父・金正日と私 金正男独占告白

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163751900

感想・レビュー・書評

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  • ディズニーランドに行きたくて、パスポート偽造して日本に来そこねたイメージしか無かったのだけど、これを読んで、120度くらい評価が変わった。
    祖国北朝鮮を経済的に立ち直らせるには、今の統治機構を変えて国を開く必要があると真に思っているんだね。たしかに正恩体制が崩壊した際には国を救う指導者になる可能性は大いにあると思う。そうなると日本との関係や西欧との関係も良くなりそうな希望がありますね。
    金正日が世襲をヨシとしないと思っていたのは意外です。やはり軍部からの突き上げや、体制を変えることで国が崩壊することを恐れたんだろうか。

  • 勇気ある決断かのように、「敢えて」同意を得ず刊行した行為に心から賛同を示せない。

    おかげで読めたというのはあるけど!

  • この本を読むまで、金正男という人は日本に密入国してディズニーランドに行って捕まったダメ王子みたいな印象だったんだけど、印象がかなり変わった。
    五味という著者の質問には可能な範囲で丁寧に答えているし、自分の考えも持っている。そして家族(自分の妻、子供、そして父親も)を大切にしている。留学経験で、世界を見る目を養った人なのだなと。
    読み終わって金正男という人に好感を持てた。

    反面、この五味という著者はどうなのだろうか?メールのやり取りを載せられるだけ載せている。故に、金正男氏が出さないで欲しいと言っている時期にこの本が出たことまでわかってしまう。
    著者の意向か出版社の意向かはわからないが、自分の質問に誠意を持って答えてくれた方に対して失礼過ぎないだろうか?
    そして最終章の小説も疑問。それまでの章に書かれている金正男氏の考えからしたら、最終章の話は無いんじゃないか?

    五味氏は金正男氏と友好関係を築きたいのか、それとも本を出したかっただけなのかどちらなのだろう?

  • 金正日の長男、金正男へのインタビューや著者との間で交わされたメールのやり取りが収められている。一般的なイメージを

  • なかなか知る機会のない北朝鮮の中を興味深くよませていただきました。

  • 金正男とのメールやインタビューをもとにした本。
    イメージと違う素顔が垣間見える本だった。
    印象に残ってるのは、
    ・改革開放が必要だと認識している
    ・金正日は当初、世襲に反対していた
    ・著者である五味氏との出会いは空港で偶然
    といったところだった。

    北朝鮮の知らなかった面もみることができた本。

  • 謎めいた人物の実像を覗き見する面白さを味わえる本。金正男は見た目的に、自己節制できない、甘やかされている、だらしない、暑苦しい……という印象を受けるが、どうしてなかなか礼儀正しく良識的なのに驚いた。

    父・金正日は三世代世襲に反対であった、そんなことは社会主義の精神にも反する、それでも世襲となったのは緊急避難なしい取り巻きたちの策略、という見方も興味深い。先軍政治からの決別、開放政策への転換、国民の窮状救済を望み、腹違いの弟がその方向に進むことを願っている。

    監視されていてメールだって読まれているだろうに、こんなことを言っていいのかと心配になるコメントもある。そこまで監視されていないのかもしれないし、そういう発言を自由にさせておくことのメリットを当局が計算しているのかもしれない。

    東北大震災や原発事故に襲われた日本人に同情したり、メールに書いたりしゃべったりしたことは基本的に記事にしてくれてかまわないと腹をくくってもいる。そんなこんなで、なかなか好ましい人物とさえ感じた。あれこれへぇ〜と思わされるトリビア的裏話も少なくなかった。

    本は一見、ほとんど工夫なく、メールのやりとりを時系列で並べているが、この本の場合はこれでいいのだろうと思う。著者の解釈や評価を軸に編集されたやり取りよりも、このほうがリアリティと意外感がある。

    FacebookやTwitterもやっていると書いていたので、Facebookで検索してみたが、さすがにヒットしなかった。

  • 正男に興味あり読書。
    印象深かったのは以下。

    ●正男は資本主義に肯定的。
    ●誠実。
    ●返しがうまい。話せないことは上手くオブラートに包んで会話している。

    上記+本文を踏まえた感想。

    正男を北韓の幹部に入れれば、もっといろいろな意味で、よい方向になるのではと思った。

  • 金正男と親交のあるジャーナリストである著者が正男氏とのメールのやり取りを主軸に正男氏の人柄や考え方を明らかにした一冊

    正直この本を読むまで正男氏はただの放蕩息子というイメージしかなかったが、それは大きな誤解だということがこの本を読んで分かった

    正男氏のメール文面からは相手への配慮、世界情勢への見識の広さ、情報操作に関する慎重さ、ユーモアを持ち合わせている人物であることが読み取れる

    正男氏は基本的に北朝鮮の政治とは関わりがなく、中国政府とも関係がないと一環して主張しているが、著者の終わり書きに中国政府は正恩体制崩壊時の最後のカードとして正男氏を保護していると書かれており、その見方には納得できる

    この本を通して今まで持っていた北朝鮮という国に対するイメージがかなり変わった。単純に金正日という何も考えていない独裁者がのさばっている国という訳ではなく、金正日自身も置かれている状況に悩みながら自身が考えうる範囲で最良の選択肢を選んできたつもりなのだろう

    それが国際的に歓迎される選択であるかどうかは別の問題ではあるが、独裁者とは言えやはり一人の人間だと思った

  • メールのやりとりは取材の様相を呈していて、
    かなりひやひやとさせられる雰囲気を抱いてしまった。

    もちろん、新聞記者なのだし、本書の目的からして、
    当然といえば、当然なのだが・・・
    (敢えて掲載していない表現もあるのだろう)

    ただ、本書を読むと金正男に親近感を抱くのは間違いない。
    率直にいって、良識ある人であると思う。
    普段、それだけバイアスをかけた見方をしているというころなんだろう。

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著者プロフィール

五味洋治:1958年長野県生まれ。82年早稲田大学第一文学部卒業。83年東京新聞(中日新聞東京本社)入社、政治部などを経て97年韓国延世大学校に語学留学。99~2002年ソウル支局、03~06年中国総局勤務。08~09年、フルブライト交換留学生として米ジョージタウン大学に客員研究員として在籍。現在、論説委員。主に朝鮮半島問題を取材。著書に『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(創元社)、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)、『父・金正日と私 金正男独占告白』(文春文庫)、『女が動かす北朝鮮 金王朝三代「大奥」秘録』(文春新書)などがある。

「2021年 『金正恩が表舞台から消える日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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