白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104331

感想・レビュー・書評

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  • 医学界の封建制について、こんなにもドロドロしているのか…と感心してしまった。
    そう思えるほどに登場人物一人一人の「自分を大切にしたい」「自分の人生を良いものにしたい」という欲望の描写が丁寧であった。
    続きも読みたい。

  • 男の嫉妬、足を引っ張り合い、強い者には追従し、用がすんだ者はバッサリ切り捨てる嫌らしさ。
    男の嫉妬は女以上に醜い。

  • 大学病院で働く人々とうごめくそれぞれの思惑。
    書かれたのは昭和40年頃とあったけれどそこから50年以上経っても大学病院は同じ状況のような気がする。
    続きが気になる。

  • 医療技術を持つが、野心と驕りをもつ主人公、財前の教授選挙に絡む大人の事情が徐々にエスカレートしていく本巻、財前の医療技術の優秀ぶりに胸をすく思いである一方、現教授との確執があらわになっていく過程には辟易とする。こういうことが少なからずどの業界でもあって、たまたま舞台が医療事故という重大事件を孕む病院での出来事であることがストーリーに重みをもたせるのでしょうね。
    つい、テレビドラマであてられた俳優をイメージしながら読んでしまう。
    それにしても時代は昭和30年以前の、戦後間もなくのことで、医療技術がとても発達していることに驚く。特に外科施術なんぞは現代と大きくは変わらないイメージです。作者は例によって多くの取材でリアルな舞台を用意しています。
    それにしても財前を取り巻く重鎮たちの高笑い「あっはっはっ」には苦笑。

  • 重く固い話なのに、ものすごく読みやすい。お金の価値以外に時間的な古臭さを感じることもなく、ぐいぐい読めてしまった。

  • 5巻もあるし医療の話だし難しいかなーと思いきや、面白くてのめり込んで読み切った。

    生々しい人物と、考えさせられる締め方、
    さすがです。

  • 今更ながら山崎豊子さんの名作を読みました。財前教授と里見教授の真反対な生き方が非常に対照的。里見教授のような生き方に憧れる。

  • 【読前】
    山崎豊子に初挑戦。
    連載時期は自分が生まれる前………両親が高校生ぐらい?………といういわば“古典”的な大作。

    ●現在の感覚で読んで、当時の文体に馴染めなくはないか?
    ●文庫で5冊という超大作、集中力を切らさずに読み進められるか?

    と、一抹の不安も(苦笑)。
    2012.11.15.書。

    【読了】
    面白い!

    ●身長・体重の表記が“尺、寸”や“貫目”とか(笑)。
    ●“言う=云う”、“立つ=起つ”とか(笑)

    古い表記や、医療業界の細かい描写、専門用語の乱発など、とても読みにくく時間もかかるが、物語には十二分に引き込まれた。

    自分の父が学生だった頃に描かれた作品。

    東北の田舎町で育った父から聞いた昔語りでの、町の様子や人々の暮らしぶりと、本作品に描かれる大都市大阪で権謀術数を繰り広げる医学者たちの生活との違いが、なんと大きなことか…。

    “格差社会”がどうのこうのと最近言われているが、戦後発展期の日本にも……というか当時だからこそ?より大きく越えがたい格差が存在したのだな、としみじみ思った。


    ……財前助教授は、どうにもこうにも唐沢寿明にしか見えないという(笑)。
    あのドラマを観ていたわけではないのに……相当な存在感のある演技をしていたのだろうな、と。

    ★4つ、7ポイント半。
    2012.11.21.了。

  • 久しぶりに再読。やっぱり面白い!

