- ひそやかな花園 (講談社文庫)
- 角田光代
- 講談社 / 2014年2月14日発売
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精子バンクを使った人工授精によって生を受けた子供達。
無事に健康で生まれてきてくれること。
自分たちの子供であれば望みはそれだけなのに、いざ有料でたくさんの候補者の中から生物学的父親を選ぶ際にはもっと多くを望んでしまうこと。
より頭の良い、運動能力の高い、容姿の良い、芸術的センスのある…etc…
出産を経験し、我が子との絆を実感できる母親と、彼女を妊娠させられなかった自分への情けなさが消えない父親と。
深いテーマで、子供達がその真相を知ってからも葛藤は続きます。
私たち夫婦はまだ子供については挙式後に…と考えているけれど、実際自分たちにも不妊治療は必要かもしれない。そうなったとき、どう悩み、どう結論を出すのか…。
2015年4月15日
- 夫と妻と女たち (幻冬舎文庫 ま 1-6)
- 真野朋子
- 幻冬舎 / 2001年6月25日発売
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いい気になって浮気してばかりの夫と、そんな夫に呆れつつ初恋の相手の墓参りを10年続ける妻と、浮気相手の女性たち。
遊んでるつもりが遊ばれていたり、腐れ縁なのに断ち切れなかったり、妻帯者にあえて誘いをかけたり…。よくある不倫話。
2014年11月5日
- 孤虫症 (講談社文庫)
- 真梨幸子
- 講談社 / 2008年10月15日発売
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真梨幸子さん、デビュー作からこれか…。
お食事時には向きません。
寄生虫館へ立ち寄った後に読めばさらにゾゾゾ。サナダ虫ダイエットとか、絶対やめようという気になります。
2014年11月5日
- さようなら、私 (幻冬舎文庫)
- 小川糸
- 幻冬舎 / 2013年2月7日発売
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今期ドラマの原作と勘違いしたけど、あちらは岡田惠和さんの「さよなら私」でした。。
モンゴル、カナダ、おっぱいの森。
仕事のこと、不倫や実母との確執、トラウマ、最愛の我が子の死 等色んなものを抱えた女たちが、非日常空間の中で次第に癒され、ほぐれていく。。
そう言えば中学時代の恩師は、遊びに行ったモンゴルで遊牧民と恋に落ち、結婚。自身も遊牧民になると決めてモンゴルに移り住んだのでした。「住所不定、無職になるので手紙は届かないけど」と豪快に笑いながら学校を去った姿が忘れられません。すごい決断だ・・・。
2014年11月5日
- 身の下相談にお答えします (朝日文庫)
- 上野千鶴子
- 朝日新聞出版 / 2013年5月8日発売
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相談者の甘えや自己陶酔にはバッサリ、ピリッとした回答をされていて興味深かった。
上野女史の定義される結婚=「結婚とは、自分の身体の性的使用権をたったひとりの異性に生涯にわたって排他的に譲渡する契約のこと」に氏の生真面目な一面を見たような気がする(そんな契約を守り続ける自信はないから結婚しなかった、というあたり)。
世の中の人というのは皆自分では真面目で秩序を守っていると思いがちであるが、その実自分に一番甘いものなので、この定義を厳守できなくとも気が向けば結婚しているのではなかろうか。
2014年10月21日
- 八日目の蝉 通常版 [DVD]
- 成島出
- アミューズソフトエンタテインメント / -
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原作を読んでいたので結末がどうなるのかも知っているのに、希和子と薫、でいさせてあげたかった。
憎むべきは不倫クズ野郎。女癖の悪い嘘つき男の子だけは身籠りたくないな…そもそも男の口車に乗ってはいけない。
2014年10月21日
賃貸物件で派手な騒動や死者が出た場合、不動産屋には次の入居者にそこが「事故物件」であることを説明する義務がある。ただし、入居が決まり、誰かが住んでしまえば、次から説明責任はなくなる。不動産価値を下げないため、不動産屋の依頼に従い事故物件に住む仕事が「ロンダリング」だ。自らの不貞で離婚をし、居場所をなくしたりさ子はロンダリングを仕事とし、住まいを転々と変えて生きている。
感情の起伏を感じさせない彼女が、次第に感情を取り戻していく再生の物語。都会にはいまもどこかにりさ子のようにひっそり、事故物件に移り住むひとがいるのかもしれない。
2014年10月21日
