原田ひ香さんおすすめ5選!~心と胃袋を刺激する珠玉の物語たち~

こんにちは、ブクログ通信です。

原田ひ香さんは独学でシナリオを学び、フジテレビヤングシナリオ大賞の最終選考に残ったという異色の経歴の持ち主です。2006年に『リトルプリンセス2号』で第34回「NHK創作ラジオドラマ脚本懸賞」公募(現・創作ラジオドラマ大賞)の最優秀作を受賞、2007年に『はじまらないティータイム』で第31回「すばる文学賞」を受賞しました。以降、作家活動を本格的に開始します。『三人屋』『口福のレシピ』など、食べ物に縁の深い作品を多く発表し、人気を集めています。

ブクログから、そんな原田ひ香さんのおすすめ作品を5選紹介いたします。原田ひ香さんの紡ぐ物語は、温かみがありながらもスパイスの効いた人間ドラマが魅力です。今後さらなる活躍が期待できる原田ひ香さんの作品を、この機会にぜひチェックしてみてくださいね。

『原田ひ香(はらだ ひか)さんの経歴を見る』

原田ひ香さんの作品一覧

1.原田ひ香『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』 実家から届く小包の温かさを思い出す1冊

母親からの小包はなぜこんなにダサいのか (単行本)
原田ひ香『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか (単行本)
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あらすじ

母親の反対を押し切って上京した、短大生の美羽(みう)。地元が一番という母親に対して、美羽は東京で自分らしく生きたいと思っていた。慣れない一人暮らしと都会の人間関係に戸惑う美羽だったが、ひょんなことから母親が東京に憧れていたという事実を知るのだった。そんな美羽のもとに、母親から小包が届く。中には実家のおいしいものがたくさん詰め込まれていて……。6つの「小包」にまつわる物語を収録。

おすすめのポイント!

きっと、多くの人が本作のタイトルに「あるある」とうなずいてしまうことでしょう。親元を離れて暮らした経験のある人にとって、「母親からの小包」は避けては通れない存在といってもいいかもしれません。食品や日用品と一緒に、たっぷり詰められた愛情。わかってはいるけれど、どうしてもダサいと感じられる……。そんなジレンマを思い出させる6つの物語を納めた1冊です。小包越しに伝わる家族の絆、親子の愛情。温かくもどこか切ない、愛に満ちた短編集となっています。

タイトルに惹かれた一冊。通販でもパントリーのようなものはあるけど、実家の小包はそれとは違うもので。古くなった段ボールに手書きの伝票、箱の中のごちゃごちゃした感じはたしかにダサい(シュッとはしてない)。でも、箱の中には送り手の愛や優しさが詰まっている。物理的な中身はもちろん、自分のことをたくさん考えてくれる時間や気持ち、目に見えないところにももっと想いを馳せよう。どの話も好きだけど、「ママはキャリアウーマン」、「擬似家族」、「最後の小包」の親子関係と「北の国から」の長年秘めていたものを吐き出したくなる気持ちに熱くなった。その土地でしか食べられないグルメも出てきて、お腹が空きそう。ぐーきゅるるな一冊でした。

Ayumi.2nさんのレビュー

2.原田ひ香『一橋桐子(76)の犯罪日記』「老い」について考えさせられる社会派小説

一橋桐子(76)の犯罪日記 (文芸書)
原田ひ香『一橋桐子(76)の犯罪日記 (文芸書)
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あらすじ

老親の面倒を見続けて、気づけば独身のまま76歳になった桐子。両親が亡くなった後の桐子は、わずかな年金と清掃のパートで細々と暮らしている。親友のトモと同居するも、病気で先立たれてしまうのだった。このままでは孤独死して人に迷惑をかけてしまう——。危機感を抱いた桐子は、ある名案を思い付く。それは、「犯罪を犯して刑務所に入り介護してもらう」というものだった。

おすすめのポイント!

「老々介護」や孤独死、老後の貧困といった、後期高齢者をめぐるさまざまな問題をテーマにした小説です。扱うテーマは重いものですが、物語全体に漂う空気は軽やかでコミカル。刑務所に入ろうとするも、決して悪人になりきれない主人公・桐子の人柄の良さに救われます。誰にも必ずやってくる「老後」に真正面から向き合った意欲作です。老後を1人生き抜こうとする桐子の姿を通じて、誰もが自分の老後について考えさせられる1冊でもあります。桐子がどのような結末を迎えるのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

親の介護もあり結婚することもなく、頼れる身内もいない桐子76歳。もう刑務所に入るしかないと思い詰めるのだが。桐子さんの穏やかさ、優しさが結局桐子さんを救うことになります。知らず知らずのうちに人助けしているお人好し。だから周りの人たちが気にかけてくれるんだな。自助という言葉がたくさんの人たちを苦しめているような世の中で起こりうる心理な気がしました。

pukuchansさんのレビュー

3.原田ひ香『三千円の使いかた』 人生を豊かにするお金の使い方を学べる家族小説

三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)
原田ひ香『三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)
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あらすじ

就職して一人暮らしを始めた美帆の貯金は30万円。結婚前に証券会社に勤めていた姉・真帆の貯金は600万円。習い事に熱心な母・智子には100万弱、祖母・琴子には1000万円の貯金がある。そんな御厨家の女性たちに、人生の節目とピンチが訪れる。彼女たちはお金をどうため、どう使ってそれを乗り切るのか。それぞれの年代にフォーカスしたお金にまつわる家族小説。

おすすめのポイント!

