ファンタジーノベル大賞ってことで、もっとファンタジーファンタジーしたものを想像して読んだらイメージ違っていておぉぉ、ってなった。
あ、でも面白くなかった、というわけではなくて。がっつりファンタジーではなかったなーという感じ。
全体的にどんよりしてる。
あぁ救われないのか、と思って、これはどこまでも現実の話なんだなぁと思う。
鬱々とした日常が、ホームレスと知り合うことで違う方向へ向かうのかと思ったけど向かわなかったし、そこらへんもあぁ普通だなぁって。これがたぶん本当なんだろうなぁって。
妄想に、読んでいるうちに自分も取り込まれていくような感じがしてぞわぞわした。
2014年5月18日
面白かったー
内田さんの本は何冊が読んでいるので、今回のもそこらへんはふむふむと読む感じ。
名越さんと西さんのお話は初めて読むので新鮮な気持ち。
今、現実的じゃないねって言われそうなものに対する考察が多いのかな。祈りであるとか、そういったもの。
「祈ることしかできない」とかって、たぶん私も言ってしまいがちだな。
だけど、祈りはちゃんと届くし、きちんと祈ることに力が必要であるっていうことが書いてあった。
「祈ることしかできない」って言う割に、祈るだけのことを10分続けられる人はたぶん少ない。
そういうようなことが書いてあって確かにそうだな、と思う。
「祈ることしか」って卑下しながら、本当に祈るという行為ができていなくて、それはなかなか失礼なことだな、と反省。
あと橋下さん関連の話で、名越さんが政治にそれほど興味がない、みたいなことを言ってたの面白かった。
だからなんか、方法論としての橋下さんを評価する、というところが興味深い感じでした。
2014年5月12日
- 六条御息所 源氏がたり 三、空の章
- 林真理子
- 小学館 / 2012年9月27日発売
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自分に復讐される話なのか、とも思った。
源氏の君は、老いとともに若い自分に負かされていく。
老獪さが目について、すごい人だなって思うんだけど、
本性がやけに表に出てくる。
若い頃は、若い故にそれがギラギラとした魅力になっていたんだろうなぁ。
2013年11月6日
とても興味がある女優さんというわけでもなく、しかしなんとなく好感ある。
そういう状態で、帯が角田さんだったのでふらふらと読んでみた。
「まっすぐできよらかで、絶妙に風変わり。たぶんこの本の感想、そのまま杏さん本人に当てはまると思う。」
という角田さんの言葉にあーたしかに、と頷く。
知らない癖に、あー杏ちゃんってこんな人なんだろうなぁと勝手に思う。
女の子にモテそうな人だなぁ。読んでいて、とても健やかな気持ちになった。
2013年11月6日
- しあわせなミステリー
- 伊坂幸太郎
- 宝島社 / 2012年4月9日発売
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「しあわせなミステリー」ってなんとも変な感じ、
と思いつつ伊坂さんの名前につられて読んだ。
伊坂さんの面白かった。殺し屋の話なのに、妙に日常的でちょっと抜けてて。
でも殺し屋だって日常はあるよね。殺してるだけじゃないんだもんね、と思ったりする。
中山さんは前に1冊読んだことがあるだけだけど、その時の印象とあんまり変わらず。
ロマンチストなのかなぁと思う。ドラマみたい。若干のファンタジー色もあって、世にも奇妙な物語みたいな。
柚月さんは初めて読んだ。シリーズになってるのね。
郵便局が舞台っていうのは面白かったなぁ。
吉川さんのは感情に先走りすぎるというか、どうでしょ感動でしょ的な感じがあんまり合わずに残念。
小学生の喋り方とか、キャラクターもあんまり好みじゃなかったのかも。
2013年11月6日
- ここは退屈迎えに来て
- 山内マリコ
- 幻冬舎 / 2012年8月24日発売
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あぁ地方。地方ってまさにこんなんですよね、という短編集。
描写がいちいち的確ですごいなーと思う。
地方、田舎、に住んでる人にはぐぐっと近い感覚があるんじゃないかな。
と、私も中途半端な田舎に住んでいるので不思議と近かった。
幼い頃にきらきらと眩しかった男の子が、その輝きを失っている、というのは残酷だなぁ。
失う、というか、特別だと思っていたものが実は普通だったと気づく。
だから別に椎名が変わったというわけではなくて。