- ミスキャスト (講談社文庫)
- 林真理子
- 講談社 / 2003年11月15日発売
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商社マンの原岡は3年前に妻子を捨て、若く美しい典子と再婚した。取り立てて目立つ外見ではないが、マメで女に甘い性格から女には不自由しない38歳。
しかし彼のもとに、典子の不貞を密告する電話があり…
自身は派遣社員の祐希と何度も関係を持ちながら、割り切った仲だからと開き直り
別れた妻(大病院の院長の娘、控えめな美人で家庭的)の姪にやすやすと惚れて将来を誓いながら、妻の浮気は許せぬと憤慨する。
ご都合主義も甚だしいが、女たちも既婚者に近づく以上共犯かもしれぬ。
ラストは因果応報な部分もあり、タイトルが効いてくる。
2014年9月30日
oggiに連載されていた20代~30代、27人の「マリコさん」の恋愛話。さまざまな職種のマリコさんたちのぶっちゃけ話で構成されています。
そう言えば、マリコという名の友は皆美人だな。
ガールズトークにおじさんが混じったような、そんな印象の本。
2014年9月4日
七十代にして現役、マタニティスイミング教師。戦中、戦後の貧しい時代をたくましく生き、仕事に忙しい夫の手を煩わすことなく子供を育て上げた晶子。タッパーに手作りのおかずを持参し、生徒らの食生活や産後のケアにまで気を配る彼女は、おかずに一切手を付けない真菜という生徒が気がかりで仕方がない。
真菜には心を開けない理由があった・・・。有名料理研究家を母に持ちながら家庭の温かみを感じられず、孤独と皆示唆の中、金と引き替えに男と寝た高校時代。不倫の末の望まない妊娠、破綻した家族関係。唯一の心の支えはカメラで、毎夜、街を撮るために徘徊する。
東日本大震災を機に、交差するふたりの人生。
”終わっていく世界に生まれてきてはだめだ。戻りなさい“と生まれ来る命に語りかける真菜・・・。
母になるという責任の重さ。
無責任なことは出来ないなぁ。
2014年9月5日
じっとりと重苦しい。恋愛から眩しい面やまっすぐな面を取り去り、沈殿したドロドロとした部分だけを煮詰めたような…。
2014年9月5日
貴子と永遠子。だからきことわ。
命名センス以外はあまり響かず…。
芥川賞受賞作なのだけれど、地味な印象を受けました。
2014年7月7日
- ハゴロモ (新潮文庫)
- よしもとばなな
- 新潮社 / 2006年6月28日発売
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羽衣を奪われた天女は空へ帰れなくなり、男の妻となり人間界で暮らす。
18歳で愛人関係という「ハゴロモ」を手にしたほたるは売れっ子カメラマンの彼に与えられた都内のマンション暮らし。8年間続いた関係は彼からの一方的な決断で終わり、「ハゴロモ」を失った彼女はふるさとに帰ることにした。
大きな川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切な何かを取り戻すまでの再生の物語。
それぞれ大切な誰かを失った人たちが、寂しさや後悔を乗り越えて、べつの誰かに優しい気持ちを向ける。
ばななさんらしい優しいおとぎ話。
2014年6月21日
- アダルト・エデュケーション
- 村山由佳
- 幻冬舎 / 2010年7月22日発売
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タイトルの通り、官能的。「天使の卵」「おいしいコーヒーの入れ方」の村山さんと思って読んだら赤面します。「GINGER」で連載されていたということは、ターゲットはアラサーの働く女性たちか。
内容はアブノーマル寄り・・・かな。。罪の意識とか背徳感をあぶり出す意味で必要な描写かもですが、、江國香織さんの「デューク」アダルト版みたいな話は想像したらなんとも…。
2014年6月20日
- パスタマシーンの幽霊
- 川上弘美
- マガジンハウス / 2010年4月22日発売
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川上さんに関しては、恋のような憧れのような不思議な感覚をいつも抱かされる。透明感があって、頭が良くて、穏やかそうで、もし私が男性だったら彼女にぐいぐい惹かれてしまう。でも同性だから分かる。この人はきっと、激しい人だ。
コロボックルの山口さんと普通サイズの人間 誠子の初々しい交流、中林さんに振り回されるアン子と呆れながら見守る修三ちゃんのコンビ、「ざらざら」でおなじみのキャラクターのスピンオフ作品の他、恋人のお祖母さんの幽霊に出会う表題作、「蛇を踏む」のような川上ワールド全開の「海石(いくり)」など楽しい短編がたくさん。なんて贅沢。個人的には「ざらざら」より好きかもしれません。
