松本清張さんおすすめ10選 前編〜巨匠の多才さがわかる作品たち〜

こんにちは、ブクログ通信です。

松本清張さんは、「戦後日本文学界の巨人」と称される国民的大作家です。1951年に発表した処女作『西郷札』は、直木賞候補となります。1952年に発表した「或る『小倉日記』伝」では第28回芥川賞を受賞し、作家としての地位を確立しました。1955年からは推理小説を書き始め、『張込み』をはじめとする名作の数々を生み出します。その作風は「社会派推理小説」と謳われ、松本清張さんの登場以前と以後では、日本文学界が変わったといわれているほどです。

ベストセラーを連発し、「清張ブーム」まで起こした名作家である松本清張さん。今回は、ブクログから松本さんのおすすめ作を10選ご紹介します。松本さんの代名詞ともいえる社会派推理小説から重厚な人間ドラマ、初心者向けの短編集まで幅広く揃えました。松本さんのファンの方はもちろん、初めて作品を読む方にもおすすめの作品ばかりです。ぜひチェックしてみてくださいね!

『松本清張(まつもと せいちょう)さんの経歴を見る』

松本清張さんの作品一覧

1.松本清張『点と線』 日本ミステリ界の金字塔!著者処女長編にして代表作の1つ!

点と線 (新潮文庫)
松本清張『点と線 (新潮文庫)
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あらすじ

九州は博多付近のとある海岸で、男女の死体が発見された。役人と料亭の女との心中——そう思われた事件に、あるベテラン刑事が疑問を抱く。死んだ役人には、巨大な汚職事件との関りがあるのだった。やがて、1人の容疑者が浮上するものの、彼は鉄壁のアリバイに守られていて……。どうしても覆せないアリバイ崩しに挑む刑事たちの執念を描いた、ミステリ界の歴史に残る傑作長編小説。

おすすめのポイント!

この作品は、松本清張さんの代表作の1つであり、史上空前の推理小説ブームを巻き起こした歴史的名作です。約40年前の作品ですが、古さは全く感じさせません。本作はベストセラーとなり、当時の日本のミステリ界に新たな風を吹き込んだといわれています。鉄壁のアリバイに立ち向かう刑事たちの、実直な姿が丁寧に描かれている点が、本作の見どころです。容疑者を追い詰めていく緊張感、巧妙に貼られた伏線と鮮やかな謎解き描写に、ページをめくる手が止まらなくなります。1958年に映画化、2007年にテレビドラマ化されました。

松本清張の本を初めて読みました。推理小説だったとは!すごくスムーズに話が進んでテンポ良く読めて良かったです。推理小説は伏線が回収される所が面白い!他の作品も見てみたいと思いました。

新米読書マンさんのレビュー

2.松本清張『張込み』昭和の暮らしを背景に、「人間の業」を暴き出す短編集

張込み 傑作短編集5 (新潮文庫)
松本清張『張込み 傑作短編集5 (新潮文庫)
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あらすじ

強盗殺人を犯した石井久一は、かつて恋人だった女の住んでいる町を訪れた。今は嫁ぎ、平凡な主婦となった女だ。一方、石井を逮捕するために張込みをしていた刑事・柚木は、石井が女の生活を壊さないことを願っていた——(『張込み』)。劇団員の井野良吉のもとに、銀幕デビューの話が舞い込んだ。俳優として成功したいと願いつつ、井野には秘めた過去があって——(『顔』)。表題作を含む、8編を収録した短編集。

おすすめのポイント!

松本清張さんの作品の中でも、名作と謳われる『張込み』『鬼畜』を収録した短編集です。松本さんといえば、読み応えのある長編小説をイメージする人が多いかもしれません。しかし、実は短編作品においても、高い評価を得ている名作が少なくないのです。本作は、推理小説というよりも重厚な人間ドラマを描いた作品が集められています。ごく普通の人々の、ごく普通の暮らしの中で、ふとしたときに出現する狂気や執念、悲哀といった感情を丁寧に描き出した作品集です。巨匠・松本清張の圧倒的な筆力を堪能できる1冊となっています。

松本清張氏の作品は短編の方が好きです。無駄がなくシンプルなのに、読むたびに違った見方ができて。さらに自分の想像で膨らませていくのも楽しい。ミステリだからトリックがある。社会派といわれるだけに当時の世相も反映されてる。だけどこの方の本当の魅力は行間を読ませる文章力だと思います。「一年半待て」のラストも、「顔」の二転三転する状況も、大筋では同じことを書いても、同じだけのインパクトを与える表現の仕方ができる作家さんはいないでしょう。

courbetさんのレビュー

3.松本清張『神と野獣の日』 40年以上の間、根強い人気を誇るSFパニック作品

神と野獣の日 (角川文庫)
松本清張『神と野獣の日 (角川文庫)
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あらすじ

ある早春の午後、官邸の総理大臣に緊急電話が入った。「緊急事態発生です」——防衛省統幕議長が告げたのは、Z国から東京へ複数のミサイルが誤射されたという知らせだ。発射されたのは、5メガトンの核弾頭ミサイルが5基。1発で、東京から半12キロ以内が全滅するという。空中爆破も迎撃もできず、ミサイル到着まで残された時間は43分。ラジオ・テレビの臨時ニュースで、日本中に真相が知らされるが……。

おすすめのポイント!