取り巻く女の子たちがどんどん変わっていたのかなって思った。
で、変わったのは女の子なのに、勝手にショックを受ける。
現実的なのに夢見がちなのが女の子の不思議なとこだな。
2013年11月6日
- クラウドクラスターを愛する方法
- 窪美澄
- 朝日新聞出版 / 2012年10月19日発売
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傷ついたことを、傷ついた、と言えないのはしんどいなぁと思った。
家族のお話。家族はある意味で本当にしんどい塊だと思ったなぁ。
でもそういうのを内包していない家族なんてどこにもいないのかも知れない。
人間ひとつの面だけでは語れなくてややこしくて、そんなものが集まっているのだから家族だってそうなんだよね。
あと背負った荷物を、誰かと比べて思い軽い言われても、その人が楽になるわけない、というのは常々思っていたことなのでそこは大きく頷いた。
2014年5月12日
面白かった。
「現代の寓話」みたいな帯がついてたと思うんだけど、
その影響か読んでいてなんとなくブレーメンの音楽隊を思い出す。
自分のいる場所をきちんと守る、というのは、
そんな大げさじゃなくてもいいのかも知れない。
ここじゃなきゃ!みたいな熱くて積極的な感じはないんだけど。
でも人って放っておいても繋がってくもんなんかな。
求めてようがなかろうが生きてく中では絶対どっかと繋がってしまう。
で、それがなくなったらやっぱりあっけなく死んじゃうのかな。
この物語生き死にはあんま関係ないけど。
あといつも思うけど、今生きている人の描写がうまい。
すごく想像できる。自分に近い人や街で見かけただけの人に、登場人物に近い人を見つけようとしちゃう。
2013年7月8日
- ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
- 三上延
- KADOKAWA / 2012年6月21日発売
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私はこの本がどういう結末に落ち着いたとしても、栞子さんのお母さんを好きだと思うことはないんじゃないかなって印象を持っている。
単純に苦手なタイプの人だろうなって思ってるだけやけど。
古書市のくだりは面白かったなぁ。
あとチェブラーシカの話ね!
可愛いのにちょっと寂しくてシュールっていうのは
ロシアだからなんだろうか。ロシアの文化を知らないけれど。
キャラクターとして確立されたのしか知らないからオリジナル気になる。
で、全体の流れとしては段々お母さんに引き寄せられていく感じなのね。
妹が本を持ってるっていうのはありそうだなぁと予想してたので、
おぉやっぱそうなったのねほうほう、って思った。
とりあえず大輔と栞子さんはとっととくっついたらいいよ。
2013年6月21日
- それもまたちいさな光 (文春文庫 か 32-8)
- 角田光代
- 文藝春秋 / 2012年5月10日発売
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ラジオを軸にしたお話。
ラジオでこの時期でDJが女性ってことは小島慶子さんの感じなのかなぁ、と思ったら終わりに対談載っててなるほど、という。
角田さんの書く小説の中ではそんな印象に残らなかったな。
ラジオも角田光代も好きなんだけど、
さらっと読んでさらっと忘れてしまう。
悪くはなかったけど響いたわけでもない。
2013年6月21日
- 本にだって雄と雌があります
- 小田雅久仁
- 新潮社 / 2012年10月22日発売
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四方山話が結構好きなのでこの手の本も面白く読めた。
系統としては森見さん風味。
でも真面目部分がもうちょっと多めなのかも。
戦争の話とか結構ずっしりと重たくてぐったりする。
それも阿呆で壮大なお話の中のひとつなで、
暗い気持ちになはならいのが不思議だった。
人生が終わると1人につき1冊の本になって飛んでって、
私たちの叡智が到底及ばないようなものたちの暇つぶしになる。
その部分がすごく好きだ。
それって神様だったり宇宙人だったりと呼ばれるようなものかな。
それともそういう人の想像が及ばないようなものなのか。
考えたらわくわくしちゃうねぇ。
2013年6月20日
- 桐島、部活やめるってよ
