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サステナ片付けできるかな?
- コジママユコ
- 小学館 / 2021年12月5日発売
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最初、この本が読めなかった。
なぜなら片付けられない自分が嫌だし、直視できないから、情けないしね!
でも、著者が片付けに苦手意識を感じている理由に、共感できるし、怖いときは怖い。やりたくない。出来ない気持ちを率直に書いてくれるので、読んでいて励まされる。
絵柄といい、読んでいて癒される。
ちょっとずつ箱からやってみようと言う気持ちになれた。
2022年8月15日
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死を招くファッション 服飾とテクノロジーの危険な関係
- Alison Matthews David
- 化学同人 / 2019年11月30日発売
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過去のおしろいに鉛が含まれていたというのは知っていたけれど、それだけじゃない。鮮やかな緑のドレス、ふんわりとしたレース、裾を引きずる優雅な長いドレス。図表や絵画をふんだんに使い、目にも美しく、そして恐ろしく死を招く姿が想像できる。
ドラマティックなだけでなく、事実を述べるだけではなく、読んでいて楽しく面白いのがうれしい。
現代を生きる私たちも、ふとした拍子にファッションが要因で死ぬ。マフラーやストールを何かに巻き付けて窒息したり、厚底の靴で階段から転げ落ちたりと、当たり前のように日常に危険は潜むのだ。そしてサプライチェーンリスク。身に着けるもの、口に入れるものが安全じゃないと誰が保証してくれるのだろう。
読みながら思ったのはは「日本版のこんな本を読んでみたい」ということと、それから「過去の死を招くファッションを選択した彼らを無知だと笑えない」ということ。
面白かった。オススメ。
2021年8月2日
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暗殺教室 コミック 全21巻完結セット (ジャンプコミックス)
- 松井優征
- 集英社 / 2016年7月4日発売
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遅ればせながら一気読み。こんなに面白い漫画だったのか。
伏線の張り方が丁寧で、週刊連載でこういう作品が書けるのか……という驚き。すごい。
2020年11月1日
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おやすみの歌が消えて
- リアノン・ネイヴィン
- 集英社 / 2019年1月4日発売
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6歳になるザックが通う小学校で銃乱射事件が起きた。
ザックは生き延びたが、10歳のアンディが撃たれて死亡した。
この小説は幼いザックの一人称で書かれている。両親をはじめとした大人たちがザックに向ける言葉や態度を、びっくりするくらいまっすぐにザックは受け取ってしまう。幼いがゆえに。
ザックのまっとうな違和感や悲しみの深さが、すごく胸に来る。
読む前は、あらすじや題材から、道徳的で退屈な小説なような気がしていたが、そんなことはなかった。銃撃事件という重い事件はあるものの、そこに生きる人たちが、一生悲しみにくれたまま生きることはできない。喜びや楽しみがあることを教えてくれる。
読み終えて、翻訳家さんであーなるほどってなった。それは面白いはずだよね。
文体からして「アルジャーノンに花束を」を思い出した。そのものでしか語れない文体ってあるなぁ。
2019年5月1日
高校生女子の往復書簡形式から始まる物語は、その形式もあいまってびっくりするくらい読者に推察させる一冊だった。
この手紙と手紙の間に何があったのだろう、かつて、どのようなやりとりがあったのか。
文章をただ読み、書かれている内容を理解するだけではなく、その先に指が引っかかるような本だった。すごい面白い読書体験だった。
2019年5月1日
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青少年のための小説入門
- 久保寺健彦
- 集英社 / 2018年8月24日発売
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文字が読めない書けないヤンキーの田口と、賢いけどこの先の未来に希望を持てない中二男子の一真。
一真は駄菓子屋での万引きを見逃す代わりに、田口に小説を朗読することになる。
小説家になりたいという田口。そんなことは無理だろうと思いつつも、言われるまま「小説家になりたい時にオススメの本」を図書館で借りて読んで聞かせる。
どんな本が面白いのか? どうして面白くないのか?
