チルドレン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 25048
レビュー : 2325
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757249

作品紹介・あらすじ

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々-。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 続編を読むために再読。

    あぁ、思い出しました。陣内のこの感じ!
    騒がしくて、ふざけたことばかり言っていて、
    からまれている少年を、いきなり殴るなんてありえないでしょ(笑)!
    前も「侏儒の言葉」と「トイレの落書き編」を読みたいと思ったんだっけ。
    今回も、支店長をハゲと言った犯人(行員?)のその後が妙に気になります。

    「かわいそうに…」と通りすがりの人にお金をもらった盲目の永瀬に、
    「俺もお金が欲しいのに、お前だけずるい」と、陣内が怒った場面と、
    永瀬に「一緒に服を選んで」と声をかける鴨居のエピソードが好きです。
    ハンデを背負った人を、かわいそうだと決めつけないこと。
    一見無神経に思えるような行動が、優しさにつながることってあるんですよね。

    そして、自分なりのルールというか、ぶれない陣内が羨ましいです。
    それに振り回される周りの人は、大変なのかもしれないけど…(笑)
    どうか陣内は陣内のままでいて下さい。

    「人間はな、縛られてたってな、飛ぶことくらいできるんだよ」
    この陣内の言葉が大好きです。
    最後、くまさんの着ぐるみ姿の陣内が走り去る姿に、
    ほっこりとして本を閉じました。

  • 再読です。

    日常系のミステリー。登場人物がみんな魅力的です。

    陣内の根拠のあるようなないようなわからない自信がおもしろいようなかっこいいような…(笑)
    盲目の永瀬が通りすがりのおばさんにお金をもらった時に、ずるいと激怒し、お前はラッキーだなと本気で羨ましがっている姿が清々しくてよかった。

    家裁の調査官の仕事は奇跡を起こすこと、大人がかっこよければ子どもはグレない…など、シンプルだけど妙に言い得ている台詞にはっとさせられます。

    最後の「イン」の陣内の行動ですべてのお話が繋がり、からっとした笑い声をあげたくなります。永瀬の独白、日向ぼっこをしているようなあたたかい気持ちで読み終えました。

  • 再読です。
    サブマリンを読もうと思って、本棚登録していたら、それがいつの間にか文庫化されて、そこでチルドレンのことをほとんど覚えていないことを思い出した。
    初めてチルドレンを読んだのはいつだったか。10年以上前だ。自宅の本棚には、単行本のチルドレンが、だいぶ日焼けをして突っ込まれている。当時のわたしは家庭裁判所調査官を目指していて、結局面接で落ちてしまったのだけれど、まあ、そんなわたしの人生は置いといて。
    大好きな作家さんが、自分がやりたいと思っている職業、しかもかなりニッチな職業のことを描いているというのはとてもゾクゾクする事態で、その運命に震えが止まらなかったことを憶えている。

    と、当時はそんな感じで作品に触れていて。今回はまた違った視点で読むことができました。そしてきっと、今は、なることができなかった家庭裁判所調査官のことはもう自分の中で整理ができていて、人に関わる仕事をしながら、それなりに生きているからこそ、何の気なしに読めたんだと思います。

    驚くべきことに全く覚えてなかった。だからめちゃ楽しく読めました。

    当時は年上だった陣内と武藤も、今はわたしの方が歳を重ねていて、初見の時は、今の自分、陣内より歳を重ねた自分がこういう人生を送っていることは想像もしていなかっただろう。
    人に関わる仕事というのは、心のエネルギーを使う。何かしらの決断や判断をしなければならない時、最も負荷がかかる。人の人生の方向を決めるような、そんな瞬間だからだ。陣内は極端だけれど、彼の言う「適当でいいんだよ、適当で。人の人生にそこまで責任持てるかよ」は、実は常に持っておきたい視点、かもしれない。相手のために一生懸命考えることと、相手のために代わりに答えを出すことは全く別で、何かを決めるのはその人なわけであるから、いくら対人援助の専門家であっても、そこには踏み込んではいけないんだ。専門家は、これからもその人が生きていくために、その人が自分で決められるよう、手助けをするんだ。だからいつも、わたしは仕事で煮詰まると、こう思うようにしている。「まあいっか、人の人生だし」。これからは、陣内語録も加えていこう…

    この、陣内が中心にいながら陣内は決して主人公にならない感じは、朝井リョウを思い出させました。伊坂先生にインスパイアされたんですかね( ˙-˙ )

    • naonaonao16gさん
      mariさん
      素敵なコメントありがとうございます(^^)
      「適当」、できるようになったの、最近なんですよ~
      わたしもこのような考え方になれた...
      mariさん
      素敵なコメントありがとうございます(^^)
      「適当」、できるようになったの、最近なんですよ~
      わたしもこのような考え方になれたのは、カウンセラーさんであったり、敏感力と鈍感力を持ち合わせている人との出会いであったりしました。
      mariさんが今後、誰かに対してもご自身に対しても、選択を尊重できますように…❁⃘*.゚
      2019/05/26
  • 短編集のふりをした長編小説。
    時代が前後し、語り手も変わるのだけれど、物語はちゃんと繋がっていて、最後には気持ち良いほどスカッと結ばれる。
    清々しい程の疾走感に、読み終わったあとはしばらく放心状態。心が火照ったまま。
    陣内のぶれない態度とうざったいほどの自信に満ち溢れた言動は、ちょっと一歩引いたところから眺めていたいだけの(実はあんまり関わり合いたくない‥‥笑)周囲の友だちや、私をも無理矢理巻き込んでいく。
    ちょちょっと待って!と声をあげても後の祭り。
    でも、なぜか、私たちはいつのまにか、めちゃくちゃにも思える陣内の魅力にはまり惹かれていた。