- 朝井リョウ
- 集英社 / 2010年2月5日発売
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これもなかなか面白かったー
前に『星が生まれる』読んだから、その高校生バージョンって印象。
まぁ先にそっち読んでるからだろう。
イマドキの群像劇。
十代でこれを読むととても引きずられそう。
このヒリヒリした感情の部分は時代が違っていたって変わらない。
あと階層の描き方がうまいのかなぁ。
なんだろ。確かにグループというかそれぞれの層はあるんだけど、
その中にきちんと個がいる。
だけど外から見たらまとまっちゃう。
派手め、とか、普通、とか、オタク、とかの、空気でくくられるもの。
なにもないのにはっきりと境界線を感じさせられる。
2013年6月20日
面白かった。
三谷さんの本読むのってなにげに初めてだなぁ。
この本を面白く読めたのは三谷さんの書く物語だから、
きっと映画になったりするのかなーって思いつつ読んだからかも。
ザ・三谷幸喜、という感じの。
そういう映像が浮かぶような、脚本っぽい、構想っぽいお話でもあった。
歴史に名を残すような人物が、こういう風に俗っぽいのが
私たちの生活の目線に降りてきている。
歴史っていうのは過去が連なってきたものなんだけど、
とても遠くて、とても自分たちが歩んできた道だと思えないところがあって。
だけどそれを身近なところに落とし込んでくれて、
さらった入り込めるようにしてあるのが楽だったな。
2013年4月20日
これまでの巻で先端医療云々の話が出ていたから、
1回はそちらの方に行くのかなぁとうっすら思ってたらそうだった。
どっちかを選ぶということじゃなくて、どっちもないと駄目。
ふたつでぐるんと歯車が回りだす、というか。
それが医療なのかなと思う。
小幡先生は苛烈で正論で苦手でございます。
本人も周りにいる人たちも焼き尽くしてしまいそうでつらい。
そんな風に思うのは私が弱いからなんだろうか。
こんなに苛烈じゃなきゃ、医療という場所に身を置けないのか。
だけど、たぶんそうなんだろう。
その人は1人だけで、自分のミスで完全に損なわれてしまう。
だからミスが許される範囲が極端に狭い。厳しすぎるよ。
あ、他の先生方が前に進むお話もありまして。
砂山先生とかほんとがんばって欲しい。
ということで次回を楽しみに待つわけです。
2013年4月19日
登場人物それぞれがちょっとずつ歪で、
それが絡み合っているのが面白かった。
誰が主になるかで人の見え方は全然違うんだよね、って再認識した。
で、ちょっとずつ、っていうのがバランス取れてるな、と思って。
歪さが行きすぎないから暗く淀まない。
だけどボールを置いたら転がるように、
歪なところは確かにあるから生身の人間の話だなって感じる。
2013年4月19日
時代ものはあんまり読まないけど、
浅田さんの壬生義士伝が好きだったので読む。
あとタイトルに惹かれて読む。
ものごとが大きく動くときにどういう風に生きられるのかってとても難しいんだなぁと思う。
貫き通すのもそうだし、考えを変えてみるのもそうだし。
私なんかは身動きが取れなくなってしまいそうだ、と思いつつ読みました。
2013年4月17日
- わたしがいなかった街で
- 柴崎友香
- 新潮社 / 2012年6月29日発売
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自分がいなかったころ、いなかった場所。
いなかったころや場所についても私たちは知ることができる。
でもそれって「知っている」ということなのか、って考えた。
柴崎さんの小説はいつも思考がそこらへんに散らかって、
その散らかり加減につられて自分もついついいろんな思考を放り出す。
だからかあんまり覚えてられないのかな。
それもそれで面白いな。
2013年4月17日
- 永遠の曠野 芙蓉千里III
- 須賀しのぶ
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2012年6月30日発売
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芙蓉千里は少女小説を書いていた須賀さんの地続きにあるんだなぁって思う。読む度にそう思う。
流血女神伝は最後まで読めてないんだけど、展開的には似てるのかしら。
少女が女になったところで物語その役目を終えているという感じがする。
建明の最後はしっくりきたなぁ。
