ジェリーフィッシュは凍らない (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 285
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488406219

感想・レビュー・書評

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  • トリックなど、良いアイデアだとは感じたけど、なんか、そして誰もいなくなったや、十角館のような、騙されて嬉しい、、、見たいな興奮はなかったです。
    なぜかなと、以下、思いつくことをあげてみる。
    犯人の動機。子どもの頃の出来事が、連続復讐殺人になる、異常さ。納得感がない。
    最後の質問と答えは、始めから分かっていたこと。今更感。
    1番怪しい奴が、すり替えの可能性を示唆する首無し、ひねりがなく犯人。精神不安定の顔の取り違えは、アンフェアかと。
    脱出の肝である2台飛ばしも割と簡単にヒントがあり、驚き少なし。

    良いところは、マリアと蓮の軽妙なやりとり、テンポ。
    3場面進行の面白さ、飽きさせなさ、だれが犯人なの、というスリル。

  • 「ジェリーフィッシュは凍らない」
    第26回鮎川哲也賞受賞作。


    「そして誰もいなくなった」「十角館の殺人」への挑戦。クローズドミステリーに、あの文言を風物させる一言に、ジェリーフィッシュと言う空想の産物。その結果、最後の締めを含めて、見事に完結させている。


    特殊としては、パラレルワールドの80年代を舞台にしている点。独自の技術発展により、ジェリーフィッシュが開発され、その根源が今回の連続殺人事件の発端になっている。この設定がトリック創出にも貢献していて、関係者が一人ずつ減っていく為、結末の意外性の演出が難しい点を解決していると言う解説には頷かざるをえない。パラレルワールドのおかげ様々だ。と思うが、よくぞこれを組み込もうと思ったものだ。


    ジェリーフィッシュを舞台にする殺人を描く過去と警察のマリアと蓮が捜査を進めていく現在の2パートの合間に、犯人の独白が挟み込まれている。


    キーワードはR。これを頼りにマリアと蓮は捜査を進めていく。冷静沈着な蓮と奇抜な発想型のマリア。二人は本事件以降もタッグを組むが、いきなりでかい事件にあたったものだ。解決まで見届けると尚更思う。こりゃ上手くやられたものだと。とは言え、最後まで来たのだけでも凄腕だ。こりゃ分からんて笑。それでも、閉職に追い込まれるなんて、そしたら空軍はどうなるんだ?とか思ったり。


    稀代のミステリーに挑戦と言うのは偽り無し。

  • 先端技術を取り入れた新型飛行船で起こった密室殺人。現場、警察、犯人目線でストーリーが進む。殺人トリックはある程度よめるけど、これは線の細さが鍵だなと読み進め。あ、そうやって落としちゃうのか、、からの秀逸な刑事さんの台詞にうけてしまった。臨場感、キャラの個性、展開の早さも良くて前半は面白かった。ただ、答え合わせ的な最終章にそれまであった熱量をあまり感じられず、なんかもったいなく思いながらの読了でした。

  • ジェリーフィッシュという、架空の乗り物で起こる連続殺人。深読みしながら読み進めていったけど、そのパターンは見落としてた

  • 沢山のトリックが散りばめられていてどんでん返しのような展開でした。
    犯人が物語後半までわからずとてもわくわくさせてもらいました。

  • うーん、何だろう……私にはあんまり合わなかった?
    話のオチも読めちゃったしテンポ感もちょっと苦手で……続き読んでみたら少し印象変わるのでしょうか?

  • 試験飛行中の飛行船が突如制御不能となり、雪山へ避難するが、数日後、全焼し乗組員は全て他殺体となって発見された。クローズドサークル。密室。最高に面白かった!章立て、キャラクター、数多い謎と緻密な推理、とれもドンピシャに好みで、とても読み応えがあった。読後の余韻もなんとも言えず良い。もっと早く読めば良かった〜マリアと蓮のコンビ、特に蓮のクセになるイヤミがまた見たいので、次も読みます。


