- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488406219
感想・レビュー・書評
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傑作本格ミステリ。アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』のオマージュであるとともに、綾辻行人先生の『十角館の殺人』のオマージュでもある。小型飛行船「ジェリーフィッシュ」が墜落し、クローズドサークルの雪山で一人ずつ殺されていく。衝撃のどんでん返しと真相。この結末は予想出来なかった。
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出だしは少し読みにくいが、中盤から止まらない。
内容にあるように、だれもいなくなったや十角館へのオマージュがたまらない。最後があっさりしすぎたのか、次回作への伏線なのかが気になりました。
ただ、文系には最初の方がキツイかもしれない。
私はキツかった。
内容
『そして誰もいなくなった』への挑戦でもあると同時に
『十角館の殺人』への挑戦でもあるという。
読んでみて、この手があったか、と唸った。
目が離せない才能だと思う。―綾辻行人
小型飛行船で起こる、連続殺人の驚愕の真相!
第26回鮎川哲也賞受賞作
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 精緻に描かれた本格ミステリにして第26回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。 -
ミステリー書評
読書レベル 初級
ボリューム 375頁
ストーリー ★★★★★
読みやすさ ★★★★★
トリック ★★★
伏線・展開 ★★★
知識・教養 ★★★
読後の余韻 ★★★★
一言感想:ミステリ好き、ストーリーと読みやすさ重視と言う方にオススメの作品です。
『事件編』と『捜査編』のストーリーが交互に展開されていきますが、構成がしっかりとしているため、混乱する事もなく非常に読みやすかったです。また、章の最後には『新たな展開』が描かれますので、先が気になる!って感じになり、グングンとストーリーに引き込まれるのもこの作品の魅力です。 -
構成、最後の質問など、十角館を意識しているのをすごい感じた。感じたからこそ、犯人が誰かについてその先を期待してしまった。あの1行を越えれてはいないがとても良く出来た作りだった。
これ系の作品をあまり読んでない人ほど記憶に残る作品かと思う。
次作も読みたい。 -
初読みの作家さん、ここ数年で著作数も伸び、評判も上がっているようである。今作で鮎川哲也賞を受賞しておりブレイクのきっかけとなったらしい。今作もyoutubeからの情報だったと思う、どんでん返し系の佳作ジャンルで紹介されていたような?帯にも「そして誰もいなくなった」「十角館の殺人」への挑戦!云々かんぬん…興味を惹かれ購入読了した。以下ネタバレあるかもしれません、ご注意ください!!
今作は一連のシリーズの第一弾であり、〈マリア&漣〉シリーズとして続いているようである。架空の国家U国を舞台として男女二人組警察官のバディーものミステリである。作品ごとの共通項は探偵役の二人が登場するだけらしい。今作では架空の航空機(ジェリーフィッシュ)の登場と用兵が作品の根幹に関わっていた、気球と飛行船を合体させたようなフォルムで静粛性に秀でている、という特徴を持ち、軍用を見据えた試験飛行中の最中にトラブルに見舞われる…という流れであった。
構成は、ジェリーフィッシュ艦内でのトラブル、殺人へと発展するパニック劇を搭乗員視点で描く幕と、事件発覚後、墜落したジェリーフィッシュ内で起きた殺人事件を捜査する「マリア&蓮」視点の幕が交互に描かれる。
