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([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫 も 3-1)
- 森見登美彦
- ポプラ社 / 2011年4月6日発売
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主人公である守田一郎が、親友、先輩、家庭教師をしていた子ども、妹に宛てたそれぞれの手紙から、そのとき何があったかが浮かび上がってくる構成。構成の都合、いったりきたりするからストーリーが把握し辛いのはいたしかたないかな。伊吹さんへの長文の手紙は、とりとめもない内容だけど、正直で素直なとても素敵な手紙だと思う。
2017年10月14日
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また、同じ夢を見ていた
- 住野よる
- 双葉社 / 2016年2月17日発売
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前作である『君の膵臓をたべたい』とは違ってファンタジーな感じだが、住野さんが伝えたいことにそう大きな隔たりはないと思う。幸せは、人との繋がりの中にあり、それは向こうから歩いてきてはくれないから、自分で歩いて行って選ぶものだ、ということ。これは前作にも共通するものだと思う。
文章は平易で読み易いのであっという間に読める。
2017年10月7日
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君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
- 住野よる
- 双葉社 / 2017年4月27日発売
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ヒロインが余命僅かというと、よくある純愛物みたいだけど、本作は純粋であっても純愛物っていうのはちょっと違う気もする。これは愛なのか、愛なのかなぁ?
誰かと関わり、支え、支えてもらうことが人生。ありきたりな言葉だけど、そんなことがとてもよく伝わってくる内容だった。相手と向き合って自分のあり方を見つめ直し、変わっていくのがとても爽やかで良い作品と思う。柄にもなく涙が止まらなかった。
文章は読みやすいし、会話も面白いと思うけど、台詞回しはちょっと現実的ではないかな。
2017年10月2日
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口語訳 古事記 神代篇 (文春文庫 み 32-1)
- 三浦佑之
- 文藝春秋 / 2006年12月6日発売
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神様が次々に生まれるし、名前が覚えにくいから非常に混乱するけれど、物語としてはなんとも言えない魅力を感じる。
オオクニヌシの国譲りのエピソードから思うのは、アマテラスはヤクザ
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世界史をつくった海賊 (ちくま新書 888)
- 竹田いさみ
- 筑摩書房 / 2011年2月9日発売
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英国繁栄の一端を海賊が担っていた、という興味深い話。
世界史の授業で、イギリスが海賊を使って無敵艦隊を破ったと習ったけれど、何故海賊なのか?と素朴に疑問に思っていた。金儲け、仮想敵国の弱体化を狙って国策的に海賊行為をしていたということならば、海戦に参加していてもおかしくない。
スパイスや茶、奴隷についての話も簡単に触れていて勉強になった。
2016年10月2日
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ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫 JA イ 7-7)
- 伊藤計劃
- 早川書房 / 2014年8月8日発売
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『すばらしい新世界』が徹底したような結末。でも子供にはWatch meがインスコされてないから、そういう意味では徹底はしていないのかな?この世界が壊れるとしたら、子供たちからか、あるいは程々を知る人たちからか。
2015年5月6日
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虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫 JA イ 7-6)
- 伊藤計劃
- 早川書房 / 2014年8月8日発売
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映画化するということなので重い腰をあげて購入。
高校生の頃、全く不謹慎な話だが、戦争というものは、実は、人間の総量調整をして自然界のバランスを保つために必然的に起こる営みで、いわば自然の自浄作用のようなものなのではないかと思ったことがある。この本を読んでいて、そんなこと考えていたなと思い出した。
2015年5月5日
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哲学の謎 (講談社現代新書)
- 野矢茂樹
- 講談社 / 1996年1月19日発売
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恐らく、哲学というものに触れる最初の一冊としてオススメできるもの
2010年3月31日
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自由からの逃走 新版
- エーリッヒ・フロム
- 東京創元社 / 1952年1月1日発売
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自己の属する組織から自由になるということは、その組織が自分に与えてくれていた意味を手放すことと引き換えである。その意味を失った個人は、圧倒的なまでに大きな存在である自然・世界と向き合わなければならず、自己の無意味さを意識せざるを得ない。これを回避するには、愛と生産的な仕事によって自己を世界と結びつけるのが真っ当だが、これが難しいと、自我の統一を破壊するような絆であろうとも、縋ろうとする。
2017年11月11日
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ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)
- 櫛木理宇
- KADOKAWA / 2012年10月25日発売
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続刊はそうでもないけど、1巻は、ヤマなし、オチなし、で盛り上がりに欠ける。ホラー文庫から出ていて、オカルトなオチだから、一応ジャンルとしてはホラーなのかもしれないけど、おどろおどろしい感じがしないので違和感を覚える。
2013年9月7日
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know (ハヤカワ文庫 JA ノ 4-1)
- 野崎まど
- 早川書房 / 2013年7月24日発売
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毎度この人の本は引き込まれて一気に読んでしまう。他の作品と違って、まったく結末が読めなかった。全くもってアイデアに脱帽する。ラストの怒涛のあたりは、皮一枚でSFっぽさを保ったファンタジーとも言えるだろうが、その皮一枚がつながっているからここまで面白いと思えたんだろう。
2014年5月6日
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小説家の作り方 (メディアワークス文庫 の 1-4)
- 野崎まど
- アスキー・メディアワークス / 2011年3月25日発売
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「女の子に小説の書き方を教えていく話」というので、ラブコメとか普通の青春ものとか、そのあたりを予想していたけれど、読んでみると若干SFなミステリーという印象。
文章も読みやすく、話も面白いから、読後の余韻も含め全体的には好きなんだけど、『陽だまりの彼女』とか『ラブ・ケミストリー』とか読んだ後だったからか、7割くらい結末が読めてしまってちょっと残念だった。
ところで、付白さんと紫さんが時を同じくして「この世で一番面白い小説」という概念を持ち出してきたのは単なる偶然か、それとも何かしらの関連性があるのか?
