生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.38
  • (192)
  • (512)
  • (678)
  • (197)
  • (41)
本棚登録 : 4684
感想 : 549
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800222916

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「このミス」とは相性がイマイチなので、読みたかったけど先延ばしにしていた一冊。

    私の中では富樫の設定は・・・(勝手に)
    日本を滅ぼす病原菌の特効薬を見付けて
    ハイ!!日本は救われました・・・って言う立ち位置だったんだけど

    予想外な富樫の設定に、ふむふむ・・・こういう展開もあるのか~と面白かったです。

    バイオサスペンス好きなんですが、まさかの正体はアレだったのは想定外でした。

    無能で楽天的な政治家たちは本でも現実でも
    同じなのですね(笑)

    パニック小説として十分に楽しめました。

  • 「このミス大賞」だからミステリにカテゴライズしたけれど、サスペンスというかパニックものというか。

    「このミス」のタイトルに期待したというのもあるけれど、私がこの本を手に取った最大の要因は、北海道を舞台にして、全員死亡・死因不明の事象が起こるという設定。
    北海道民として捨て置けぬ。


    正直、文章や構成はまだ荒削りで、そこかしこに処理不足が目立つ。そもそも、石油掘削基地でスタッフ全員が凄惨な遺体で発見された直後に、劇症の感染症発生を疑うというのも今ひとつ呑み込みきれない。どう考えたって感染症というには不自然だ。
    けれど、対応は感染症予防のそれだし、主人公はちょっとアブナイ感染症学者だし、どんどん展開していくのも感染症としてのそれだし……え?いいの?ともやもやしながら読み進めていく羽目になる。

    キャラクターたちもちょっと青々としている。よく言えば正直。悪く言えば短絡的。時々、「高校生か!」とツッコミを入れたくなる。「おまえ、高校生か!」。

    精神的に危なくなっている感染症学者に本来の人格を取り戻させる薬も、ちょっと扱いが雑かも。効果は数時間で患者の体力的に2回が限度というのに、2回目の使用があっさり過ぎる。ちょっと自分で考えればわかりそうな「謎」の答えを求めてその薬を使っちゃったあげく、ちょこちょこっと会話しただけ。もったいない…。
    精神的に危うく、凶暴性もある「博士」に知恵を求めて鉄格子越しに面会するあたり、イメージは「羊たちの沈黙」か。
    でもそんな風に厳重な注意を要する感染症学者は、結構ほいほい出歩いたりする。

    その他、各所に説得力不足が目立つが、とりあえず勢いはあった。
    「よし、じゃあまぁ、納得いかないけど、そういうことにしてまず先を読もう」という気にさせられた。
    なので、将来性に期待して☆3つ。


    そしてこの小説の出来とは別のところで、札幌在住の私が面白く感じたのは、やはり北海道各地が全滅させられるところ。
    たとえば東京の人なんかは、いつもこんな気持ちになっているのかなと思う。ゴジラとかで。

    発端は、根室沖の石油掘削基地ということで海の上だが、その後、「それ」は上陸して道東を襲う。標津、北見、帯広……北海道中央部の山脈で越える越えないの騒ぎがあって、夕張、岩見沢……やばい、近づいてきた!

    札幌市内の河畔に防衛線を敷いて、戦車でジェット燃料をまき散らし、焼夷弾をたたき込む。さらに70ミリロケット弾の連射。ぎゃー!(自宅のあたりが火の海になった)
    どこそこのホテルで……国道沿いの商業施設で……具体名が出され、今どこがどう焼けてるのか、どこが襲われているのかが手に取るようにわかる。
    札幌市民はドキドキすること請け合い。


    作者は札幌の人かしら…と思って紹介を見ると、京都出身・東京在住の方でした。

    なんとなく、「そうか、札幌を舞台にしてもいいんだ」と気付いた一冊でした。
    (いや、北海道を舞台にっていうとだいたい、豊かな自然がどうこうとか、北国ならではの寒さがどうこうとか、そんな感じになっちゃうから)

    ただ、道民として言っておきたいことがある。
    道東を全滅させたら、日本はたちまち食料難だ。
    「残された爪痕は大きい」とか気取っていられなくなる。
    事件後のパニックのほうがきっとスゴイんだからね!