そもそもの読書がなぜ面白いのか、という根本的な問いをストレートに投げてくる。だって彼らは青少年だから。
インチキではない小説を書き始め、表現に悩む。あー本当に小説って面白いなと実感した。
自分の好きな小説のパターンとか、何を重視するかを考えたくなる。
活字中毒はもちろん、ふだんあまり本を読まない人へのガイドブックとしても面白いのかも。
2019年2月24日
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カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)
- アンソニー・ホロヴィッツ
- 東京創元社 / 2018年9月28日発売
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上巻の感想で「正統派ミステリ」と書いたが、下巻の1ページ目から裏切られる。もちろんいい意味でだ。
下巻は読み始めから「どういうことなの?」「どうなるの?」とワクワクしながらページを進めた。
巻末の解説が、すごくわかる!ってなった。
本格や新本格が好物のミステリマニアではなく、上下巻を読めるくらいの読書好きに強くお勧めしたい。
2019年2月14日
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誰かが嘘をついている (創元推理文庫)
- カレン・M・マクマナス
- 東京創元社 / 2018年10月21日発売
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舞台は現代アメリカの高校。
放課後に教師に呼ばれ反省文を書かされた5人。うち一人が死亡する。彼はインターネットで同じ高校の生徒たちの秘密を記事にしていた。そして同じ場所にいた4人も秘密を知られていたことが発覚し、警察に事情を聞かれる。生徒たちのからも距離を置かれる4人は、身の潔白を証明するために、誰が嘘をついているのかを調べ始める。
出てくるみんなに秘密があり、嘘がある。そして魅力的で癖もある。
章ごとに語り手を変える群像劇で、事件を機にまわりからの視線の変化に緊張したり、強がったりと、とにかく面白い。何を書いてもネタバレになりそうで、形ばかりしか書けないけど、すごい面白い。
2019年2月14日
2019年に最初に読んだ本。今年の読書初めがこの本で良かった。
女性に産まれ、デートの予定もないなんて恥ずかしい。そんな「デートの呪いなんて吹き飛ばせ」という気持ちを込めたデートクレンジングというアイドルを軸にした群像劇。
弱さを持つ人たちへの(つまり人類すべての)優しい眼差しが愛しい。
読んで良かった-。面白い。
2019年2月14日
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遭難信号 (創元推理文庫)
- キャサリン・ライアン・ハワード
- 東京創元社 / 2018年6月29日発売
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べらぼうに面白い。やばい。
海外ミステリが苦手なのだが、これは割と序盤からぐいぐいと読ませる。冒頭の事件として認識される前ですら不穏。
登場人物に何が起きたのか、どうしたらいいのか、を主人公と一緒にぐるぐると悩まさせられる。なんでこんなに惹きつけられるんだろうか。語り口調が見事なんだろうか。日常から飛躍しないのに「起きたら嫌なこと」がきちんと想像できる範囲で描写されているからなんだろうか。
もしかして豪華客船上での消失ミステリは流行りなのか。
今年、容疑者ナンバー23の消失から2作目の豪華客船モノである。
それなりに分厚いのだが、一気に読める面白さ。オススメ。
2018年12月31日
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そこをなんとか 14 (花とゆめCOMICSスペシャル)
- 麻生みこと
- 白泉社 / 2018年1月4日発売
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ゆる弁護士のらっこちゃんが出会う事件の短編連作。
どうしようもなくダメであり、でも愛すべき人たちがたくさん出てくる。
こういうイケメンの万能じゃない人たちが繰り広げるドラマが楽しいっていうのがすごい。ちょっとずつ時間が過ぎているので、その時その時の法令が違うこともあれど、その変遷を垣間見ることができて面白い。
弁護士さんってすごい仕事だ。幅広い。
1話完結で読みやすく面白い。力強くおススメしたい。
2018年10月10日
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辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 (文春文庫 さ 69-1)
- 佐々木健一
- 文藝春秋 / 2016年8月4日発売
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ちょっと変わった辞書として有名な、新明解辞典(以下新明解)、そして学生向けに作られた三省堂国語辞典(以下三国)、それぞれの辞書を作ったのは2人の男だった。
山田先生は新明解を作り、ケンボー先生は三国を作った。
けれども、最初は、明解国語辞典を2人で作っていた。
辞書といえば言葉の定義がはっきりとしていて、誰が作っても同じというかわかる内容となっているイメージだが、新明解は割と恣意的な説明が多い。それに比べ三国は簡潔に平易に説明をされている。
2018年8月5日
上下巻一気読みしたので、まとめての感想。
(若干のネタバレがあるかもしれません)
ポルポトが政権を取ったころのベトナムを舞台にした、群像劇というか、ノンフィクションっぽいフィクションなのかと思いきや、下巻で思いっきりSFに舵を切り、イメージの豊かさというかメタファーの使い方がすごい魅力的。独裁政権下での過酷な状況をエンタメとして単純に楽しめるというのはどういうことなのか。ほんとにびっくりした。
面白かった。
若干分量が多いので読書家にオススメしたい。
2018年1月10日
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あきない世傳金と銀 (ニ) (ハルキ文庫 た 19-16 時代小説文庫)
- 高田郁
- 角川春樹事務所 / 2016年8月9日発売
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薄氷を踏むような。不快と怖いとスリルがあることを楽しめる境目を進むような。そんな危ういバランスで物語が進む。
これ、すごいんじゃなかろうか。いや、すごい。読む手が止まらない。
2016年11月27日
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ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- フェデリコ・アシャット
- 早川書房 / 2016年8月24日発売
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あまりにも面白いので、最初の1/3は電車を乗り過ごすほど読みふけり、ラスト1/5を切ってからは、読み終えるのがもったいなくて少しずつ読み進めた。
ある男が自殺を図ろうとしている。
ノックの音が響く。無視しようとしたがずいぶんとしつこい。
ドアを開くと、一人の美青年がいた。彼はとある男を殺すように提案してくる。
なぜ? なんのために?
