栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008270

感想・レビュー・書評

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  • 『ビブリア古書堂』シリーズに登場した「物語」がまとめられています。
    個人的には「タンポポ娘」が読みたくて購入しました。

    ラインナップは、それから、落穂拾い、クラクラ日記、春と修羅などなど。
    といっても、一部長編の作品は冒頭の抜粋にとどまっています。

    古いものも多く、大概は図書館に行けば手に入ると思いますので、
    興味があるものは、ちょっと探してみようかなぁ、、と。

    ちなみに、「タンポポ娘」はつい先日に復刻版が出ていました。
    内容は今で言うライトノベルな印象で、糖分補給にいい感じかな、とも。

  •  外出自粛期間に安値で買った本。「ビブリア古書堂」に出てくる小説をまとめたもの。長編はさわりの部分だけなので、もやもやする人もいるかも。
     
    *「ジュリアとバズーカ」
     「しんどいなあ」と思ったし、最後に浄化されればいいなとお天気な事を考えたりもする。この後に「晩年」が来たら、私しんどかった。
    *「落穂拾い」
     そのまんまだ!と目からうろこ。なんだかいいなあって最後思った。
    *「せどり男爵数奇譚」
     わー気になって仕方がない!!!と思ったので、後日読むことにする。
    *「クラクラ日記」
     実はこれが一番の目当てで買った。ここに収録されているのは「闇市にて」のみになるけれど、安吾が優しすぎか!!!と思わず叫びたくなった。今まで坂口安吾の作品はいくつも読んできたけれど、苦しかったろうけれど、優しい姿は新鮮過ぎてよかった。これも全部読みたいので、引き続き探す。
    *「たんぽぽ娘」
     2度読んで震えた。間違えてたらどうしようという不安が一気に消えた瞬間が良すぎた……。2人のこの先も幸せでありますように。
    *「春と修羅」
     言葉と世界が独特すぎて、不思議な感。少々かみ砕くのに時間がかかった。
    *「晩年」
     「道化の華」が収録されている。ちょうど同時進行で読んでいた「人間失格」を再読し終えた後に読んだ。ここが「人間失格」への始まりだと思う。津島修治の人生はこの作品の完成形を作り出すことを主目的としていたのかもしれないと思うと、あのタイミングで死んでしまったのは彼にとって良いことであったのだろう……。

  • やられた!よく確認せずにこの本を読んだのだが、完全収録されているのは、小山清の『落穂拾い』とロバート・F・ヤングの『たんぽぽ娘』のみ。他の作品は全て抜粋。残念!本の厚さからして当たり前と言えば当たり前なのだが。

    三上延さんの『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場した古今東西の名作集。

  • 「ビブリア古書堂セレクトブック」ということで…。
    『ビブリア』の中に出てくる小説で
    比較的入手しにくそうなのを
    抜粋してくれてるみたいですね。

    栞子さんの読書傾向が私と違うので(笑)
    自分じゃ絶対に手を出しそうにない
    知らなかった作家さんもありました。
    そういうのも読めるのが
    アンソロジーのいいところです。

    収録作の中では坂口三千代の
    『クラクラ日記』が面白かった。
    物書きの近親者の日記、好きだわ~。
    あと『たんぽぽ娘』の全文!
    久しぶりに再読できてうれしかった。

  • なかなか有り難い本だった。
    ビブリアに出てくる本は興味を惹かれるものの、入手が難しいものが多い。

    ほとんどが一部抜粋という形で収録されているが、どんな物語なのか雰囲気を掴むには申し分ない。

    個人的に良いなぁ〜と思ったのは、
    『落穂拾い』
    『せどり男爵数奇譚』
    『クラクラ日記』
    『たんぽぽ娘』

    『落穂拾い』の著者、小山清は太宰治を敬愛していたようだが、作風に太宰っぽさは感じられない。太宰よりも清らかで健康的で、読んでいてほっこりする。著者の他の作品も読んでみたい。

    『せどり男爵数奇譚』には、古書狂いのキャラクターが登場する。彼は何者!?と気になるところで話が終わっているので、続きを読んでみようと思う。

    『クラクラ日記』は、著者が夫である坂口安吾からとても愛されたことが伝わってくるエッセイだ。全然自慢気な感じとか、のろけた感じではなく、むしろどことなく客観的に観察して語っている。夫が奇人なだけに、興味深いものがある。こちらも読んでみようと思う。

    『たんぽぽ娘』はエンターテイメントとして普通に面白かった。とてもロマンチックな素敵な物語だ。恋愛ものは好きではないが、短編だし、古典だし、SFだしで、さらさらと読めて、ほっこりできた。

  • 太宰治の処女短編集「晩年」に収録の「道化の華」を本書で初読みした。今風に言えばメタ小説とも取れる構成は、太宰の本音らしきものが随所に表れてくるが、そこの幾つもにも共感を得たのには我ながら驚いた。入水しないようにしなければ。

    さておき。ビブリア古書堂シリーズで目にした本が出てきて、物語での役割を思い出しながら読むととても物語が深化する。特に「落穂拾い」と、再読になる「たんぽぽ娘」が読めたのは嬉しい。「せどり男爵数奇譚」は抜粋だったのできちんと読みたい。

    そしてこれら、近代文学作品の文章の素晴らしさに驚嘆する。

  • ビブリア古書堂シリーズを読んでいなければ、ここに載っている作品を自ら選んで読むことはなかったでしょう。
    本編をより楽しむスパイスとして、新たな作家、作品との出会いとしてとても面白いアンソロジーでした。
    ただ、作品の一章だけを掲載した作品が多くモヤモヤが残ってしまうのはマイナスか。
    「せどり男爵数奇譚」「蔦葛木曽桟」「ふたり物語」は機会があったら全文を読んでみたい。

  • 「落穂拾い」が読みたくて、再読……のはずだが「たんぽぽ娘」以外はほとんど覚えていなかった。抜粋の話もあるし、正直読みにくい話が多い。
    今回も一番印象に残ったのは「たんぽぽ娘」。
    「落穂拾い」も好きな感じだったが、読んだそばからすぐ内容を忘れてしまった。太宰の「晩年」はツッコミどころが満載だった。「クラクラ日記」は文章が読みやすい感じでちゃんと読んでみたい(あんた子供いるんかい!と思った)。

  • どちらも原文を読んだことなく、こちらセレクトブックはよいきっかけになりました。『たんぽぽ娘』が気になっていましたし。『晩年』の "この小説は失敗である" に比べて、『落穂拾い』の "誰かに贈物をするような心で書けたらなあ" はいいなあ。

  • たんぽぽ娘
    これはとても良い、将来ぜひ読み返したい。

    一部抜粋というかたちで12作が登場するが、読み慣れていない作品の文章を必死で追って、ようやく慣れて掴んできた頃に終わってしまう。そしてまた次の作品に、と気力を削られる思いで読んだ。あくまで、これはビブリア古書堂の世界観を膨らませるための本、それは理解しているつもりでも、真面目に読み進めるには正直しんどい本だった。
    ただ、たんぽぽ娘はしっかり楽しめた。もはやこれを読むための一冊と考えても良いと思った。

著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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