    教授選をめぐる大学病院内の縦社会が細密に描かれている。医学用語も多いが問題なくとても読みやすい。

    やはりドラマを見ているのもあって、登場人物にドラマの配役を当てはめてしまうけど、イメージぴったり。財前役は唐沢寿明には線が細すぎるかな?と思ったけど、冷静かつずる賢い財前を演じるのはやはり彼しかいなかったと思う。

    2巻も楽しみ。

  •   山崎さんの小説は難しい内容にも関わらず、わかりやすいのでとても好きです。けれど財前教授のことは最後まで好きになれませんでした。彼の弱い部分や母親に対する思いやりも見えたけど、あの目上の人に対する媚びようと目下の人に対する見下しようは見ていて気分が悪くなりました。

      それと反対に里見さんは大好き。家族のことを1番に考えたら確かに彼は手を出すべきじゃなかったのかもしれない。けれど、彼以外に遺族を助けられる人はいないという事実に直面して、医師生命をも捨てる覚悟で正面から立ち向かっていく姿は本当ににかっこよかった。「僕は学問的業績に埋もれた医学者である事より、無名でも患者生命を大切にする医者である事を選ぶ」と言える彼の強い信念が多くの人に影響を与えることができたのだと思う。

      その信念に影響された人の1人、佐知子の言った「自分が出来る時力を貸すのは誰でも出来る事で、自分が出来ない時にでも何とかしてさしあげるのがほんとうの尽力というものではございませんかしら」という言葉には、改めて気づかせてくれるものがありました。

      医者は、癌患者に対して徹底的にその人が癌であることを隠します。患者にショックを与えない為にそうするんだろうけど、私だったら知らせてくれた方が嬉しいのに。死ぬことがわかってるならなおさら。

  • 不朽の名作。

  • 第5巻にて。

  • 過去に読了しているシリーズではあるけど、TVドラマの再放送で読み返してみようと積んでる。
    人としての良心とエゴの境い目ってなんだろう、って考えさせられる。

  • 続きが気になる。

  • 人が多くて頭がこんがらがってしまった、、、

    人を救うという病院であんなパワーゲームが繰り広げられてるなんて、知りたくないと思いつつ
    先輩に勧められて2巻へすすむ!


    純粋に助けたいとか、そんなお医者さんばかりではないのかねー。

  • 全巻感想。

    長かったけど面白かった。とにかく財前っていう欲も実力も人以上にあるキャラクターが面白い、嫌な奴だけどラストは痺れた。

    医学的知識が殆どない状態からスタートしたとあとがきで書いてあったけど、そこからここまでの話を作った事に驚く。

  • 国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。
    (1965年)

  • 再読。

    時代の流れを感じさせない筆力。
    「文化アパート」があったり、携帯電話の描写がないことから昭和であることは分かるけれど、古い時代の物語という印象はない。

    1巻は教授選前半まで。

    唐沢・江口ドラマからももう20年くらい経つかな。観たいけれど今のところDVD購入しか方法がない。

    ※唐沢・江口ドラマは2003年、15年前でした。

  • 1-3巻が元の"白い巨塔"、4-5巻が"続・白い巨塔"。
    大学病院内での教授の座をめぐる権力争いとその渦中で起こる医療ミスをめぐる裁判を描く。教授選挙の決着と医療ミス第一審判決までが本編、学術会議会員選挙と控訴審判決までが続編。

    昭和の金と力の時代を描き切った作品。その意味では本編完結までが純粋な作品。
    本編の医療ミス裁判の現実社会での反響が大きく、作成された続編では、裁判と主人公の身に起こる異変が並行して進む。結末は裁判と天命により主人公の人生にけりがつけられる一方、単なる悪役ではない誇り高き医療者の一面を示して終わる。

  • この作品は、主人公の財前は悪役として、財前を告発した患者さん家族の味方となった里見は正義として描かれているが、実際には、財前はむしろ被害者であって、本当の悪人は里見なのではないか。

    物語の序盤、財前は、手術した患者さんの肺転移を見逃す。まわりはそれに気がつきつつ、誰もそれを財前に進言できないままに状態は悪化する。里見もまた、財前に「これは肺転移だ」と進言したはずだけれど、結局生検は行われることなく、患者さんは亡くなってしまう。

    患者さんの経過において、もちろん責任者は主治医であった財前だけれど、患者さんは結局亡くなってしまったとはいえ、訴訟を回避できた可能性は無数にあった。肺転移した胃癌に対して、昭和40年代の医療でできることはほとんど無かっただろうから。
    ところが『正義の人』である里見があの場所にいたことが、そうした可能性を閉ざしてしまった。