  • 場面が映画やドラマのように次々と切り替わるので結構な文量だけど、飽きずに最後まで一気に読める。
    一夜にして町全体を滅ぼす感染症。まさに生存者ゼロ。そんな感染症を引き起こす細菌が存在したら、人類はどうやって身を守ればいいのか。
    前半は、未知なる感染症とその圧倒的な劇症性に引きつけられ、後半は謎が明かされていくドキドキとシロアリとの戦いの生々しさに手に汗握る思いでどんどん読み進められました。というか、先が気になってヨムノヲ止められませんでした。

    地球上で絶対的な支配者となった人類、かつて地球を支配していた恐竜が滅びたように人類もいつか滅びる運命なのか……神の啓示や黙示録を思わせる表現もあり、ただのバイオサスペンスではなく深く考えさせられるお話でした。

    政治家が、あまりにも利己的で役立たずなのは本当に腹立たしかったけど、実際の政治家もきっとこうだなぁーと納得してしまう今の日本。やばいですね。

  •  北海道根室半島沖に浮かぶ石油掘削基地で職員全員が無残な死体となって発見された。陸上自衛官三等陸佐の廻田と感染症学者の富樫らは、政府から被害拡大を阻止するよう命じられる。しかし、ある法則を見出したときには、すでに北海道本島で同じ惨劇が起きていた―。(by amazon)

     ミステリとかSFとかホラーとかのくくりがよくわからない。とにかくとんでもなく発症が早い新種のウイルスが見つかったのに、対応が後手後手でえらいことになって、我が愛する北海道が蹂躙されまくる物語。作者は北海道になにか恨みでも?地元に迫ってくるし知ってる地名たくさん出てビクビクしたわよ?

     まさかウイルスの正体がアリだとは思わなかった。結構グロい描写も多いけれど、先が気になり、この厚さでもグイグイ読めた。薬中冨樫が安定剤を飲んだ時だけ善良な家族を愛する元の冨樫に戻るのが切ない。
     廻田の悲痛で真直ぐな正義の気持ちや、医務官広瀬の温かくて熱い言葉など、魅力的な登場人物が最後に結託していくのは良かった。

     う●こぶつけて蟻塚に放り込みたくなる「民政党」の政治家の面々は、あの政党がモデルなのかな。「事件後、自由党が政権を【奪還】し」とあるところからも…。本当に日和見のバカしかいないので、フィクションですが、読みながらプンプンでした。
     あと鹿瀬。こいつが多分全ての現況。ホカホカの生首を妾の前にもお持ち。冨樫がおかしくならなければ、もっといろいろ早く解決した気がするので、ホント、鹿瀬も蟻塚に差し込む。まじで。

     読み直す気はしないけれど、シリーズを追いかけたくなっている自分がいます。

  • ハラハラしながら一気に読んだ前半。
    何やらアヤシイ雰囲気になり、本編に絡むサイドストーリーの不明瞭さに目をつむりつつ、富樫の最期を「イイ奴」にしてくれてありがとう、と感謝して終わった後半。

  • 少々グロい描写もありますが、何が起きているのか真相を知りたくて一気に読めてしまいました。
    報われないこともあるけれど、前を向いて生きていこう。それが残してきた人達へのせめてもの餞になるのでしょう。

  • 今の新型コロナを思わせるようなウイルスとの戦いかと思いきや、後半は一転、アクション要素が盛りだくさん。
    最後まで飽きずに読めました。
    文章の書き方も好きです。

  • 一気読み。

  • 一気読みした。街を壊滅に追い込む敵の正体は意外なヤツ。
    「このミス」らしいスケールと圧倒的走り。
    楽しかった。

  • 読み始めは医療サスペンスと思っていましたが、
    途中からすごいことになっています。
    マッドサイエンティストに無能な政治家、自己保身に走る官僚、万単位の犠牲者・・・なかなかエグいです。
    パニックアクションものです。
    20170228

全549件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1958年、京都市出身。京都大学大学院工学研究科卒。第11回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『生存者ゼロ』にてデビュー。同作から続く〈ゼロ〉シリーズは、累計130万部を超えるベストセラーに。現在、建設会社勤務の傍ら、執筆活動を続けている。著書に『レッドリスト 絶滅進化論』(幻冬舎文庫)、『ホワイトバグ 生存不能』(宝島社)、『不屈の達磨』(角川春樹事務所)などがある。

「2022年 『首都決壊 内閣府災害担当・文月祐美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安生正の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×