名だたる文豪や作家達のお金にまつわる書簡や日記、エッセイを集めた本。明治、大正、昭和初期の文士達の生活は決して楽ではなかったのだなと思う半面、文章からその人柄なども垣間見えて面白い。親の脛をかじる、借金してまで酒を飲む、二進も三進も行かなくて夜逃げする、蔵書や家財道具を片っ端から売り払う、金の無心もなんのその、出てくるエピソードが強烈すぎる。北野武の「関係の問題」は本当にそうだなと深く共感した。また角田光代の「一日(1995年の、たとえば11月9日5964円)」も身につまされる。二十代のお金の使い方がその人の基礎となる、と書かれているが、これもまた深く実感することだ。私もとにかく二十代の頃は(今もだが)本ばかり買っていた。確かにそれらは私の血肉になっていると思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2021年5月26日
- 読了日 : 2021年5月26日
- 本棚登録日 : 2021年5月26日
みんなの感想をみる