    「対等な関係」にある誰かが「正義の人」であったとき、その組織で致命的な失敗が起きる確率は飛躍的に高まってしまう。

    ぶっちゃけ、「白い巨塔」の里見という人は、一緒に働くにはけっこう厳しい。

    何か問題を発見すると、里見は「これは問題だ。君はこうするべきだ」といったやりかたで問題を指摘する。プレゼンテーションのありかたとして、これは微妙に挑発的で、「売り言葉に買い言葉」的な状況に陥りやすい。

    里見の助言は、それを受け入れる側に「ただ負ける」のではなく「大きく負ける」ことを強要する。兵隊の位が異なっているのなら、特に相手が明らかな上役ならば、こうした言い回しは全く問題にならないけれど、対等な関係という、組織においてバランスを保つのが難しい状況において、「大きく負ける」ことを素直に呑むのは難しい。

    同じ状況に置いて、里見が常にヘラヘラとした、いっそ財前に「ちゃん」付けで呼びかけるような態度の人物であったら、白い巨塔のような問題は発生しなかった。
    財前に見逃しがあって、里見がそれを見つけたとして、「財前、お願いだからこの検査をやってくれないか?」とか言って、財前の肩にでも手をかけながら頭下げていれば、必要な検査が提出されて、問題はそのまま収拾したのではないかと思う。

    火が嫌いな人と、火を消すのが好きな人とがいて、同じ「消す」ことを目指しても、問題に対する態度はずいぶん異なる。
    火が嫌いな人は真っ先に火を消すけれど、火を消すのが好きな人は、結果的に火を大きくする方向に舵を切ることが多い。
    火消しを公言する人は、火が大きくなるまで待ってしまったり、案外放火が好きでもあって、こういう人と一緒にやるのはリスクが高い。
    この手のタイプは、公務員、それも学校教員に多い気がする。

    大ざっぱに「クズ」と「正義」がいるとして、患者さんの状態悪化を見逃した財前は人間のクズであったのかもしれないけれど、里見も同じようなタイプのクズなら、白い巨塔の物語は成立しない。

    「クズ」と「正義」には使いどころがある。対等な関係を作らざるを得ない場所に「クズ」と「正義」を配置すると、たいていろくでもないことになる。対等に組んだ「クズ」同士はうまくいく。同じことを「正義」でやると殺しあいになる。
    「正義の人」は、上司と部下しかいない、対等が存在しないところに置いて、上下を「クズ」で挟むと馬車馬のように働いて、組織全体の生産性が向上する。

    白い巨塔の物語というのは、財前の失敗ではなく人事の失敗であって、同僚に恵まれなかった財前の物語であったのだと思う。

    #読書記録 #白い巨塔 #正義の人 #公務員 #組織内人事

  • 社内、院内政治とはどういうことかを示す良い例だと思う。山崎豊子の緻密さがすごい。

    実力があっても、人間関係の部分が大きいというのが政治。実力があることは前提として、その上でどう立ち振る舞うか。

    相手のメリットとこちらのメリットをつなぎ合わせること。財前に票を投じれば、鵜飼教授にとって鵜飼派が一人できるし、今後医師会の支援も得られる。財前が教授になれば、金子は助教授になれる。菊川が教授になれば、東都大の枠が広がる。