ジェリーフィッシュ内での顛末が、捜査が進展するにつれて明らかにされていくものの、どうにも腑に落ちない箇所が点在しており、世界観転覆の伏線なりヒントなりか?と思いつつ読み進めていくも、最後まで真相は見抜けなかった。特殊な環境、装備(ジェリーフィッシュ)を用いてのトリックであり、そこに至るヒント、記述などはしっかりフェアーに提示されていたと思う。しかしながら帯にあった「そして~」
「十角館~」の文句は煽り過ぎではなかろうか?と個人的には思う。
それなりにどんでん返しも楽しめたのだが、決定的な何かに欠ける、というか?どうにも凡庸な?といった読後感が否めない。長編デビュー作のようであるし、その後の市川氏の作風の原点でもあるようだ。エンタメ性が上がれば読後感のレベルが上がるような気がする。
今作の次の鮎川哲也賞受賞作は今村昌弘氏の「屍人荘の殺人」である。2010年代後半に連続して二人のミステリ作家が排出されたわけだが、ここになんとも言えない奇縁というか宿命的はものを感じるのだ。その後安定して著作を伸ばし人気を博している市川氏、今村氏である。ちょっと振り返れば2000年代初頭に「道尾秀介」「米澤穂信」二人が同時期にデビューしている。さらに振り返ればまさにレジェンド「泡坂妻夫」「連城三紀彦」両名が1970年代「幻影城」にてデビューしている。思うに傑出した人物が世に出る時、それにシンクロしてもう一名が排出される。自分の好みの作家さんを見ると必ず東西の大物が存在しているのだ。
ここから読み取るに今村氏の作品は抜群のエンタメ度でブレイクしたのは間違いなく、今作の市川氏もエンタメ性では遅れをとったものの(個人的主観)ミステリ性では極上の創作を成しえたと評価する。10年後に彼等二人が、おそらくはミステリ界でもそろって活躍しているだろう、さらなる佳作を引っ提げて!である。作品には関係ないが読了後に作家さんに持った率直な感想であった。 -
過去の時代に独自の科学技術を詰め込んだ他にはない世界観。
次々と謎が放り込まれて、次が気になり前半はあっという間に読み進めた。
どんでん返しがあっても謎が全て解明されず、見事の一言。
十角館の殺人のオマージュが素晴らしい、あの名作をいかにして超えるか作者は相当考え抜いたんだろうなと思わせる作品。 -
航空機の歴史を変えた小型飛行船ジェリーフィッシュ。その技術開発メンバー6人は、新型の飛行試験に臨んでいた。ところが、試験中にメンバーの一人が変死。しかも雪山へ不時着してしまう。脱出不可能な雪山でさらなる惨劇が…!
『そして誰もいなくなった』の系譜を継いだミステリ。ジェリーフィッシュというSFな設定を使って、雪山クローズドサークルを起こすアイデアが面白い。視点も事件発生時、事件後の捜査、犯人の独白と並行して進み、真相へと向かっていながらも謎が謎を呼ぶ展開に読む手が止まらない。
こういう作品は有名どころをいくつか読んでたけど、それでも犯人の正体はもちろん、終盤のとある会話だったり、ジェリーフィッシュを活用した仕掛けには思わず声が漏れた。巧みに張られた伏線、読み返すと「ああー!」ってなる(笑) 文章の森に真実を隠す技術はデビュー作とは思えない。ただ、首については無理があるかな。そこだけはツッコんじゃう。あと、点々がついてる文章はどうしても先に目が行きがちなので、あの殺しの一文とかはめくった次ページとかに仕込んであったらベストだったなあ。ああ!見ちゃいけないって栞で隠してた(笑)
捜査パートを担当するマリアと漣のコンビが楽しい。事件の堅苦しさを吹き飛ばすような切れ味のあるかけ合いが魅力。捜査や推理のスピード感もいい。単に捜査パートというだけじゃない面白さが詰まってる。このコンビでシリーズ化されてるみたいなので、そちらも読んでみたいね。 -
やられた‼︎というのが正直な感想。
でもそれを味わえるのがミステリーのいいところかなと思う。
ミステリーでも王道なクローズドサークルだったのに、ちょっと設定を変えるだけでこうも面白くなるのか〜って感動‼︎
導入は専門的な話や説明が多くて少し退屈だったけど、徐々に人間味のある話になり最後のマリアが犯人に言った言葉にはおおーってなった。
満足といえば満足なんだけど…読み返したいと思えないのが…