2014年6月21日
- 恋の聖地: そこは、最後の恋に出会う場所。 (新潮文庫 し 21-5)
- 原田マハ
- 新潮社 / 2013年5月27日発売
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なんだろう、このいかにもなタイトル。
好きな作家さんが何名か名を連ねていたので借りてみたけど、、うーん・・・
アンソロジーってやっぱり物足りない。
好きな作家さんを見つけるきっかけにはなるかもしれないけど、試食品みたいです。
関西だと貴船神社や地主神社の恋占いの石とか、HEPの観覧車あたりが選ばれるのかな。
2014年6月13日
遠縁の親戚のリリーと流星。
幼い頃から特別に輝いて見えたリリーと実際そういうことになるも、その関係は周りに祝福されず。。
愛人の子として育ったリリーが抱える複雑なもの。兄弟のように親友のように大切な犬の海を火事で失った流星。
戦争を経、人を好きになる気持ちや食べることの大切さを知り、野菜やハーブを育てながら恋路旅館を切り盛りしていた菊さん。
スバルおじさんと聴いたビートルズやハーレーダビッドソンの思い出。
ただの恋人同士でなく、親戚だから共有できた大事なものの数々。
命をつなぐ、ファミリーツリー。
ドロドロしたものをこれでもか!と詰め込んだ割にあたたかい読後感。
2014年5月19日
罪悪感から死に場所を探す者が辿り着く地、尽果。
そこには「まぐだら屋」という小さな店があり、マリアと呼ばれる謎めいた美女が心尽くしの料理を振舞う。彼女の薬指は欠けている。
大切な人を喪ったシモン。
行き倒れのマルコ。
後悔の消えないヨハネ。
食品偽装、引きこもり、ネット犯罪、虐待、不倫等、重たい要素が盛り沢山。
テーマは罪と救済、赦し、食、愛と破滅。
逃げ道のない一途な想いは時に暴力的でさえあるな。たしか、『ダヴィンチコード』でマグダラのマリアはイエスの恋人だったはず。
姦淫の咎で皆に石を投げられたマグダラのマリアの現代版ストーリー。
2014年5月27日
- 野ばら (文春文庫 は 3-29)
- 林真理子
- 文藝春秋 / 2007年1月10日発売
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宝塚の娘役で磨き抜かれた美貌を持つ千花。
世界に名だたる建設会社の令嬢と映画スターの息子の間に生まれ、セレブな人脈を活かして働く萌。
若さ、美貌、財力、家柄、人脈…全てを持つ2人。
それでも手に入れられないのは…。
宝塚、歌舞伎、上流階級のスノッブな世界と裏話…怖いなー。
皆に羨まれるような華々しい結婚を夢見たり、親子ほどに歳の離れた妻子あるおじさんに本気になってしまったり…女が道を踏み外すきっかけなんて色々あるんだな…
母と娘の関係や、夢のために我儘男に振り回される美女…
生まれた病院ですでに競争は始まっていて、○○病院か△△病院でないとお話にならない、なんて聞くと関東のヒエラルキーは怖いな…
関西にもあるけどもう少しおっとりしているというか、、、
2014年5月18日
突然島を襲った大津波。一瞬で島民の命は喪われた。一夜明け、【光】が照らし出したのは、何も語らない死体ばかりの島。
命拾いしたのは、民宿の娘で島で一番美しい美花とその恋人の信之。信之にまとわりつく輔。灯台守のじいさん。舟を出していた輔の父親と民宿に泊まっていた中年男。
たくさんの命とともに流れ去った日常、覚えたての快楽・・・。絶望の中、美花を守るために信之はある罪を背負うことになるのだが・・・。
時が経ち、家庭を持ち【良き夫】を演じる信之の前に、輔が現れたことから平凡な日々は歪み始めて・・・。
天災・美女・献身・犯罪というテーマの類似性、東野圭吾の『白夜行』に似すぎている気が。。心理描写はしをんちゃんお得意だけど、ミステリ要素なら東野さんの方が上手じゃないかね。。松本清張さんもこの種のテーマ多いですが。。ちょっと『氷点』ぽい要素もありましたね。
2014年5月11日
- 僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)
- 中村航
- KADOKAWA / 2011年1月25日発売
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他人さまに迷惑をかけなければバカップル万歳!派なので、お布団の中でかんぴょうと卵になりきってす巻きになろうが、「◯◯なのは△△だけかしら」ゲームをしようが、自分がどれだけ相手を好きか競い合おうが、良いのです。山田詠美さんの「ラビット病」もそんな感じだし。
最初からいいなと思ってて、毎日顔を合わせてて、笑いのツボとか、会話のセンスも合うなら、それは惹かれちゃうのは仕方ないけど…
めぐは旦那と別れる気ないのね…!