    自分にツンツンする態度を取ったり、蔑ろにされれば嫌がらせもする。これが人間だよなあ。

  • 他の本と並行しながらですが、2ヶ月弱もかかって読みました!もう全ての語彙力を圧倒的という言葉に置き換えたい所存でございます。去年五話連続でやってたドラマのキャストでイメージして読んだので、財前は岡田くん。里見は松山ケンイチ。ケイ子は沢尻エリカ。東佐枝子は飯豊まりえちゃん。などなどが頭の中で物語を展開してくれました!
    人間の命の尊厳さと地位や権力への欲望の共存する「白い巨塔」。この白い巨塔に敗北したのは里見や地方へ飛ばされた医局員ではなく財前だった。本当に圧巻。実際医学会がここまでのものかは分かはないけど、少なからずこういう風潮はあると思う。
    全ての登場人物がこの物語を考えさせるのに必要な人物で、こういう人間がいたらどうだろうと思うキーパーソーンが本当に全て揃ってるなぁと。里見先生がなんだかんだ財前を尊敬してるところがめちゃくちゃ良くないですか??
    個人的に1番好きなのはケイ子。最後の方でこの人花森って名字だったんだとかしょうもないこと思ったのはさておき、結局財前のことを一番理解してたのがこの人。自分の語彙力でこのケイ子の凄さを文字で表現できない笑。とにかく聡明で物事の本質を見抜いていた感じがしてカッコ良かった。
    あとは里見と東佐枝子の関係。佐枝子があの両親に染まらず純粋で真っ直ぐな里見に惚れるのがいい。でも友人によってできた壁をお互いが意識して、最後は佐枝子の方から会わないと決意するところが切ないけど意志の強さを感じてとても良かった。普通あんな両親に育てられたら、無理してでも地位を築きたいと思うけどなー。意志が本当に強い証拠だと思った。ここもあっぱれ。
    またこの小説、里見が財前と正反対で焦点当てられがちだけど、関口弁護士もなかなか逸材というか憧れるべき人だと思った。患者の泣き寝入りを防ぐために、医学に素人な弱い立場にもかかわらず佐々木家族のために、むちゃくちゃ勉強して国平弁護士に立ち向かうところとか。里見が医者としてのあるべき姿を見せつけたなら、関口は弁護士としてのって感じがした。というか、財前側に立たずに証言した方々皆すごいよ。柳原くんもよくがんばったよ。運が悪かったねー。
    この小説では医学という人を救うための学問においても人間のいろいろな欲望が絡まり合って、プロとしてのあるべき姿を見失ってしまう設定だけど、医学界以外にももちろん通ずるものがあると思いました。やはり人間。技術があっても人情がなければダメ。逆も然り。本当の意味で敬われる存在になるためには両方兼ね備えないとなと!医学の基礎知識に加えて、医療裁判の難しさ、人間のあり方など多くを学べた最高の小説でした!
    里見先生目指します! 

  • ドラマで見るより本の方がずっといい、そんな原作がときどきあります。まさにコレ。

  • 一度読んでみようと思っていながら、やっと読み始めたところ。
    医学部教授戦を巡る選挙戦が始まる。腕は確かだが、名声が却って教授から疎まれる財前。人間の欲があからさまに描かれる。
    ちょっと古い関西弁が面白い。
    物語のスタートが昭和37年だったとは。

  • 学生時代からいつかは…と思っていてようやく読み始めました。

    駆け引きが凄いです。
    ほぼ皆自分の利益しか考えてません。

    ドラマも見てなく、どんな展開になるのかわからないので先が楽しみです。
    財前助教授はどうやって駆け引きしていくのかを楽しみに続きをいきます。

  • 心揺さぶられる作品であった。

  • 5/22〜26『白い巨塔』5夜連続放映終了!
    岡田准一さん主演のドラマもフィナーレ!原作との差異も多々ありましたが、
    比べてみてはいかが?

  • 国立大学の附属病院、そこは教授を頂点とした揺るぎないヒエラルキーがそびえ立つ白い巨塔である。
    浪速大学の第一外科の助教授財前は、退官間近の東教授を凌ぐ手術の手腕に絶対の自信を持ち、次期教授の座を虎視眈々と狙っていた。
    学内にとどまらず系列大学や医師会、同窓会、学術委員など、医師としての責務から遠く離れ権謀渦巻く世界での名誉獲得にのめり込む財前。
    その欲望はとどまることを知らず、弱者を相手にした裁判ですら、勝訴への飽くなき野望のために部下たちを駒のように操っていく。
    そんな財前を厳しい目で見つめる同期の内科医、里見。
    医学、法律といった難解な世界でありながら、目を離せない展開にのめり込ませる筆致はさすが。

  • 岡田准一のドラマ観たら、また読みたくなって再読。3回目?やっぱり山崎豊子の小説の中でも圧倒的に面白い。やはり原作は濃い!!

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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