【映画編】読書×映像で楽しさ2倍!原作ものミステリー小説

こんにちは、ブクログ通信です。

休日の楽しみの一つといえば、映画やアニメ鑑賞ですよね。映像を見るだけでももちろん楽しいですが、その映像作品の原作を追う読書というのも楽しんでみてはいかがでしょうか?

今回は、映像化した原作本の中から、人気のミステリー小説に絞ったおすすめ作品を集めました!
映画編アニメ編でそれぞれご紹介してゆきますので、ぜひチェックしてくださいね!

1.平野啓一郎『ある男』私の夫は、いったい誰だったのか

ある男 (文春文庫 ひ 19-3)
平野啓一郎『ある男 (文春文庫 ひ 19-3)
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あらすじ

弁護士・城戸章良は、かつての依頼者・谷口里枝から、「ある男」についての相談を受ける。それは、事故で亡くなった夫について身元調査をしてほしいという奇妙なものだった。里枝の話によると、夫・大祐の葬儀に、疎遠になっていた大祐の兄が参列した際、遺影を見てこう言ったのだという。「これ、大祐じゃないです」と。夫はいったい何者だったのか。人を愛するうえで、過去とは何なのか。感動のヒューマンミステリー。

おすすめのポイント!

「自分」とは何かということを、考えたことはありますか。名前や顔が変わっても心が変わらなければ「自分」なのか。記憶を失ったり性格が変わっても「自分」なのか。別人として生きることを決めた「大祐」は、なぜその生き方を選んだのか、じっくりと読みたい作品です。第70回「読売文学賞」受賞作。2022年秋には、妻夫木聡さんほか、豪華キャストによる映画化を控えている本作。今のうちに原作を読んでおくのもおすすめです。

平野啓一郎さんの作品一覧

静かに深い。読後に最初に感じたのはそんな感覚だった。今の自分の心持ちに妙にリンクするというか、特に城戸弁護士の諦めと希望の入り交じり、少し怯え結局動き出せない生き方が痛いほど理解できてしまうのが心地よい様な辛いような・・・。その逃げ道か仕事であるというのもとても不器用に人間らしいと感じた。

keigo3813さんのレビュー

2.東野圭吾『沈黙のパレード』累計1400万部を超えるガリレオシリーズ第9作!

沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)
東野圭吾『沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)
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あらすじ

あるゴミ屋敷の焼け跡から、遺体が見つかった。亡くなったのは人気者だった若い娘で、3年前に失踪して以来、行方不明となっていた。容疑者は、23年前に少女殺害事件で逮捕され、無罪放免された男。しかし、男は今回も証拠不十分で釈放となった。だがその後、町で開催された秋祭りのパレードの最中に男は殺されてしまう。容疑者たちには全員アリバイがあり、死因も不明。超難解ミステリーに、天才物理学者・湯川学が挑む。

おすすめのポイント!

無罪を勝ち取ってきた悪人が殺される事件を、科学と論理からなる物理学で解明していく作品です。これまでにもドラマ化や映画化など何度もメディアミックスされてきたシリーズですが、第1作が刊行されて20年以上が経つ今なお、上質なミステリとして読まれつづけています。2022年9月16日に映画公開予定。本作からガリレオシリーズを遡るのもおすすめです。続く第10作『透明な螺旋』も2021年に刊行されています。

東野圭吾さんの作品一覧

待望のガリレオシリーズの文庫新刊。冒頭から惹き込まれ、気がつけば被害者遺族側に感情移入してしまう。物語は単調に進んでいく印象だが、小さなピースが少しずつストーリーを狂わせていき…ラストは!読み終えた後に『沈黙のパレード』というタイトルがぴったりと嵌った気がした。唯一気になったのは、湯川先生のキャラクター。アメリカ帰りとのことだが、こんなことする人だったかな?と…。映画化されるとのことで、配役など考えて読むのも楽しかった。

tomomin♡さんのレビュー

3.中山七里『護られなかった者たちへ』人間には生きる権利がある!

護られなかった者たちへ (宝島社文庫)
中山七里『護られなかった者たちへ (宝島社文庫)
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あらすじ

東日本大震災から四年が過ぎた仙台で、事件は起こった。被害者・三雲忠勝はガムテープにより拘束され、市内のアパートで餓死遺体となって見つかった。被害者の身辺を洗っていた四日後、今度は県議会議員・城之内猛留の遺体が、農機具小屋の中で発見される。公私ともに悪い噂のない二人には、とある共通点があり——。復興が進む仙台市を舞台に発生した連続殺人事件が、日本の生活保護制度の欠陥をえぐりだす!

おすすめのポイント!