タブー感が2人を盛り上げているだけで、めぐが離婚したら案外あっさり駄目になってしまいそうな気もする。
2014年3月28日
アダルト映像のモザイク処理の仕事をしている 花しすと、それを取り巻く人々をパラレルワールド的に描いた作品。ボイスレコーダーを持ち歩き、なんでもない会話を録音して、繰り返し聴く花しす。あらゆる形で彼女に関わってくる新田人生という名の男。
西加奈子さんの文学的試作という印象。模索している感じは伝わってくるんだけど、読み終えても腑に落ちない。
2014年3月24日
- バイブを買いに (角川文庫)
- 夏石鈴子
- KADOKAWA / 2001年11月22日発売
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けっこう前に図書館で読み終えながら、タイトルと表紙のインパクトから、レビューを書けずにいた。
FB連携を一時的に外したので、書いてしまおう。
いわゆるその手のものについては買ったことも使ったこともないのだけれど、ニッセ○などの通販雑誌をなんとなくペラペラめくっていると唐突にそのページがあったりしてびっくりします。
男性におけるエロと女性におけるエロの間には超え難い溝があって、どんなに泥酔していたとしても異性と下ネタで盛り上がったりはできない私なのだけれど。
それでも、この人の伝えたいことはわかる。
不倫や中絶はもってのほか、する気もないし全く賛同できないし、タチの悪い男にハマるなんて阿呆でしかないと思う。けれどタガが外れてしまうような、それくらい堕ちてしまう恋愛も世の中にはあるんだろうな。
2014年3月16日
- シロクマのことだけは考えるな!―人生が急にオモシロくなる心理術 (新潮文庫)
- 植木理恵
- 新潮社 / 2011年6月26日発売
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シロクマにいったいどんな秘密が・・・!?と思ったら、シロクマはあまり関係なかったようで。。
「○○のことは考えるな。忘れろ。」と言われたら、却って○○のことを忘れられなくなるのが脳の仕組み。
イヤなことほど、「塩ぬり療法」で自虐的にアウトプットするべきなのだそうです。毎日毎日、嫌気がさすまで考える。そうすると、カタルシス(自浄効果)で「飽きて」早く忘れられる。
落ち込んでいるときは無理に明るい曲を聴くより、悲しい曲を。
アガったりパニックになったときは、ひとり実況中継を。
合コンのあとの反省会はひとりで。
ケンカしたときは、グッとこらえて「言葉にしないで」一晩寝かせる。
まずはデキる人からマネぶ。
集団で行う会議は進行役など役割分担をする。
「アメとムチ」ではなく「アメと無視」。
さらに間欠強化でときどきアメ抜きで。
話し合いをするなら、座席の位置に気を遣う。
人は他人だけが知っている自己を指摘されたがる。
好きだから貢ぐのではなく、貢ぐから好きになる。
などなど、、、わかりやすく、処世術を教えてくれる心理学入門的な一冊。
「貢がせる」ってマイナスイメージしかなかったけど、そこまでいかなくとも「奢る」「奢ってもらう」でも同じことが言えるのかもなぁ。そもそも動物なんて、餌を受け取ってもらえないと交尾にいたれないわけだし。
2014年3月13日