  • 『ジェリーフィッシュは凍らない』
    市川憂人
    いわゆる『クローズド・サークル』もので、著者である市川憂人さんのデビュー作とは思えない緻密さで、二度読み必死の本作、21世紀版『そして誰もいなくなった』と言われる程の評価を受けており、物語の舞台はこの世界とは異なるパラレルワールド。最近流行りの特殊設定ミステリーです。愛されキャラのマリアと連の凸凹コンビが事件を解決するシリーズの第一作目となり本書はミステリー好きとしては外せない一冊になっています。『ジェリーフィッシュ』という物語独自の小型飛行船が登場しますがクラゲの事ですね。視点は主に三つのパートに分かれ、新型ジェリーフィッシュが事故を起こすまで、刑事たちが事故を捜査する過程、そして犯人の独白が順番に繰り返される構成となっています。
    特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”。その技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところがその最中に、メンバーの1人が変死。さらに、試験機が雪山に不時着してしまう。脱出不可能という状況下、次々と犠牲者が… アガサクリスティーのそして誰もいなくなったをオマージュした本作、同じく誰もいなくなったのオマージュ作品の綾辻行人の十角間の殺人と似た構成となっており挑戦的。吹雪吹く雪山そして誰もいなくなった飛行船残された死体は全員他殺、犯人はどの様に犯行を成し遂げそしてどこへ消えたのか、謎が謎を呼ぶ本作、クローズドサークル・特殊設定、叙述トリック、どんでん返しと全てのエンタメ要素が詰まっています。個人的に好きなのはやはりラストシーン、まるで映画の様な美しき壮大なラストシーンは本書が傑作だと知らしめていますし、何より主役はあくまで空飛ぶクラゲなのだと痛感させてくれてサイコーの読後感が得られます。
    凍える雪山であなたならどの様に脱出しますか!「ジェリーフィッシュは凍らない」壮大な映画の様な世界をご堪能下さい

  • 雪山に不時着した、小型飛行船(ジェリーフィッシュ)。閉鎖状況の艇内で起こる連続殺人―。

    初めての市川憂人san。

    「ジェリーフィッシュ」、「地上」、「インタールード」の3つの視点で進んでいきました。しかも、プロローグでいきなりの殺人・・・これで釘付けに。『方舟』以来のクローズド・サークルミステリーでした。本作もあっという間の読了です。

    アルファベットの国名や、マリア&漣の少し古い感じの海外ドラマ?の様な会話も、私は楽しめました。特に最後で犯人を追い詰めたマリアが、”馬鹿だ”といった真意。これが犯人の心に届いたと思ったのですが。。ラストシーンも納得です。読了後、あらためて綺麗な装丁を見て、しばらく映画を観たような気分になりました☆

    【第26回鮎川哲也賞】

  • 登場人物を外国人で構成したので、名前が日本人名でなく、最初はストーリーを追うのにちょっと苦労した。
    マリアとレンを中心とする捜査の物語が、海外小説の翻訳本?といった風情も感じられた。
    (悪い意味ではなく)
    このコンビについては、この後のシリーズでも活躍を期待させる。

    80年代を舞台にしているが、真空気嚢式浮揚艇といったSF設定の話自体は、違和感なく入っていけた。

    全体としては、雰囲気のある物語に仕上がっているのだか、ミステリーという意味では、なぜ、単に模型店でたまに話しをした関係のレベッカのために、6人もの殺人をしなければならないのか?あそこまで時間をかけて。いくら愛していたのだとしても…
    また、UFA社含め、エドワードという人間を秘密にできたのは、ちょっと無理があるか。
    あと、乗っていたのは6人だけというトリックでサイモンの死体を使ったが、切断したとはいえ、死体全部の部位をクーラーボックスを使って持ち込むのは他の人間から相当目立つと思う。

    謎解きものとしては、動機、方法ともに、納得できない部分も多い。
    しかし、状況説明、人物描写、ジェリーフィッシュ、UFA社などの丁寧な記述、文章力が優れているため、惹きつけるストーリーになっているような気がする。

    ブルーローズ、グラスバードも読んでみたい。

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著者プロフィール

1976年、神奈川県生まれ。東京大学卒。2016年『ジェリーフィッシュは凍らない』で、第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。他の著書に『ブルーローズは眠らない』、『グラスバードは還らない』(以上東京創元社)、『神とさざなみの密室』(新潮社)など。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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