    そう。こういう男がきっと奇跡を起こすのだ。

  • 伊坂さんの本は、やっぱり伏線が楽しい。
    『侏儒の言葉』を読んでみたくなったので、早速買ったけど、陣内版の方も面白そう。

  • この言葉には大変申し訳ないのですが…
    『絶対』という言葉が『陣内』に見えてしまう。

    なんと厚かましくて、インチキくさくて、高慢で
    鼻持ちならない言葉なんだろうと
    気を付けて扱わないといけないと気を引き締めても
    その裏にある思いもよらない鋭さや真っ直ぐさや広さに
    口をあけたまま引き寄せられてしまうんです。

    『絶対』も『陣内』も魅力ありすぎです。

    伊坂さんの『サブマリン』が読みたくて
    こちらの続編ということで手に取りました。

    陣内の放つひとこと。
    「世の中のことには全部興味があるからな」は
    伊坂さん自身のことではないかと思っちゃいます。
    そしてずっとずっと、そうあってほしいとも。

    続けて続編が読める私の今の状況。
    永瀬のように、私も感じます。
    すごい特別な時間なんだと!!
    この特別ができる限り長く続くことを切望します。

  • 伊坂幸太郎には珍しい短編集。
    それぞれの物語の進んでいた時は異なるが、一貫して「陣内」という男が登場する。
    その男は、絶対という言葉を使う奴は信じられないと言いながら、簡単に絶対と言い切り、即座にその言葉を撤回する。こんな自分勝手な変わった人はいないと思う。しかし、彼は彼なりの正義を貫き、他人に流されることなく、常に何かに向き合い、闘っている。その姿は、つまらないことにかっこをつけているよりも、とてもすがすがしくて、見ていて勇気をもらえる。
    目の見えない永瀬という友達に陣内が言い放った言葉が忘れられない。ふとした時に、永瀬は全盲であることから人に哀れみを受けて特別視させることがあった。そのときには、陣内は必ず、「ふざけんじゃねえ。お前だけが特別だと思うなよ!」と怒るのだ。当然周りは、一瞬当惑するが、陣内はお構いないしだ。一見、陣内の性格からすると、後先を考えず配慮に欠けた言葉を言っているようにも感じるし、否定できないだろう。しかし、この陣内の一言から、永瀬は全盲である自分を一人の人として対等に扱っていることに、他の人との違いを感じて、安堵の気持ちを覚える。
    陣内は、一般常識を身にまとわずに、自身の感性に素直に、人と向き合う。
    その姿は、どこか冷めた、都会に暮らす現代人にはない、一つの勇敢な生き方があると感じた。

  • 続編である「サブマリン」を先に読んでしまい、面白かったのでこちらにも手を出してみた。伊坂幸太郎にしか作り出せない、そして伊坂作品にはいかにも出てきそうな陣内というキャラクターの、様々な場面を切り取った短編集。やっぱり陣内、好きだなー。
    これを読むと、サブマリンがいかに上手にキャラクターを掘り下げているかがよく分かる。

  • 2019/04/25再読
    続編のサブマリンの前に、「あの」陣内がどんな人物だったか全く思い出せず再読。
    忘れたわけじゃないのだ。伊坂さん作品は結構キャラの強い人物が多いので、どれの誰だっけという感じ。
    読み始めてすぐ、あ~!これね!と思わずほくそ笑んでしまった。荒唐無稽な愛すべきキャラ。
    友達にはしたくないけど、友達の友達にはしたい(笑)
    チルドレンⅡのライブ会場でのあの結末、好きだな。あ、もしかしてと思ったら、涙で出そうになった。歳かな。

  • 「陣内」と登場人物たちの周りで起こる「出来事」や「事件」、それらに対して陣内の起こす行動がもたらす「奇跡」を魅力あるそれぞれの登場人物たちの視点から描いた、穏やかで優しい短編集ストーリー。
    ただシンプルに面白く、胸が熱くなり、読んでいて気持ちの良い作品です。

    一編だけでは物足りない、けれどそれが五編集まり一冊の本となることで完結するこの作品は、読み終えたときにはなんとも言えない爽快感が走り、同時に温かなものがじわりと胸に広がる感覚があります。
    構成が完璧で、蛇足も付け忘れもない、文中に表れる伏線が残らず綺麗に回収されていくのがとても心地良いです。短編集としてはもちろん、ある意味では長編の一作品としても楽しめます。
    また、淡々と描かれた日常の一片の中で陣内が魅せる、真っ直ぐで熱くて情熱的なもの、そういうものに意図せずも感化されてしまう人々が無意識に顔を上げて前を向いていく場面はひたすらに圧巻でした。
    綺麗事や常識という疎ましい概念を一度捨て置いたあとで、人の心の根本をダイレクトに打つ陣内の人柄と行動、それをさらりとしたタッチで描ききる伊坂幸太郎の巧みな構成と描写が魅力な一冊です。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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