自分はいま、死のうとしているというのに。
物語はこんな風に始まるのだが、たぶん、この先は予測できる人は誰もいないだろう。というか、解説を読むと作者自らが理解できていないまま語りだしているらしい。どんな天才だよ!
非常に映画的で読みやすく面白いのだが、これが映画化する未来を想像できない。
2016年11月27日
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きっと、うまくいく [DVD]
- ラージクマール・ヒラニ
- Happinet(SB)(D) / -
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とある一流理系大学に入った学生たち。
そこは、テストでよい点を取り、一流企業へ就職することをよしとする場所だった。
そこに、一風変わった学生がやってきた……というところから始まるインド映画。インド映画なので踊る。現代が舞台でも踊る。楽しい。
一風変わった彼は言う「何のために学ぶのか?」と。
学ぶことの大切さや、知恵について考えさせられる。
そしてインド美人はマジでヤバイくらいに綺麗だわ。天女か。
3時間近くもあるけれど、歌と踊りをぼーっと眺める好きもあるので、機会があればおすすめ。
「きっと、うまくいく」って言いたくなる。
2016年10月23日
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雪の鉄樹 (光文社文庫 と 22-2)
- 遠田潤子
- 光文社 / 2016年4月12日発売
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私は、傷ついた時に、それを表に出すことを恥ずべきことと思っている節がある。
「そんなことで傷つくほど弱くない」と、思うこともあるが、自分が加害者になったときに、「傷つけられた!」と感情を顕わにされた相手に「えっそこまで?」と困惑することがあるからかもしれないし、なんというか、大人はクールに対応できて一人前という気もしている。
この本を読んで、人が心を傷つけられるというのがどういうことなのか。どれだけ辛いことなのかを、冷静に説明された気がする。
かつて、傷ついたことのある人に、そして、人を傷つけたことのある人に薦めたい本。概ね誰でも読むとよい。
なお、この本は自己啓発書ではなくミステリです。たぶん。
2016年8月2日
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黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実
- リチャード・ロイド・パリー
- 早川書房 / 2015年4月22日発売
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これに星5を付けることに、心理的な抵抗がある。
英国から日本に来た若い女性が行方不明になり、家族がやってきて探してくれるように訴える。
やがて捜査が進み、女性は遺体で発見される。
この、実際に起きた事件が特異なのは、家族が、事件解決に向けて戦略的な動きを見せた、ということのように思える。よくテレビや報道で見るのは、被害者の家族は、うなだれ悲しみ、涙を流しながら訴える姿である。しかし、被害者の父親は、日本の警察の捜査状況に不安を感じ、どうやったらメディアがこの事件を取り上げるかを計算し、行動した。
だからこそ、この事件は大きく取り上げられ、当時のイギリスのブレア首相から日本に申し入れが行われ、日本の警察も捜査に本腰を入れ、その結果解決したように思う。
けれど。
死んだ人は帰ってこないのだ。
このノンフィクションは、事件がなぜ起きたのか、犯人はどうしてこのような事件を起こしたのか、を主軸としていない。今生きている家族らが事件とどのように向き合ったのかを丁寧に描いている。
ホントに小説かと言う位のドラマティックさだ。
……それを、作品として楽しむ自分が居て、それは、いいことなのか、すごく迷いがある。
著者の視点の明快さと優しさがあるから救われた本。
2015年11月5日
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逆転力 ~ピンチを待て~ (講談社 MOOK)
- 指原莉乃
- 講談社 / 2014年8月11日発売
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この人の逆境で燃える精神構造凄いな。
うん。中学生時代に冷静に分析していて頭が下がる。
支配人とアイドル兼業とか無茶を言うぜ。
ビジネスマンはさしこを見ならえ!って思う。