新型コロナの影響で、生活保護受給者も増えている今、本作を読むことにはとても意義があるでしょう。自分が生きるため、家族を守るためにできることは何か。そして、自分が社会の一員として、何をしていくべきか。固く聞こえてしまうかもしれませんが、ミステリーとしての読みごたえがしっかりとあるため、考えさせられる一方で、重厚な読書体験ができる作品です。2021年10月1日に映画化し、佐藤健さんが主演を務めました。

中山七里さんの作品一覧

なんとも切ない気持ちになった。悪いのは国か、担当公務員か、本人だったのか?本中にあったけど、申請にくる「人」を担当には見て貰いたいものだけど、そもそも余裕もないし上意下達は原則だし。国のやる事なんて、まして公務員なんてこんなものか。と思った。真っ当な公務員は国の方針とやらに合わせた理不尽な仕事を強いられ続けたら…自ら死を選ぶより他なくなるのかも。ご近所とか民生委員とか警察とか…あぁどうやったら護られるべき人は護られるのだろう?

かみりこさんのレビュー

4.吉田修一『怒り』信じたい、だけど

怒り(上) (中公文庫)
吉田修一『怒り(上) (中公文庫)
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あらすじ

事件が起きたのは八王子郊外。若い夫婦は自宅で惨殺され、現場には「怒」の血文字が残されていた。犯人・山神一也は失踪。捜査は難航し、一年が過ぎた頃、房総、東京、沖縄に、身元不明の三人の男が現れる。周囲の人々は彼らを受け入れるが、警察の公開捜査でモンタージュ写真が公表されると、それぞれの場所で動揺が走った。山神一也は犯人なのか。三人の男は誰なのか。疑念の深まる各地で、人間関係が崩れはじめる。

おすすめのポイント!

物々しい事件から幕を開ける本作ですが、事件がメインというよりは、事件に翻弄される人々が主役のヒューマンミステリーです。人を信じて裏切られたことも、人を信じられなくて後悔したことも、程度の差はあるでしょうが、多くの人が経験する感情です。そんな人間くさい感情に触れる、重く切ない作品になっています。ヘビーなものが読みたいときにおすすめ。2016年に映画化。芥川賞作家が描く本格ミステリーをご堪能ください。

吉田修一さんの作品一覧

映画版を観てあまりの完成度の高さに衝撃を受け、原作も読んでみることにした。人が人を信じるに足るだけの理由とは何だろう。なぜ、人は誰かを信じたいと願うのか。きわどいと捉えられるような性描写が作中でとりあげられているのも、人と人とが関わりながら生きていくことの難しさを強調しているように感じた。「信じていたから、許せなかった」という台詞が印象的だった。

akiさんのレビュー

5.秋吉理香子『暗黒女子』少女たちは、エゴと疑心と裏切りのなかで生きている

暗黒女子 (双葉文庫)
秋吉理香子『暗黒女子 (双葉文庫)
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あらすじ

屋上から飛び降りた白石いつみの手には、スズランの花が抱かれていた。名門女子校のカリスマ的存在だったいつみの死は、彼女の主宰していた文学サークル内でも波紋を広げている。そして、死の真相を暴くべく、いつみの親友・澄川小百合が動き出した。サークルメンバーで行う恒例の闇鍋で、部員たちの口から語られる物語。いつみは何故死んでしまったのか。華やかで危うい少女たちの真実に、一気読み必至の学園ミステリー。

おすすめのポイント!

親友が死んでいるというのに、呑気に闇鍋をつつきながらサークル活動?とツッコミを入れたくなるかもしれませんが、この闇鍋にも秘密が隠されています。一見するとキラキラとした女子高生たちですが、その裏に潜む「暗黒」に、少しずつ不穏さを感じる作品です。イヤミス的要素もありつつ、最初から最後までスピード感をもって読める本格ミステリーなので、学校もののミステリーがお好きな方には特におすすめです。2017年に映画化されました。

秋吉理香子さんの作品一覧

いきなり闇鍋の登場。闇鍋は24歳の時まで憧れていたが、25歳の時、牡蠣鍋で食中毒になって以来、熱はすっかり冷めた。しかしかつての憧れの闇鍋がテーマというだけでワクワクする。そして構成が斬新。とあるカトリック系女子高でカリスマ女子高生、いつみが死亡する。その謎を文学サークルのメンバー7人が闇鍋会にて追及する物語。ライトでサクサク読めるし、面白かったけど……ありえね~。闇鍋と構成の妙がこの物語の成功の要因だろうな。まあ、女子にはこれくらい黒いところはあると思います。

たけやんさんのレビュー


今回は映画化した本格ミステリー小説を5選ご紹介しました。文学でも映像でも、わくわくしたり、ハラハラしたり。ホラーもオカルトもサスペンスも、原作&メディアミックスで、2倍楽しんでくださいね。
アニメ編】もお楽しみに。