穏やかな人生は送れないんだろうなぁと思っていたので。
あぁ、そうなるよねぇ、と悲しかったけど。
あと炎林みたいなサブリーダー的な人ほんと恰好いいと思うよ。
ほんど好みドストライクだよ。
エピローグでも彼女たちが逞しく生きていて頼もしかった。
まだまだ激動の時代の最中、というか、
もっと激しい流れの中に時代ごと突っ込んでいくんだけど、
そんな中でも図太く逞しく強かに生きていくだろうなぁ。
生きていって欲しいなぁ、と思わせる終わり方でした。
2013年3月23日
雫井さんてミステリーと切なめの恋愛小説と、ってイメージを勝手に抱いてて、でもなんとなく今回初めて読んでみた。
これは気ぃ張らずに読めて楽しかった。
ドラマになりそうな話だなぁと思う。
映像になりやすいんじゃないかなぁ。
大人って子どもなんだよね。
ここに出てくる人たちは私よりも年上だけど、そんな変わらない。
大人になったらもっとちゃんとしてるって考えてたけど、
ちゃんとしてるって思ってた年齢にいざなってみても全然だから、
きっとこの人たちの年になっても同じようなもんなのかな。
ガキなとこも情けないとこもそのままで、
でもまったく同じままにはいられない。
だから途中の一歩、なんだなーと。
2013年3月19日
感想は下巻で。
2013年1月9日
面白かったー
有川さんのお仕事小説は面白いなぁ。
逃げがないからかなぁ。都合の悪さをごまかさないというか。
駄目なところもあるんだけど、そこを踏まえた上でのこの職業。
「なぜこの仕事なのか」ということが物語の上で立ち上がってくる。
あと自衛隊ってものをちゃんと考えたことがなかったので新鮮だった。
知識としてはもちろん知ってるけど、突っ込んで考えなかった。
それが震災があって、自衛隊の方々がすごくがんばってはって、
すごいなぁって思ってたとこでこの小説読んで。
タイミング的にはとてもよかったんだろうなぁ。
美化されているわけじゃない。きれいな仕事だと思って欲しいわけでもない。
ただその中でも人が動いているという事実をちゃんと見てね、って言われている気持ちになった。
この小説とてもいい広報になるよねぇ。
あ、あとちゃんと落ち込んだり泣いたりしないと次にいけない、みたいな話のところはなるほどなぁと思った。
受け入れないとそこで止まっちゃって歩けなくなる。
身体は動いているのに実際にはどこにもいけないんだなぁ。
2013年3月18日
「理由なんか、どうでもいい。私たちはいつもときどき、ひどくつらい。」という文章が印象に残ってる。
女の人はこの感覚がわかるんじゃないだろうかと思う。
たとえくんはとても魅力的。でも女の子ふたりもとても魅力的。
高校生だからこんなに強烈になれるんだと思う。
それが魅力に繋がってるんだと思う。
大人と子どものどっちにも寄れない中途半端さが、
この突っ走る焦燥感の理由なのかなぁ。
雰囲気としては『蹴りたい背中』とかに近い。
最近出てた本とはまたちょっと違う感じだったなぁ。
2013年3月13日
終わりなのね、長かったね、と思いながら読了。
最後はとってもらしい、というか。
でもこれ続けられちゃうよね?
海外ドラマでいうとこの第1部終了、みたいな感覚。
その内第2部とか始まりそう。
2013年3月12日
- 神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)
- 須賀しのぶ
- 早川書房 / 2010年8月25日発売
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面白かったー。読ませるなぁ。
ずっしりした内容だっただけに誤字だけほんと残念。
須賀さんの読みものだなぁとしみじみした。
『芙蓉千里』とかは少女小説の要素も強いと思うけど、
これはより全範囲をターゲットにしている。
こんなことが歴史の中であったのかと圧倒される。
アルベルトがナチスに入ったのが、ただたんに職業としての選択っていうのが意外だった。当時はその程度の認識だったんだろう。
だけどこんなに過酷なものに巻き込まれていく。
歴史には詳しくないけど人間の物語として飽きなかった。
というか、人間の物語が歴史なんだよなぁと。
キリスト教もナチスも怖い。
ラストに向かっていく中でどんどん本当が明らかになっていく。
溜め息出ちゃうような展開で。アルベルトが悲しすぎて。
このラストへ向かってミステリーの要素が強くて、
だからハヤカワから出ているのか、という感想を見てなるほど、と思った。
2013年3月12日