というか、彼女位意識高い社会人って見たことないなぁ(自分含めて)。
アイドル業界ってやっぱりハードなんだなぁと思うと共に、さしこ凄いってなる。
引退後はコンサルとか自己啓発系イベントでバリバリやるんじゃなかろうか。
そんなレベルの低い仕事しないかな。もっとすごいことするかな。
2015年10月30日
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「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)
- 押川剛
- 新潮社 / 2015年6月26日発売
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タイトルの通り。
ほぼ救いが無く、これでもか、と現在の制度と周りの目線を淡々と説明してくる。読んでいると若干気落ちしてくる位。
「救いは無いのかよ!」と言いたくなるが、救いが無いような状況だから「子供を殺してください」と親が言う訳で……。
自分が事実に直面した時に「もしかしたら明日はもっといい日かも」と解決を先延ばしにするより、直視したほうがいいと考えさせられる一冊。
心にゆとりがあるときにぜひ。
2015年10月13日
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屋上のウインドノーツ
- 額賀澪
- 文藝春秋 / 2015年6月26日発売
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吹奏楽部のワケアリの部長が、屋上でひとりエアドラムを叩いている少女と出会うところから物語は始まる。
課題曲のシーゲート序曲をキーとして、吹奏楽部が東日本大会という目標に向けて進んでいく。
正統派な題材を、油断せず、慢心せず、キャラに頼りすぎず、2人の視点で描かれる。
文体とリズムと、出てくる登場人物のバランスが絶妙である。読んでいて実に心地よい。音楽を聞いているようだ。
あと、ヒロインの少女志音の一人称が「おれ」で、私の脳内イメージが青年誌に出てくるモブ子であるくらいもっさい感じなのが素敵だ。美しく無いゆえに格好いい。中身で勝負するしかない感じ。(と言いつつ実は外見描写あるのに読み飛ばしてたらすいません)
久しぶりに「ああ、読書って面白い」と実感する本。後半にゆくにつれ、読み終えるのがもったいなくなった。
現役学生で、スクールカーストの上位の運動部に居ない人も、もう枯れ果てた社会人できらきらが乏しい人も読むべき!と力説したい一冊。きらきらしてる!
2015年9月26日
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ゆがみちゃん 毒家族からの脱出コミックエッセイ (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 原わた
- KADOKAWA/メディアファクトリー / 2015年7月17日発売
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毒親という言葉が流行っているけれど。すさまじい。
作者さんの論理的思考能力の高さに驚く。
「コレはイヤだ」と声を出して伝え、相手が聞く耳を持たない場合、離れた方がいい、と言うことを思う。
真っ当じゃない関係性というのは、きつい。
そして、後書きの「全てを個人の責任にしない」というのは実にいい言葉だと思う。
2015年8月30日
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リミット (講談社文庫)
- 野沢尚
- 講談社 / 2001年6月15日発売
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数頁読んで「いやな予感」がする。
それは、怖いことが起きる的な、不安を招くような、いやな感じ。
私は主人公が追い詰められる系の小説が苦手なんだけど、この話はすごいイヤで怖いのだけれども、それでもページをめくる手が止められないくらい先が気になるという意味で、すごいなと。
読んでいる途中で「あれ、タイトル何でしたっけ?」となり、どきりとさせられる。いやなタイトルである(褒め言葉)。
久しぶりに読み終えるのが惜しくなった本でした。
面白かった! 分厚い本を読むのに抵抗がない方ならオススメ。
面白かったので、作家さんの第1作目から追って読むか……と思って調べたら、お亡くなりになっているようで、新作が読めないことを残念に思いつつ、ご冥福をお祈りいたします。
出ている本は読みたいなぁと思ったしだいです。
2015年8月30日