2013年6月26日
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死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ (メディアワークス文庫 の 1-3)
- 野崎まど
- アスキー・メディアワークス / 2010年10月23日発売
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2014年4月30日
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社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉 (筑摩選書)
- 小坂井敏晶
- 筑摩書房 / 2013年7月18日発売
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心理学の理論から社会制度や人間の本質に切り込んでいくところが何とも迫力がある。世の中虚構があふれているが、それ故に成り立っているというのは正しくその通りだろう。
2014年5月6日
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キャラクターメーカー6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」 (アスキー新書 62)
- 大塚英志
- アスキー・メディアワークス / 2008年4月11日発売
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確かに、物語には一定の型なり法則なりがあって、究極的には鉛筆転がしてプロットは出来るのかも知れない。でもそれで面白い作品が出来るかは別の話なんだろう。
2013年6月20日
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チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版 (中公新書)
- 河合秀和
- 中央公論新社 / 1998年1月25日発売
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ウィンストン・チャーチルの伝記。
名言が結構あるってことくらいしかチャーチルの事知らなかったから、いい勉強になった。
一回読んだ感じだと、自分が任された領域については驚異的な行動力でやり通す人だと感じた。他人の縄張りの政策よりも自分の縄張りの政策が優先、そういう考え方だから、立場が入れ替わると前と言ってることが逆じゃないかということにもなったり…。
でも、「これが優先、何を犠牲にしてでもやり通す」って方向決めて突っ走れる政治家だったから戦争時の首相には適役だったのかも知れない。
2013年4月30日
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ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える
- ダニエル・ドレズナー
- 白水社 / 2012年10月24日発売
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ゾンビが発生した場合、国家はどのように対処するか、国際政治理論の様々な立場からシミュレートして説明してくれる本。ゾンビとか突拍子もないと思うが、著者も言うように、どの理論をどの場面で適用するかはもはやアートの領域だから、空想だろうと具体的に考えることが重要。全て説明できる理論があれば別だが、そんな便利なものはあり得ない。
2013年3月13日
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図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)
- ジェームズ.ジョージ・フレーザー
- 講談社 / 2011年4月11日発売
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ネミの森の祭司職は、挑戦者が金枝を手折り、現任者に決闘を申込み、殺害することで代替わりするという。何故金枝を手折るという手続を踏み、何故祭司は殺されなければならないのか。主としてこの二つの謎について、世界の神話・風習などを引用しつつ解き明かしていこうという本。
神話の知識がないから読むのが辛い部分もあったけど、ミステリーを読んでいるような感覚もあって、学術書なんだろうけど結構楽しめた。
それにしてもこの上下巻でエッセンス版とはなんという量か…
2012年10月15日
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ラブ・ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 喜多喜久
- 宝島社 / 2012年3月6日発売
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ミステリーというよりはこれはファンタジーではないだろうか?
オチは読めなかったから楽しめたけどね。
2012年11月20日
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インテリジェンス―国家・組織は情報をいかに扱うべきか (ちくま学芸文庫 コ 36-1)
- 小谷賢
- 筑摩書房 / 2012年1月10日発売
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昔から重要な分野ではあっただろうけど、テロとの戦いということも考えると、今後重要性はより増す分野だと思う。各国との情報のやり取りをする必要があるということからも、国として力を入れていかないといけないだろう。
着々と準備は進めているようだけど、マスコミが変に茶々を入れて頓挫するようなことにはならないで欲しい。
2013年5月6日
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完全教祖マニュアル (ちくま新書, 814)
- 架神恭介
- 筑摩書房 / 2009年11月9日発売
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笑いながら読める新書というのも珍しい。
ネタ本みたいだけど結構内容は真面目だったりする。
社会学というか、人間心理についてちょっとした勉強になる。
2012年7月16日
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ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)
- シュテファン・ツワイク
- 岩波書店 / 1979年3月16日発売
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政治に一度参加すれば、それ以降ずっと色が付きまとってくるような状況で、よくもまあ派閥をコロコロ変えて生き延びれたものだと感心した。
個人的にはロベスピエールと対決する場面と、ナポレオンとの掛け合いの場面が面白かった。
2012年6月29日
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「美女と野獣」の野獣になる方法 (文春文庫 み 35-2)
- 水野敬也
- 文藝春秋 / 2010年10月8日発売
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立ち読みで数頁読み進めてたら、いきなり縮れ毛の写真が出てきて笑って即購入した。
ネタ満載で笑いながら読めるのがいい。コミュ障の人間にはいい薬だった。
2012年6月10日
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三国志 第一巻 (文春文庫 み 19-20)
- 宮城谷昌光
- 文藝春秋 / 2008年10月10日発売
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「今から三国志の話するけど、その前の後漢のことについても知ってないといけないよね!?」、ってことで曹操も劉備も孫堅も出てこないようなところから始まる。異色と言えば異色の三国志。
後半の巻になると、キーになる人物にスポットを当てて、流れ自体は淡々と進めていく印象があるけど、このあたりはまだ物語を読んでいるような感じがする。特に陰謀を張り巡らせていくあたりの疾走感がたまらなくイイ。
2012年5月26日