〆切本2

制作 : 椎名 誠  平出 隆  村山 由佳  さくら ももこ  神近 市子  岡本 かの子  今井 邦子  宇野 千代  中條 百合子  美川 きよ  平林 たい子  子母澤 寛  川端 康成  バルザック  辻 佐保子  辻 邦生  田中 小実昌  澁澤 龍子  澁澤 龍彥  赤川 次郎  中島 らも  三浦 しをん  野間 宏  木下 杢太郎  笹沢 左保  筒井 康隆  江口 寿史  松尾 豊  冲方 丁  井上 靖  室生 朝子  室生 犀星  大庭 みな子  伊集院 静  ハルノ 宵子  タモリ  野坂 昭如  堀 道広 
  • 左右社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865281774

感想・レビュー・書評

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  • 2冊目。

    これをもういつも〆切に追われている知人にプレゼントしたい笑

    とはいえ、自分も〆切に追われてるからなぁ笑

  •  タイトルのとおり、昨年刊行された『〆切本』の続編。
     明治時代から近年までの、小説家・評論家・マンガ家など広義の「物書き」による、〆切にまつわるエッセイ・手紙・日記・マンガなどを集めたアンソロジーである。
     続編が出るくらい、正編が売れたわけだ(本書巻末の自社広告によれば、『〆切本』は「堂々の3万部突破!」だとか)。

     値段もわりと高いし、まったく「実用的」でない内容だし、私は『〆切本』が売れるとは思わなかった。おそらく、作った側も続編が出せるとは思っていなかったのではないか。

     ……なので、「出がらし」のような薄い内容ではないかという危惧があったが、読んでみると正編と同じくらい面白い。むしろ、部分的にはパワーアップしている。

     正編を当ブログで取り上げた際、私は次のように書いた。

    《〆切をめぐる攻防は、物書きの舞台裏を語るにあたって最も面白いものの1つ。出版業界人の酒席で話が盛り上がる鉄板ネタでもあり、ここに収められていない面白い話がもっとたくさんあるように思う。

     たとえば、マンガ家の中でも遅筆で知られる江口寿史や平田弘史をめぐる話が、1つもない。文章系でも、小田嶋隆が自虐的に自分の遅筆ぶりを綴った初期のコラムがなかったりとか、わりと“抜け落ち感”がある(本人たちが収録を拒否したのかもしれないが)。》

     それを編者が読んで対応してくれたわけではあるまいが、本書には江口寿史の〆切ネタ・マンガも収録されている。
     『ストップ!! ひばりくん!』の中に突然挿入された、例の「白いワニ」のヤツである。

     おそらく、正編を出したあとでいろんな人から、「〆切ネタなら、アレが抜けてるよ」という指摘があったのだろう。

     たとえば、タモリが雑誌『面白半分』の依頼原稿を「落とし」て、編集部側がそのことを明記したうえで誌面を真っ白にして刊行した伝説的ページが、そのまま転載されている。

    《タモリ氏の『ハナモゲラ語の思想』の原稿は、まだ印刷所に到着いたしません。白紙のままでお届けすることを深くお詫び申し上げます。 編集部》 

     という但し書きがある(笑)。
     これは、「〆切ネタ」を語るにあたっては絶対欠かせない有名エピソードなのである。

     ほかにも、マンガ家デビュー間もないころの高橋留美子が自らの仕事ぶりを描いた4ページの掌編「けもの24時間」が収録されているあたり、「お、これを入れたか。やるなー」という感じ。
     (「けも」とは高橋のニックネームで、最初期に使っていたペンネーム「けも・こびる」に由来)

     この「けもの24時間」は、「おはようございます。えっ! 寝てません。電話を、掘っていたのです!!」というセリフで知られる作品。
     電話機が資料や原稿などの山に埋もれているのを「掘って」から電話に出る、という意味で、「電話を掘る」はマンガ界スラングである。
     もっとも、高橋留美子は〆切をきちんと守るマンガ家として知られており、「けもの24時間」も原稿を落とすたぐいの話ではないが。

     ライターが一年でいちばん〆切の山と格闘する時期――年末進行真っ只中に読むのにふさわしい本(笑)。

  • 面白いけど、2冊目はちょっと飽きた。
    全部読むのが時間的につらかったので、
    好きな作家をピックアップ。
    ただ、どの方々も今更ながら文章うまい。
    プロの物書き、ハンパない。

  • 相変わらず面白い。

  • 〆切りを過ぎたって別に死ぬワケでもないだろうが、
    精神的に追い詰められ、崖っぷちに立たされているような状況がヒリヒリと伝わってくるエッセイ本。

    <心のゆとり>は大事だが、
    <後がない>という切羽詰った立場にいる人の思考は、脳の隅々までピンピンと張り巡らされ、命を繋ぐ為に必要な武器を必死で捜し求める。
    PENを持って、作家はやはり戦っているんだなぁ。

    幅広い年代で活躍された作家さんの作品が掲載されているのが嬉しすぎ♪

  • 1に引き続き、様々な〆切に対する文章の数々、かなり面白い。
    今回も、研究論文が入っているところが凄い。
    理系内容で、理解はできなかったけど、真面目に数式化しているところが、興味深く、頭が下がります。
    『面白半分』編集部のユーモアは最高。
    トリの山崎豊子には感動するしかない。
    総じて、ものを書くということには、自由と制約が必要不可欠ということが分かる。

  • 〆切ないと書けない小説家?
    論文調の松尾豊先生のは笑えた。

著者プロフィール

文久2(1862)—大正11(1922)。石見国津和野(現:島根県津和野町)出身。明治14(1881)年東京大学医学部を卒業後軍医となり、17年~21年ドイツに留学。40年、陸軍軍医総監・陸軍医務局長になり、軍医として最高職についた。
大正5(1916)年予備役となり、6年帝室博物館長兼図書頭。公務のかたわら、小説家、評論家、翻訳家として活躍。代表作に『舞姫』(1890)、『うたかたの記』(1890)、翻訳『即興詩人』(1892~1901)、『ヰタ・セクスアリス』(1909)、『雁』 (1911)、『阿部一族』(1913)、『山椒大夫』(1915)、『高瀬舟』(1916)、史伝『渋江抽斎』(1916)などがある。本名は森 林太郎(もり りんたろう)。

「2023年 『森鷗外⑦ ヰタ・セクスアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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