「節約」「投資」「老後資金」これらの言葉が気になる人は、ぜひ本書を読んでみてください。人生のさまざまなタイミングで降りかかる、お金にまつわるトラブルやピンチが、臨場感たっぷりに描かれています。まるで自分のことのように感情移入しながら読める作品です。読後には、貯金・節約・投資といった事柄を、今までよりぐっと身近に感じられることでしょう。小説として面白いだけでなく、お金のことを考える良いきっかけになる1冊なので、ぜひ手に取ってみてください。

様々な年代の登場人物が主人公となる短編小説で、短編でありながらも1つの家族の周りの話からなっているのでそれぞれ繋がりがあって面白かった。どの年代の人が読んでも考えさせらるであろう小説でした。身内に勧めたい!

みーしゃさんのレビュー

4.原田ひ香『口福のレシピ』 食べる幸せ、料理する楽しさを再認識できる作品

口福のレシピ
原田ひ香『口福のレシピ
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あらすじ

フリーのSEとして働く留希子は、料理研究家でもある。実家は老舗料理学校「品川料理学園」を経営していて、留希子は幼い頃から後継者の道が決まっていた。実家や学校の方針に反発を覚える留希子だったが、SNS発信をきっかけに料理研究家としての知名度を高めていく。忙しい女性のために、あるレシピを発信する留希子。しかしそれは、料理学校の歴史をつなぐ大切なレシピだったことから、ある問題が起きてしまうのだった。

おすすめのポイント!

老舗料理学校の歴史と、とあるレシピをめぐって交錯する人間ドラマを描いた小説です。本作を読んでいると、空腹時はもちろん、寝る前や深夜であろうと「おいしいものが食べたい」という衝動に駆られてしまいます。さらに困ったことに、「料理したい」という気持ちにもなる作品です。食べすぎや作りすぎを誘発する恐ろしい小説なので、ぜひ読む場所や時間にはご注意ください。物語は、過去と現在を行き来しながら展開していきます。壮大で温かい物語に、心がほっこりする作品です。

図書館で借りたもの。駆け出し料理研究家・留希子と、老舗料理学校を経営する母と祖母。相容れない両者の間に隠された秘密とは。料理学校の歴史をつなぐレシピを巡る、胃も心も温まる家族小説。良かった~!!!昭和初期の雰囲気と当時の西洋料理。そこに現代の料理の在り方も出てきて。言葉にするのが難しいんだけど、とにかく良かった!好き!!親子四代とか、そういう歴史を感じる物語、好きです。。

まーちゃんさんのレビュー

5.原田ひ香『ランチ酒』 絶品ランチ×珠玉の人間ドラマが楽しめる連作短編集

ランチ酒
原田ひ香『ランチ酒
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あらすじ

バツイチ・アラサーの犬森祥子は「見守り屋」として働いている。人やペット、とにかく何でも頼まれたものを見守るのが仕事だ。営業時間は夜から朝まで、寝ずの番で見守らなくてはならない。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事が終わった後の「ランチ酒」。帰路の途中、昼からアルコールを出すお店に入って、美味しいランチとうまい酒に癒される。それが祥子の楽しみだ。今日も祥子は最高のランチ酒を求めて歩き出す。

おすすめのポイント!

読めば胃袋が刺激されること間違いなしの至福のグルメ小説です。明るいうちから飲むビールやワインに日本酒、ボリュームたっぷりの美味しい食事……。祥子が味わうランチはどれも美味しそうで、思わずお腹が鳴ってしまう人も多いはず。また、グルメ描写と同じくらい心を刺激するのが、祥子と訳アリのお客たちによる人間ドラマです。悩みを抱える依頼人たちにそっと寄り添う祥子のたたずまいに、胸がじわじわと熱くなってきます。ちょっと元気が出ないとき、温かい気持ちになりたいとき、おすすめの1冊です。

どのランチも美味しそうで、実際に行きたくなる。丸の内だけは行ったことあるけど、自分も回転寿司の中では一番好きなお店。ランチひとつひとつを大事に食そうと思った。

ゆゆゆゆゆさんのレビュー

原田さんの作品は、繊細かつ温かい人間ドラマと表現力豊かなグルメ描写で人気を集めています。今回は、心がほんのり温かくなる作品を集めました。まだ読んだことがない人は、ぜひ手に取ってみてくださいね!