めて。
すっごい短いのが12編おさめられています。
最初の数編はいよいよ続きが気になって読み進めたいと
思い始めた途端に終わるのでなんだか消化不良な感じがしたが、
それにもだんだんなれて手ごろな読み切り感覚を楽しめるようになりました。

みんな恋愛感情に浸ったり失ったり、
手に入れているのにすでに失っていたり、
幸せなのに悲しかったり、
矛盾した気持ちをいろいろ抱えてますよね?

例えば表題の「号泣する準備はできていた」なんて、
自分には理解できそうでいまいちピンとこない斬新な感覚もところどころにあったり、
ちょっとした言葉から物語の背景や登場人物の関係を察することができたり、
いつも長編しか読んだことなかったけど、短編もそれはそれで面白いです。

読み手のセンスが問われる小説な気がして少しプレッシャー。

2011年12月9日

読書状況 読み終わった [2011年12月9日]
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