核ミサイルが飛んでくる、しかも到着まで1時間もない——そんな絶望的な状況におかれた人びとの、欲望と感情をむき出しにした姿を描いた作品です。「死」を目前にした時、人はどんな行動を取るのか。残された時間をどう過ごすのか。瀬戸際に立たされた人間の心理を、ときに滑稽に、ときに辛辣に、松本さんならではの臨場感あふれる描写で巧みに描き出されています。隠れた名作と名高い作品なので、ぜひ手に取ってみてください。

私にしては珍しく、夢中で読んだ一作。あの、東日本大震災の時の東京について人から状況を耳にするに当たり、この一作のエピソードが私の頭の中を鮮明に過りました。松本氏にしては珍しいSF系の小説。なかなか現実味があり、こういった仮定の中で日本は何ができるのか、私個人が何をする事ができるのか緊迫感を味わいながら、深く考えさせられる一冊です

まむさんのレビュー

4.松本清張『黒い画集』 愛憎渦巻く人の心を切り取った、衝撃的な短編作品集

黒い画集 (新潮文庫)
松本清張『黒い画集 (新潮文庫)
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あらすじ

山岳雑誌に掲載された、とある遭難事故の手記。会社の同僚3人で登山したものの、道に迷い遭難事故が発生したときのものだ。事故では、疲労凍死により1名が死亡。やがて、亡くなったメンバーの姉の依頼により、事故当時のリーダーである江田、従兄の槙田が弔い登山に出かけることになるが——(『遭難』)。誰もが経験するような、ふと魔が差す一瞬。罪を犯す人間たちの心を、赤裸々に描き出す短編集。

おすすめのポイント!

7つの短編が収められた作品集です。どのお話も、ごく平凡な暮らしの中でふと魔が差す黒い瞬間を、巧みに切り取っています。人はなぜ罪を犯すのか、犯人はどんな心の揺れを経験していたのか——犯罪心理を巧みに描写する、巨匠の腕が光る1冊です。「黒い画集シリーズ」として3つの映画が製作され、収録作からは『遭難』『証言』『寒流』が映画化されました。また、シリーズとは独立する形で、『天城越え』も映画化されています。小説と映画、どちらもオススメです!

短編七編のうち四編までが、男と女の愛憎を描いている。一般論として、女の嫉妬は時として激しいが、男の嫉妬は醜悪に見える。と、つくづく思わされたのが「坂道の家」である。全体的には、男には男の立場の秘密、女にも同様に持ち合わせているのです。自らの安全と出世を願う人たちは、誰しもが持っている不透明な部分を、見せかけのアピールで透明性を保つことで、組織の中で安心感を与え出世コースを辿るのであろうが、少しでも不透明な部分を見せてしまうと排除されてしまう。

ニコさんのレビュー

5.松本清張『球形の荒野』 平和のために犠牲になった男の悲哀を描くリリカル・ミステリー

球形の荒野 (上) 長篇ミステリー傑作選 (文春文庫)
松本清張『球形の荒野 (上) 長篇ミステリー傑作選 (文春文庫)
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あらすじ

奈良・唐招提寺に旅行でやって来た芦村節子は、芳名帳に見覚えのある筆跡を見つけた。大戦末期に某中立国で亡くなった、叔父・野上顕一郎のものによく似ている。野上は外交官をしていた。独特な筆跡の持ち主で、記された名前は違っていたが、「もしや……」という想いが拭えない。身内の誰もが取り合ってはくれない中、野上の娘の恋人である添田彰一だけが、ある疑念を抱くのだった。

おすすめのポイント!

これまでに度々映像化されてきた、人気作品です。戦争に翻弄された父と娘の人生を、しっとりと抒情的に描いています。一方で、戦争をめぐる国家間の問題や、人びとに残された戦争の爪痕といったものにも触れており、社会派ミステリとしての魅力も併せ持つ作品です。1975年に映画化、これまでに8度ドラマ化されました。ドラマ版では、田村正和さんや寺尾聰さんらが野上顕一郎役を務め、重厚な演技で視聴者を魅了しています。ぜひ映像化作品も併せてチェックしてみてください。

面白くてぐいぐい引き込まれた。松本清張のミステリーに出てくる女性はおしとやかな人が多い。サスペンスはどろどろした女性が出てくるイメージ。

さいとうさんのレビュー

松本清張さんといえば、日本文学界の巨匠の1人です。今回は、ファン人気が高く、初心者にも読みやすい作品を揃えました。戦後の日本文学界を変えたといわれるその巧みな文章を、存分に味わってみてください!後編5作品もお楽しみに!